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おはぐろ

5 - 別離

♥

24

2024年08月15日

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なんだろう、この痛み……。

真希

大丈夫?

目の前にいる親友に声をかけられる。

あやめ

うん、大丈夫。あれ、先生は?

真希

先生ならどこか行った。あの怪物と共に

あやめ

怪物?

真希

十数分も寝てたら記憶も消えるか。おはぐろさんだよ。

あやめ

え?だって、私の体にいたじゃん。

彼女に見えるはずもないのにそのままの感覚を口に出してしまった。

でも彼女も何も感じないまま私に言う。

真希

あやめの口から出て行ったよ?

あやめ

なにそれ、きもっ

真希

私に言われても。そして教室の外に出て行ったよ。

あやめ

先生を捕まえに?

真希

分からない

あやめ

どうしようか、これから

真希

どうもこうも言ったでしょ?やることは一つ。”ここから出る”って。

あやめ

そうだね。まずは廊下に出よう

私たちは廊下に出た。

静かな廊下に黒い液体。

横たわる人はもうそこに居ない。

だけど動き回る者がいた。

その姿に見覚えがある。

あやめ

美音!!

真希

バカっ。隠れて。

美音

美音が振り返る前に、私たちは近くにあったロッカーの影に身を隠す。

あやめ

なんでよ?

真希

あの子の頭の上を見てみな。それに体も黒っぽい服を着てる。あの子はもう…

真希の言う通り、美音の頭上には黒い髪の毛か糸か分からないものが天井から吊り上げられていた。

あやめ

…助からない

真希

違うわ!!アイツの操り人形って言いたかったの。

あやめ

!?

真希

あの子も一緒に元の世界に帰るの。そして先生も。

あやめ

でも

真希

なら、こうしよう。みんなで一緒に帰る。もし出来ないって今言うなら、このまま歩いて見つかってあげる。

あやめ

…できないよ

彼女は私に苛立ちと涙目を混ぜた感情をこちらに向けて美音へと歩き出す。

彼女と二人きりで元の世界に戻りたいという願望はある。

でもあんな状態の美音を救えないってウチは決めつけてる。

決めつけてる?

だからウチは”おはぐろさん”という化け物に飲み込まれたんだ。

真希の後ろを必死に駆ける。

真希

ひぃ!!

あやめ

けど、やってやる!!

真希

なんだ、あやめか

あやめ

え?

真希は怯えた表情でこちらを見ていた。彼女の手を私は後ろから引っ張っていた。

真希

ごめん、少し漏らした

生暖かい何かが足元にかかっていた。

あやめ

何してんの

真希

てへぺろ♡

あやめ

かわいくないから

あ あ あ 、 み に く い

私とは反対側の真希の目の前にいた者が声を上げていた。

美音だ。

あやめ

美音!!

美音

!?

美音はそのまま手を離してそっとウチらと反対側をのらりくらり歩いて行った。

真希

今、名前呼んだらビクッてした

あやめ

うーん…記憶はあるのかなぁ

真希

なかったら、あのまま引っ張って胸触ってやるんだから

あやめ

漏らしたくせに?

真希

セクハラ

あやめ

どっちがよ

私たちは微かに笑いあった。

笑う門には福来る、ということわざを微かに思い浮かびながら。

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