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地下牢

愛白

(ここが…)

ルイ

お前は、来るの初めてか

愛白

うん

愛白

なんか、意外だな…

ルイ

愛白

その、華やかな城にあるとは思えないっていうか…

イヴィ

どこの国にも、地下牢は存在しますね

イヴィ

ここは閉鎖的で空気も良くありませんが、

イヴィ

大丈夫ですか

愛白

あっ、大丈夫です!

イヴィ

気分が悪くなりましたら、言ってくださいね

愛白

ありがとうございます…

────クソッ!!

愛白

愛白は驚き、目を向ける

騎士

おい、何なんだよ……!

そこには手錠を付けられ、檻の中から喚く騎士がいた

ドロシー

まだ無駄口が叩けるのか

ドロシー

理解してるよな?

ドロシー

自分のした事くらい

騎士

……ふん、それが何だ?

イヴィ

……貴方は、革命軍なのですか?

騎士

もし、「はい」って言ったらどうなる

イヴィ

……

イヴィ

事情を聞かせていただきます

騎士

……死罪じゃないのか

愛白

(……)

愛白

(ちょっと、安心してるような…)

愛白

(でもそれって)

愛白

(……死ねないってこと、だよね…)

イヴィ

…まず、

イヴィ

使用人倉庫で遺体が見つかりました

騎士

……

騎士

疑ってんのか?

ドロシー

我々はただ真実を求める

ドロシー

だよな?

イヴィ

……それが、義務ですので

騎士

……分かった

騎士

確かに、俺たちの仕業だよ

愛白

愛白

多分、殺した人って……

騎士

あぁ、燃えカスになっちまったよ

騎士

お前も目の前で見ただろう

騎士

ただ、俺は主犯じゃない

ドロシー

指示されたのか?

騎士

そこまで言うつもりはないなぁ

愛白

(う……何て人…………)

愛白

(…でも)

愛白

(声が、震えているような…?)

愛白

え、えっと…

騎士

あぁ?

刺すような視線が愛白を突き刺す

愛白

っ!

……こわい

愛白

(大丈夫、大丈夫…)

愛白

もしかして、「言えない」んじゃないですか?

愛白

脅されていたり、するんじゃないかって…

イヴィ

…ふむ

イヴィ

確かに、この方単独での犯行とは思えませんね

イヴィ

愛白さん、思い出すのが辛ければ話さなくていいのですが

イヴィ

現場には何人くらいいたのですか?

愛白

えっと……

愛白

私は、この人に撃たれて

愛白

そして、最初相手した人は燃やされて…

愛白

…あ!

愛白

います、私を刺した人!

ルイ

あ?

イヴィ

ドロシー

…お前……

ドロシー

そんなに重症だったのか?

愛白

愛白

愛白

いや、えっと

イヴィ

まぁ…それ以前に色々なことが起きすぎたので

イヴィ

報告を忘れるのも無理はありませんが…

愛白

(た、助かっ……)

イヴィ

全て終わったら、私の所へ来るように

愛白

…はい……

愛白

(ダメだったか……)

騎士

っそうだ!

騎士

お前、どうして生きてるんだ!?

リタ

あなたが、刺した人?

愛白

いや、この人は、「撃った」人

愛白

…殺れ、って言われた…んでしたよね?

騎士

……

騎士

あぁ

騎士

それで、お前を撃った

騎士

なのに、どうして生きている?

愛白

……

ドロシー

待て

ドロシー

コイツが下手だった可能性は?

騎士

失礼だな、頭を撃ったぞ

愛白

……声が

イヴィ

愛白

声が、聞こえたんです

愛白

誰かと、話したような…

イヴィ

誰かと、ですか?

愛白

(走馬灯?)

愛白

(違う、あんな風景は知らなかった)

イヴィ

……取り敢えず、生きていたのなら、それが1番です

リタ

でもこれで決まったね

愛白

リタ

愛白サンは、単独行動禁止だ

愛白

……ごめん…

騎士

……俺も、ここまでか

イヴィ

何故そう思うのです?

