去華就実の風

〜風魔が部屋から出る数分前〜

とはいいつつ

あそこで盗み聞きしたことがバレないようにしなければ

と、必死になって隠しているだけである

なにやらいつもより多く荷物を持っている風魔

いつもは基本的に手ぶらなのに今日はカバンを持っている

…しかも、そこそこ大きい

そう言って手提げのカバンを見せてくる風魔

…よく見ると、結構中に入ってそうだ

と、だいぶ失礼な事を平気で言うボク

というか、八大陸で目立っているのが風魔の大陸なだけで

それ以外は特に調べたこととかは無かったな…

ますます意味が分からない

なんだ…それ……

初耳なんだけど……？

そういって、穏やかな笑顔になる風魔

嘘を言ってるようには、見えなかった

少し、寂しそうな顔をする風魔

神の使い様関連のことを話す時は、こんな顔になりがちだった

極論言ってしまえば

ある人が居なくなったから消えた文化、ということになる

そんな……

そんな…簡単に？

これが、現実か

嫌という程、分かってしまう

もし、神の使いという存在が

ただの象徴なんかではなく

八大陸にとっての、全てだったら？

全てが、破綻する