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そこは、一体どこなのか分からない。

ただ闇、ただただ闇。

再開されたはずの生配信も、ただ闇を映すばかりで、虚しくコメントの羅列が流れていくばかり。

ふっと、その闇に小さな灯りと、例の骸骨。

ナポレオン

――時間だ。

ナポレオン

これより第三革命ゲームの勝敗を決める。

ナポレオン

上野原高校側は、この配信を見ているのだろう?

ナポレオン

タイムリミットだ。

ナポレオン

イガラシセイヤの回答を聞かせてもらおうか。

生配信で呼びかけるナポレオン。

あらかじめ分割で映し出されているのは、おそらくテレビ局が放送している画面なのであろう。

案の定、画面の半分には、教員室が映し出された。

PC

イガラシセイヤ――それでは、誰が教室にたどり着いたかを先に確認しよう。

PC

まぁ、教室の様子はずっとリアルタイムで配信させてもらっていたから、いまさらになって確認する必要もないんだがな。

パソコンの画面に映ったナポレオンと、自分達がいる教員室が半々で映されている。

イガラシはカメラを構えるヒグラシに対して、小さく頷いた。

パソコンの画面が切り替わり、ナポレオンの姿から、教室の画面へと切り替わる。

イガラシ

(最初に教室に駆け込んだのは間違いない)

イガラシ

(多少、風貌は変わっているけど、イチカだった)

教室を映し出す画面には、数名の男女の姿が見えた。

PC

イガラシセイヤ……幸いなことに多くのお友達が、わざわざ教室に駆けつけてくれたようだな。

PC

駆けつけたのは、イノカワツヨシ、イチノセカシン、ヒガマドカ、イマイヒメ、そしてホンジョウイチカの5名。

PC

このうち、最初に駆けつけた人間を当てるのが、この第三革命ゲームのルールだ。

PC

そして、最初に教室に飛び込んだのは――。

PC

ホンジョウイチカだ。

PC

さぁ、イガラシセイヤ。解答を。

イガラシ

あぁ、言われずとも、もう答えを書いたメモはある人物に渡してある。

イガラシはそこである人物に目配せをする。

同じ学校で勤務するフワだった。

フワ

あの、こうしてちゃんと預かってあります。

カメラの前に出たフワは、折り畳まれたメモ用紙を差し出した。

PC

よろしい、それでは開示してもらおうか。

メモを渡しておいたフワがゆっくりとメモを開く。

しばらくしたのち、まばらな拍手がパソコンから聞こえてきた。

PC

素晴らしい、さすがはイガラシセイヤだ。

PC

まさか、ここまで予測できていたとはな。

フワが小さく溜め息を漏らす。

カメラ越しのメモにはこう書かれていた。

・イチカ ・ニコ ・シキ

かつて【ナンバーズ】と呼ばれたメンバーの名前。

それこそ、まず絶対にイガラシのことを助けようとなどと考えないであろう人物達の中から、イガラシは見事に的中させた。

そう、真っ先に教室に飛び込むのイチカだと。

PC

これは逆張り――というやつかな。

PC

なんにせよ、このゲームはセイヤ……君の勝ちだよ。

PC

さて、こちらは次のゲームの準備をしなければならない。

PC

しばしの間、失礼させてもらうよ。

その言葉と同時に画面が切れ、ただただコメントが流れるばかりの暗黒が再び訪れた。

ヒグラシがカメラを置いて、なかば無理矢理に電源を落とす。

そんなことしていいのかは分からないが、当然ながらカメラの映像はテレビ局にも飛ばなくなる。

生配信をしながらテレビ映像を流していたであろうパソコンのディスプレイも真っ暗。

ただただ慌ただしく、コメントが流れるばかりだ。

イシカワ

イガラシ、思ったよりもうまくいったな。

イガラシ

あぁ、みんなが協力してくれたおかげだよ。

ホソヤ

まさかナポレオンも考えちゃいないだろうな。

ホソヤ

俺達全員が、異なる名前が書かれたメモを持っていたなんて。

イガラシ

えぇ、ナポレオンのことだから、疑って身体検査をすると思っていたんですが、そこまで警戒されなかったらしい。

ヤナギ

それにしても、こんなことよく思いつきましたね。

イガラシ

昔見たマジックの応用ですよ。

イガラシ

それはこんなマジックでした。

イガラシ

まずハートの【1】から【K】までの13枚を集め、それを観客に引かせる。

イガラシ

そして、観客が引いたカードを見て、こう言うんです。

イガラシ

私はあなたが引くカードをあらかじめ知っています。

イガラシ

そちらにある柱時計の中をご覧なさい。

イガラシ

――とね。

イガラシ

それで、実際に観客が会場の柱時計を調べてみたら――本当に観客が引いたカードが見つかる。

イガラシ

さて、どうやってマジシャンはカードを当てることができたのか?

ホソヤ

簡単だ。

ホソヤ

あらかじめ【1】から【K】のカードは、全て会場のどこかに仕込まれていたんだ。

ホソヤ

マジシャンは観客が引いたカードを見て、そのカードを隠した場所を答えただけだ。

イガラシ

その通りです。

オオタ

だから、こうして私達がそれぞれ別の名前が書かれたメモを持っていたと。

オオタがメモを開くと、そこにはツヨシの名前があった。

イガラシ

そう言うことです。

イガラシ

もしツヨシが教室に一番乗りだったら、メモを開くのはフワ先生じゃなくてオオタ先生だったということ。

イガラシ

他の人物が到着した場合も同様。

イガラシ

それぞれ対応したメモを持っている人が、カメラの前でメモを開くだけだ。

キョウトウ

まんまとあちらに一杯食わせてやったな。

イガラシ

えぇ、でもまだ油断なりません。

イガラシ

ナポレオンは必ず仕掛けてきます。

イガラシはそう呟くと、慌ただしくコメントが流れるパソコンのディスプレイを見て、拳を強く握りしめた。

イガラシ

くそ、何が目的なんだ……。

上野原高等学校革命同好会

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