あっという間に冬になった
今朝はかなり冷えこみ、マフラーを巻いても寒い
冴夏
マヌエル
マヌエル
ばったりと“彼“に会う
冬用のコートをまとっていた
冴夏
冴夏
マヌエル
冴夏
冴夏
思わず愚痴る
マヌエル
冴夏
他愛のない会話をして時間が過ぎていく
マヌエル
冴夏
慌てて駆け出す
マヌエル
マヌエル
“彼“は笑顔で手を振った
放課後、なんの予定もなくわたしは真っすぐ家へ帰ってきた
冴夏
チンアナゴのキーホルダーのついた鍵が玄関に落ちていた
冴夏
鍵を拾う
冴夏
自分の部屋へ向かうとした瞬間、電話がけたたましく鳴った
冴夏
恐る恐る受話器を取る
相手はクラスメイトだった
慌てた声で今すぐテレビをつけろと言った
冴夏
わけがわからずテレビをつける
玉突き事故のニュースがやっていた
高速道路で起きたらしい
10人以上の死傷者を出す大惨事
冴夏
冴夏
思わず声が出た
“伊苅清士朗“ そして同乗者として “凉杜マヌエル“とスタッフの名前……
“死亡“の文字
理解が追いつかない
呆然とテレビを見つめた
救急隊が到着したときにはすでに手遅れだったそうだ
父と家族ぐるみで仲のよかった友人……
ふたりが突然いなくなるなんて思いもしなかった
翌日
葬儀は4日後に決まった
“彼“の両親は明日の朝一番の飛行機でやってくる
冴夏
チンアナゴのキーホルダーがついた鍵
冴夏
気付けばショルダーバッグを肩にかけて、“彼“の家の前に立っていた
なんで来たのか自分でもよくわからない
冴夏
どうやら無意識のうちに来てしまっていたらしい
鍵穴に鍵をさして中へ入った
久しぶりの家の中
冴夏
数年前と変わっていない
ただテーブルの上の水挿し──アイビーの蔓だけが伸びてること以外は
冴夏
二階が気になったが、躊躇している自分もいる
親しき中にも礼儀あり
冴夏
冴夏
心の中で“彼“に謝り二階へ上がる
机と椅子、クローゼットとタンス、少し大きめのベッドがあるだけのシンプルな部屋
机の引き出しがわずかに開いていた
引き出しを引く。中には《Diary》と書かれた日記帳が2冊あった
まるで惹かれるように1冊それを手に取る
ページを開くと、当時高校生だった“彼“の心情が書き綴られていた
冴夏
その内容はとても驚愕すると同時に、切なくなった……
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