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#ギャンブル
りんご
904
19
朽華 歌仙
78
“灰の間”での第2試練が終わった後、生き残った生徒たちはしばらく動けなかった。
残存者21名。
その数字が、菜々美の頭に重く沈んでいる。
第1試練終了時は36人。
それが今は21人。
2つの試練で、18人がいなくなった。
生島菜々美
数ではわかる。
けれど、18人全員の顔はすぐに浮かばなかった。
凪津美。
玖玖瑠。
雷良。
珂瑛来。
梓。
好美。
葉月。
名前を口の中でなぞるたび、いくつかの声が辛うじて甦る。
大吉のはずなのに。
ウサコちゃあん。
いい子になりますから。
あなたなんか、親友じゃ――
けれど、周囲の表情でわかった。
もう全員が死者を覚えているわけではない。
死んだという事実だけが残り、少女たちの輪郭が、灰色の部屋に吸い込まれるように薄れていく。
新倉穂乃花
穂乃花の声も、どこか遠かった。
新倉穂乃花
菜々美は何も言えなかった。
忘れたくない。
でも、忘れさせられている。
そんな感覚が、喉の奥に張りついていた。
SYSTEM
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灰色の部屋の壁が、音もなく横へ滑った。
前回と同じように、動く床が続いていた。
生徒たちは、もう逆らわなかった。
後戻りできないことは、全員が理解していた。
動く床が生徒たちを一直線に運ぶ。
約2分後、次の間へ着いた。
そこは、黒い部屋だった。
完全な暗闇ではない。
天井からの光には、わずかに白みが残っている。
けれど、黒みを帯びた光が銀色の床や壁に反射し、室内を薄暗く沈ませていた。
部屋の中央には、正方形のテーブルが3つ。
各テーブルを挟んで、固定式の大きな椅子が2つずつ向かい合っている。
誰かと誰かを向かい合わせるためだけに作られた部屋のようだった。
SYSTEM
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理解。
菜々美の脳裏に、好美と葉月の姿がよぎった。
親友だと言っていた2人。
最後に、その関係が壊れた2人。
その直後に、“理解”を問う。
偶然とは思えなかった。
SYSTEM
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生島菜々美
生徒たちは、互いの顔を見合わせた。
けれど、すぐに沈黙が落ちる。
すぐに手を挙げる者はいなかった。
沈黙を破ったのは、生徒ナンバー10・金本爽香だった。
金本爽香
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爽香の質問を予測していたような声だった。
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爽香は静かに考え込んだ。
金本爽香
そして、はっきりと言った。
金本爽香
金本爽香
周囲の生徒たちも、何度も頷いた。
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室内に、低いざわめきが広がった。
第7試練までの免除。
あまりにも大きな報酬だった。
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生徒たちの間で、思惑が交錯する。
危険すぎる。
だが、成功すれば第8試練まで進める。
命を賭ける価値があるのか。
ここで動くべきなのか。
金本爽香
金本爽香
爽香は周囲を見た。
自分を十分に理解している人間。
自分も十分に理解している人間。
そして、いざという時にコントロールできる人間。
金本爽香
爽香は、生徒ナンバー28・橋村弥生に近づいた。
弥生は幅広い読書を好み、情報収集のネットサーフィンも欠かさない。
その過程で、偶然爽香のブログを見つけた。
大人びていて、同世代に排他的な爽香。
その爽香が、弥生にだけブログの非公開部分を見せていた。
2人はそこで、2年以上も近況をやり取りしている。
金本爽香
金本爽香
弥生は目を伏せた。
橋村弥生
橋村弥生
弥生は顔を上げた。
橋村弥生
金本爽香
金本爽香
普段は表情を変えない爽香の切れ長の目が、微かに緩んだ。
納富由香利
納富由香利
由香利は、生徒ナンバー39・和久井莉乃へ近づいた。
莉乃と由香利は、小学校時代からの幼馴染みだ。
莉乃は、いつも甘えてくる由香利を疎ましく感じることもある。
けれど、姉御肌で、弱い者を見捨てられないタイプだった。
納富由香利
和久井莉乃
納富由香利
莉乃は、しばらく由香利を見つめた。
和久井莉乃
やがて、小さく頷いた。
和久井莉乃
由香利の表情に、安堵が広がった。
そして、もう1組。
生徒ナンバー08・貝塚絹玖と、生徒ナンバー13・近藤姫羅莉だった。
絹玖は、ふわりとした雰囲気ながら、どこか読めない少女。
姫羅莉は名前の印象に反し、現実的で計算高い。
普段から特に目立つ組み合わせではない。
けれど、互いの距離の取り方を知っているように見えた。
近藤姫羅莉
貝塚絹玖
近藤姫羅莉
貝塚絹玖
姫羅莉は一瞬笑った。
近藤姫羅莉
軽いやり取りだった。
けれど、2人の目は笑っていなかった。
立候補のペアが決まっていく中で、菜々美も考えていた。
生島菜々美
生島菜々美
菜々美は、穂乃花へ近づいた。
生島菜々美
穂乃花は、すぐには答えなかった。
菜々美を見つめ、少し視線を落とす。
そして、小さな声で言った。
新倉穂乃花
新倉穂乃花
生島菜々美
新倉穂乃花
菜々美は目を見開いた。
けれど、すぐにその意味を理解した。
“理解”を問う試練。
ただ正解すれば得をするだけの試練ではない。
間違えれば、相手を理解していなかったと突きつけられる。
生島菜々美
生島菜々美
穂乃花は申し訳なさそうに、ゆっくり頷いた。
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黒い部屋の中央にある3つのテーブルが、微かに光った。
それぞれに、組番号が浮かび上がる。
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菜々美は、立候補した6人を見つめた。
本当に相手を理解しているのか。
その問いは、6人だけに向けられているわけではない気がした。
黒い部屋で、誰もが誰かの顔を見ている。
そして、少しずつ疑い始めていた。
自分は、目の前の相手を本当に知っているのか。
あるいは――
知っていると思い込んでいただけなのか。
コメント
1件
うわ、今回の「理解」の試練、めっちゃ重い…でもめちゃくちゃ面白かった!最初の「死者の顔がもうぼやけ始めてる」って穂乃花の台詞、ゾッとしたよ。屍体が残るわけじゃないから、どんどん記憶が薄れていく感じ、この作品のデスゲームの残酷さがそこに詰まってる気がする。 爽香×弥生のペアは「ブログの非公開部分」って伏線が生きたし、由香利が自ら立候補したのも「痛いのも死ぬのも絶対ヤダ」ってキャラ立ってるなと思った。絹玖と姫羅莉の「たぶん→かなり」のやり取りも、軽いけど目が笑ってないのがいい味出してた。 菜々美と穂乃花が挑戦しなかった決断も、逆に2人の深い信頼を感じさせてグッときた。次回、この3組がどうなるか超気になる!