葉子
おめでとう!
葉子
あなたは生き返れるの!
勇太
勇太
(なんだ…この…女の子?)
勇太
(それに…どこだここ?)
勇太
(この子の部屋か?)
勇太
(俺は確かにあの時…)
勇太
(死んだはず…)
葉子
勇太の魂、呼び出せて良かった!
葉子
不安だったの…
葉子
魂が戻らなかったら体があっても意味ないから…
勇太
…から、だ?魂って…?
勇太
(…!)
勇太
(あそこにあるの、俺の体だ!)
勇太
(え…ってことは)
勇太
(俺は今、幽霊!?)
葉子
体が焼かれちゃったら生き返ることができないからね
葉子
ここまで体を運ぶのは大変だったけど
葉子
これでもう安心!
葉子
あなたは生き返れるよ!
勇太
いや…このまま死なせてくれ…
葉子
何言ってるの!
葉子
あなたが死ぬ必要なんてない
葉子
他に死ぬべきやつがいる
葉子
そうでしょ?
葉子
そいつらが死ぬのが
葉子
世の中のあるべき姿でしょ
勇太
(なに勝手なことを…)
勇太
(こっちがどれだけ…)
勇太
(死ぬ準備をしてきたと思ってるんだ…)
勇太
(疲れて疲れて…)
勇太
(とにかくもう疲れて)
勇太
(早く休みたかっただけなのに)
勇太
(どうしてこんな…)
葉子
安心して!
葉子
あなたの体、傷ひとつないから!
勇太
(うっ…俺の体…触ってる…)
勇太
(自分の体だけど…)
勇太
(死体だと考えるとなんだか気持ち悪いかも…)
勇太
(こいつ、よく死体の体なんかに触れるな…)
葉子
大丈夫、大丈夫だから
葉子
死ななくていいの
葉子
生き返る方法はあるの
葉子
だから、あなたはこの体に戻って、ね?
勇太
(今わかるのはこいつがやばい女だってことだな…)
葉子
死ぬのは他のやつ
葉子
死ぬべきやつが死ねばいい
勇太
(ほんと何言ってんだこいつ…)
勇太
(くそ、なんでこんなことに)
勇太
(俺はただ…)
勇太
(死にたくて死んだだけなのに)
葉子
だからあなたは生きて
葉子
死ぬべきは
葉子
あなたをいじめてたやつらの方
勇太
…は?
勇太
(なんでいじめのこと知って…)
勇太
(…あ、よく見たらうちの制服だ…)
勇太
(同じ学校の子か…こんな女子いたかな)
勇太
(というか知らない女子にまでいじめのこと知られてんのか)
勇太
(なんか…やだな)
勇太
ちょっと待って?君は…?
葉子
覚えてないの?
葉子
私は葉子!同じ学校だったじゃない
勇太
(やっぱり同じ学校の子か…)
葉子
そんな不安そうな顔しないで!
葉子
大丈夫!
葉子
あなたならきっとできる!
葉子
だから、あいつらに復讐しよう!
葉子
そしてあなたは生きるの
葉子
生きなきゃいけないの
葉子
だっておかしい
葉子
こんな世の中おかしい
葉子
なんであなたが死ななきゃならないの
勇太
(俺が死んでから言うんだな)
勇太
(だったら生きてる間に)
勇太
(何かしてくれたっていいだろ)
勇太
(わざわざ俺の死体運ぶより)
勇太
(そっちのが楽だろ)
勇太
…もう放っとけよ
葉子
あなたはおかしいと思わないの?
葉子
あなたは本当に
葉子
死ななきゃいけなかったの?
葉子
なんで死んじゃったの?
葉子
安心してよ
葉子
あなたは生き返れる
葉子
見て
葉子
いっぱい勉強してあるから
勇太
(勉強?これが?)
勇太
(怪しい本とか…)
勇太
(なんかのプリントとか…)
勇太
(くだらない…)
葉子
魂が呼び出せたから
葉子
生き返るのだってあとちょっとなはず
勇太
(そうだ)
勇太
(確かに俺はこうやって魂の状態で呼び出されたけど…)
葉子
安心して
葉子
2人で世界を
葉子
正しい姿にしていこうよ
勇太
知らないよ
勇太
正しい世界なんて
葉子
大丈夫、すぐに分かる
葉子
だって魂は戻ってきた
葉子
生き返るために戻ってきたんでしょ?
勇太
(確かに…俺、なんで戻ってきたんだ)
勇太
(こんな中途半端な姿で…)
勇太
(まさか本当に生き返るため?)
勇太
(…いや、いまさら生き返ったところで…)
葉子
あなたには生きてほしい
勇太
(死んでから言われたって…困る)
勇太
(こっちは何回も何回も失敗して)
勇太
(ようやく死ねたんだ)
勇太
(それなのに、また生きろって?)
勇太
(冗談じゃない)
勇太
頼むから死なせてくれよ