数分間待っていると
母様は真っ白な刀を出してくれた
これが
代々沙羅家に伝わる伝説の刀
この大陸を脅かした存在「サラナ」を
討伐した沙羅家2代目巫女様も使ったとされている宝刀だ
その刀は宝刀と呼ぶに相応しい力を持っていた
「白刀・白雪」は自分の血を吸わせることで強化され
強化された刀で戦う
それが沙羅家に伝わる使い方だ
メシン
メシン
メシン
メシン
メシン
手に持っていても違和感は全く無く
手に馴染む感覚がする
…沙羅家の血に、反応しているのだろうか?
風魔
風魔
風魔
「巫女様」
風魔がそう呼ぶのは、この世界でたった1人
沙羅家2代目巫女様のみだ
何故か知らないけど
風魔は母様もボクも「巫女様」とは呼ばない
ちなみに血縁関係も薄い
というのも、ボクの母である仁詠も血縁関係は薄いのだ
母様はかつて2代目様の血を吸ったことのある吸血鬼の子孫なのだ
…と言っても、会ったことは無いらしいけど
そして、吸血鬼の血の中に沙羅家の血が混ざっていたから
こうして沙羅家の巫女に選ばれたのである
メシン
風魔
風魔
風魔
メシン
そんに褒められるとちょっと恥ずかしい
だって、あの2代目様だ
沙羅家の華、とまで呼ばれた方に似てるなんて
照れない方が難しい
……けど
メシン
メシン
そこまで言うと、ハッとした顔で視線を逸らす風魔
風魔
???
???
???
聞きなれない声が部屋に響く
声の方を見ると
少年…………?と思わしき人物が居た
え……誰…?
???
???
風魔
風魔
風魔
???
風魔
???
???
そう言って、ちらっとこっちを見てくる人
……いや、人なのか……?
???
風魔
というか、誰だこの人
風魔と対等に喋ってる……?
ボクがおかしいだけで、風魔はとても偉い人なのだ
何故なら、風魔はかつて沙羅家2代目巫女様に仕えた神の使いだから
そして、あのサラナ襲撃の生き残りだから
ボクが拾われる前は、母様に対する態度も今より薄情だったと聞く
その考えを1人で変えたのが、風魔だ
未だに沙羅家よりも風魔の方が八大陸の主に相応しいと言う声も多い
そんな偉い風魔と、対等に喋れる
そして、それを許可している
この方は、一体…
仁詠
仁詠
あまりにも気になったのか
2人の話に割って入る母様
……なんだか、らしくないな
風魔
風魔
風魔
風魔
クルト
クルト
風魔
クルト
クルト
クルト
風魔
風魔
クルト
風魔
こうして、ボクと母様は
思いもよらぬ形で先祖様に出会ったのである
クルト
風魔
クルト
クルト
クルト
クルト
風魔
クルト
こんな会話が続くこと約1時間
ボクと母様は完全に蚊帳の外である
なんだか、スルースキルの高さを比べているような気分になってくる
クルト
クルト
クルト
クルト
……ももか?誰だろ、その人
ボクに似てるってことは沙羅家の人間の可能性が高いけど…
仁詠
仁詠
仁詠
仁詠
……なるほど
ももかと言うのは沙羅家2代目巫女様のお名前らしい
となると、桃に香ると書いて桃香様か
可愛いお名前だ
クルト
クルト
そこまで言って、容赦なく口を塞がれるクルト様
……窒息しそうだけど、大丈夫なのか?
風魔
風魔
風魔
……え?
風魔と、同じ?
それなら相当位が高いことになるけど…
というか、2代目様と一緒に居たって…
……吸血鬼、不老不死と書物に書かれるだけはあるな
見た目が幼い
風魔
風魔
仁詠
そう言ってクルト様の首根っこを掴んで外に出る風魔
……ねぇやっぱり窒息するよそれ
そして息苦しそうな掴まれ方をしているのに
クルト様はずーっと笑っていた
……なにかおかしい所、あったかな…?
いつもの風魔と大して変わらなかったと思うけど
そんなことを考えつつ
白刀・白雪、どこに仕舞おう
そんなどうでもいいことを考えて
現実逃避をした
メシンであった