星のない夜空に自分の吐いた 白い息が昇っていく
こんな年にもなってカラオケで ストレス発散とか…
自分の事ながら溜め息が出る
警察官
るり
早く家に帰って コンビニ弁当でも食べよう
くだらないことを考えながら 歩いていると
突然肩に手がのせられた
警察官
るり
今さっきこの男が呼び止めたのは 『お嬢さん』だ。
言っておくが私はお世辞にも お嬢さんなんて年齢ではない
身長だけみれば 確かに高校生に見えなくもないが
既にアラサーで 顔も相応に老けている
微妙な違和感を覚えたが、 相手は警官だ
職業相応の責任があるだろうし 危険に晒されることはないだろう
るり
警察官
警察官
警察官
反射的に眉間に皺が刻まれる
本当に警察官だろうか?
警察官の服を着てはいるが この男が本当に警官なのか 私には分からない
警察手帳を見せてもらったとしても 安心はできない
素人の私には恐らく偽物かどうかなんて区別はつかないからだ
もちろん勤めているところを聞いて 問い合わせれば分かるだろうが
この男が変質者だったら 下手に刺激してしまうことになる
かといって個人情報は渡したくない
るり
年齢はそのままだが 少し嘘を混ぜて答える
私の本名は高梨るりだし、 勤めているのはバツマル社だ
後で嘘がバレたとしても 事情を話せば分かってくれるだろう
警察官
警察官
るり
当然この住所も嘘
つい最近友人から子供の話を 聞かされた時に何となく覚えた ア○パ○マ○ミュージアムの住所だ
警察官
るり
警察官
突然の大声に驚いて坂道を駆け下る。
なぜ住所が嘘だとバレたのだろう?
わざわざア○パ○マ○ミュージアム の住所を覚えてる人間なんて きっと私くらいのものなのに
怒鳴り声が近くなってくる
もうダメだ
そう思った私の目の前が 急に明るくなって……
ゴッ
これは後から聞いた話だが
あの男は私のストーカーだったらしく
家の前で張り込んでは 私を盗撮していたらしい
あの日坂を駆け下っていた私は 車に轢かれて病院に運ばれたお陰で あの男から逃れることができた
あの男は轢かれた私に 馬乗りになろうとしたらしく、
私が飛び出してきたことに 関与していると見た 車の運転手と同乗者が取り抑えて
救急車と共に呼んだ警察に 突きだして最終的に逮捕された
余談だが
確かにア○パ○マ○ミュージアム の件は冗談だし
他にもフェイクはたっぷり 交えているが
これは私の体験談である
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