騎士

お前を殺し損ねた

愛白

え、私を?

騎士

指示通り動けなかったんだよ

イヴィ

指示……

イヴィ

やはりリーダーとなるものがいるのですね

騎士

あぁ、どうせ死ぬ身だ

騎士

遺言だと思って聞いてくれよ

愛白

……

騎士

革命軍には、リーダーがいる

騎士

そのリーダーはな

騎士

……「魔術結社」の人間だ、多分な

愛白

ルイ

ここで、か……?

ドロシー

実在していたのか!?

リタ

……

騎士

信じるかはお前ら次第だ

騎士

だが、俺はそうだと見ている

イヴィ

理由を、聞いておきましょうか

騎士

実際、リーダーは魔術を使う

騎士

アイツらを燃やした比じゃねぇ

愛白

(あれも、凄かったけど…)

イヴィ

……魔術結社の人間は、そのリーダーだけなのですか?

リタ

でも、燃やしたのって…

ルイ

別の騎士、だよな?

騎士

そうだ

騎士

俺たちは魔術を1つだけ与えられた

愛白

それが、あの……?

騎士

あぁ、「あれ」だ

ドロシー

名称とかねぇのか?

騎士

教えられてはないな

ルイ

それで使えるもんなのか?

騎士

……教える、というよりかは

騎士

こう、直接……って感じだな

ルイ

へぇ

ルイ

まぁ、兎に角

ルイ

リーダーってヤツ、相当腕に自信があるようだな

愛白

……あ!

愛白

愛白

((イヴィさん))

イヴィ

((どうかしましたか))

愛白

((魔力痕のこと、話してもいいですか?))

イヴィ

((えぇ、よろしいかと))

愛白

…あの

愛白

魔力痕って、ご存じ……ですか?

騎士

魔力痕、だと?

騎士

何だそれは

愛白

(やっ…ぱり…)

愛白

魔術を使うと、痕が残るようなんです

イヴィ

実際、使用人倉庫から魔力痕が検出されました

騎士

!!?

騎士

おい、聞いてねぇぞ…?

イヴィ

恐らく、言われていないのではないですか?

騎士

あぁ、言われてねぇ

愛白

(つまり、遅かれ早かれ、この人は捕まってた)

愛白

(都市伝説とされた魔術、噂程度にしか聞いてない騎士達)

愛白

(魔力痕は消さなかったのではなく、消せなかった)

愛白

(方法を、教えられてないから)

愛白

(つまり……)

ルイ

……使い捨ての駒かよ

ルイが吐き捨てるようにそう言った

騎士

あぁ、そうだな

騎士

まぁこれで─────

─────ラーシェ

騎士

ア……ガッ!!!?

突如として、騎士が苦しみだす

愛白

え……

イヴィ

!!

ルイ

おいっ、大丈夫か!!!

見ると

首 が 裂 け て い た

愛白

あ……あぁ…!

騎士

は……はは…

騎士

やはり……か…グフッ…

イヴィ

イヴィ

今、止血を!

騎士

へぇ……優しい…んだな

騎士

敵、だぜ?

愛白

血が……!

愛白

っでも、まだ……

騎士

いいかァ

愛白

騎士

これが、口封じさァ

愛白

口……封じ…!?

騎士

リーダーは……

騎士

血も涙もねぇ……バケモノだ……

騎士

ははは…せいぜい……足……掻け…

……最期の言葉は、

血に塗れて、よく聞き取れなかった

愛白

…あ……死ん…で……

ドロシー

はぁ…

リタ

……もしかして

リタが重々しく口を開く

リタ

詳しく話さなかったのって…

イヴィ

ええ、「口封じ」で殺されてしまうから、でしょうね

イヴィ

…愛白さん、大丈夫ですか?

イヴィ

(誤算でした、もっと早く気づいていれば…)

イヴィ

(愛白への刺激が強すぎる…)

愛白

……だ

愛白

大丈夫、です…!

イヴィ

……

愛白

……

愛白

どうか、しましたか?

イヴィ

……いえ

イヴィ

(彼女の、目)

イヴィ

(最初に会った頃とは、だいぶ違いますね)

イヴィ

何かあったら言ってくださいね

愛白

はいっ…

ルイ

なぁ

ルイ

今のも、魔術か?

イヴィ

恐らく

ドロシー

薬品はあるが……

イヴィ

…今は、やめておきましょう

イヴィ

(少なくとも、彼女がいる目の前では、ですが)

ルイ

リーダーってヤツの名前、聞きそびれちまったな

イヴィ

ですが、有益な情報は得られました

イヴィ

彼の証言が本当ならば

イヴィ

魔術結社が関わっている、ということになります

イヴィ

そして、リーダーなる者のみがその人間

イヴィ

他も炎の魔術を使ってくるようです

リタ

警戒が必要だね

リタ

魔術の避け方なんて、分からないし

ルイ

魔術は魔術でしか防げねぇのか?

イヴィ

…恐らく、そうではないでしょうか

リタ

……ね、あのさ

イヴィ

何でしょう?

リタ

噂、程度だとしても

リタ

魔術が存在してるんだったら

リタ

騎士とか、王様くらいは魔術を習得するべきなんじゃないの?

イヴィ

……

ドロシー

……そうなのかもしれねぇな

イヴィ

いえ、駄目です

間髪入れずに、イヴィは言う

リタ

えっ?

イヴィ

兎に角、駄目なんです

イヴィ

……もう、二度と…

愛白

い、イヴィさん……

イヴィ

っ!

気づけば、愛白が心配の目を向けている

愛白

えっと、大丈夫、ですか?

愛白

その、無理しないで…

イヴィ

……

我に返ったように、

イヴィ

…すみません

そう小さく言った

ドロシー

はぁ…まぁ、ここでじっとしてても埒が明かねぇ

ドロシー

私は一度、ロック様にご報告しに行ってくる

リタ

待って、僕も行く

リタ

ちょっと、気になることがあって

ドロシー

あぁ、まぁいいが…

ドロシー

お前達はどうする

イヴィ

彼は、騎士の方々に任せましょう

イヴィ

私は少し、調べ物を

イヴィ

愛白とルイさん、手伝ってくれますか?

愛白

は、はい!

ルイ

いいぜ!

ドロシー

それじゃあ、2手だな

ドロシー

何かあったら、伝書鳩で──

リタ

いや、これを使おう

イヴィ

……通信機、ですか

リタ

そう、一応ね

イヴィ

……では、お気をつけて

騎士

───リーダー!

騎士

ご報告に参りました!

騎士

魔力痕が見つかったようです

騎士

そして、トムが連行されました!

騎士

侵入は何時にしましょうか

……あぁ、彼か

そうして、マントを被った人物は騎士へ手を向ける

騎士

────っ!!?

騎士

え、あ……こ、これは…?

トム、じゃないのかい?

君達が一番知っているだろう

騎士

え、トム……どうして…?

君達は、今の王に文句がおありのようだね

騎士

だから、集まったんだろう?

……まさか、「こんな過激とは思いませんでした」だなんて言わないよね?

騎士

えっ……と

……甘く見るな

騎士

っ!

騎士

……も

騎士

申し訳ありませんでした!!

……

騎士

ほ、報告は以上です!!

逃げるように、暗闇の部屋を去る

残された暗闇に、人影は一つ

……だが、声は二人分聞こえる

─────やぁ

順調かな?

……

無視か、悲しいね

せっかく、私が教えてあげたのに

……やっぱり、君だったのか

「やっぱり」?

タイミングが噛み合いすぎてるからね

でもまぁ、思い出せたのならいいんじゃないか

……嫌な走馬灯だ

さぁ、君には期待しているよ

どうか、私を楽しませてね

声は消える

……「イヴィ」

悪いけど

君には死んでもらうよ

全ての元凶なんだから

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