一覧ページ

ちょっと不思議で怖い話

第4話 - 第4話消えた昭和43年度の議事録

2025年03月19日

#ホラー

#談話

#怖い話

#不思議

#怪談

蜘蛛雲

ノワールくん

はじめまして

小清水文夫

はじめまして

ノワールくん

お名前と職業を教えてください

小清水文夫

衆議院議員です。

ノワールくん

それでは、小清水さんが体験した話を教えてください。

小清水文夫

わかりました。

小清水文夫

あれは、今から数日前の出来事でした

あれは、数日前の出来事

私が衆議院議員に当選して初めての予算委員会に参加した日のことです。

小清水文夫

はじめての予算委員会での質問…

小清水文夫

うまくできたかなぁ…

鳩羽時貞

小清水君

小清水文夫

そ、総理！？

鳩羽時貞

…

鳩羽時貞

話があります。

鳩羽時貞

後で首相官邸に来るように…

小清水文夫

は、はい
承知しました。

総理から直接呼びかけがあるのは滅多に無いので不安でいっぱいでした。

鳩羽時貞

…

小清水文夫

そ、総理

首相官邸に呼ばれた私は、総理からある頼みをされました。

鳩羽時貞

君に少し頼みがあ
ります。

小清水文夫

何なりと

鳩羽時貞

君に調べてほしいものがあります。

小清水文夫

調べてほしいものですか？

鳩羽時貞

昭和43年度の議事録を探してほしい

小清水文夫

昭和43年度ですか？

鳩羽時貞

ええ

小清水文夫

…しかし
そんな昔の予算書を探してどうするのですか？

鳩羽時貞

…

鳩羽時貞

君は知る必要はない

鳩羽時貞

君は黙ってその資料を見つければ良い…

小清水文夫

は、はい…

鳩羽時貞

それと…

鳩羽時貞

くれぐれも中身は見ないように

鳩羽時貞

わかりましたね？

小清水文夫

は、はい

消えた議事録

その依頼はこの国の根幹を揺るがすようなものではないかと内心震えていました。

私は、依頼された議事録を探すためにWeb上のデータベースや国会図書館を探しましたが昭和43年度の議事録は見つかりませんでした。

小清水文夫

……

小清水文夫

どうしたものか…

成瀬潤

小清水さん

小清水文夫

な、成瀬さん

成瀬潤

こんな所で何をしているのですか？

彼は、成瀬潤私と同期の議員です。

小清水文夫

総理から消えた議事録について探れと言われここに…

成瀬潤

消えた議事録…？

小清水文夫

はい

成瀬潤

もしかして…

成瀬潤

昭和43年度の議事録ですか？

小清水文夫

ええ！

小清水文夫

何かご存知ですか？

成瀬潤

どこにあるかは知りませんが…

成瀬潤

あの議事録についてなら知っています。

小清水文夫

そもそも、その議事録はどのようなものなのですか？

成瀬潤

…

成瀬潤

あの議事録には
ある秘密が記されています。

小清水文夫

秘密…ですか？

成瀬潤

ええ

成瀬潤

内容は知りませんが…

成瀬潤

その秘密は国を根底から覆すものだとか…

小清水文夫

は、はぁ…

小清水文夫

なんとなくそうだとは思いましたが…

小清水文夫

なぜ、総理はそれを探しているのでしょうか…

成瀬潤

……

成瀬潤

さぁ

成瀬潤

…

成瀬潤

もしかたら、その議事録の行方を知っている人ならわかるかもしれません。

小清水文夫

ほんとですか！？

成瀬さんに紹介してもらったのは、とある女性でした。

小清水文夫

はじめまして

謎の女性

…

独特な雰囲気を持つ若い女性でした。

口元には牙のようなものが…

小清水文夫

成瀬さんから昭和43年度の議事録の行方を知っていると聞きました。

謎の女性

……

小清水文夫

もしご存知なら教えていただけますか？

謎の女性

なぜ？

小清水文夫

？

謎の女性

なぜ貴方にそんなことを教えなければならないの？

小清水文夫

何故って…

小清水文夫

総理から頼まれて…

謎の女性

でしたらお帰りください

謎の女性

貴方と話すことなんかありません…

小清水文夫

そこをなんとか…

謎の女性

貴方は命が欲しくないんですか？

小清水文夫

い、命って

謎の女性

あの議事録を見た人達は皆、不審な死を遂げました。

謎の女性

それでも良いのですか？

小清水文夫

あれは、どういった内容のものなのですか？

謎の女性

…

謎の女性

どうして、それを私に聞くの？

謎の女性

貴方の主人に聞けばいいでしょ

小清水文夫

総理からは詮索するなと言われました。

謎の女性

なら知る必要はないのでは？

小清水文夫

…

小清水文夫

私もこの国を背負う代議士である以上、知る必要があります

小清水文夫

この議事録を使って総理が何をしようとしているか分かりませんが…

小清水文夫

もしそれを総理が悪用するつもりなら…

小清水文夫

私は壁になって止めてるつもりです！

謎の女性

…

謎の女性

わかりました

謎の女性

議事録をお渡しいたします

謎の女性

ですが、内容は言えません

謎の女性

今から議事録をお渡ししますが

謎の女性

絶対に中を見ないようにしてください

謎の女性

いいですね

小清水文夫

…

謎の女性

それができないのであればお渡しすることはできません

小清水文夫

…

小清水文夫

わかりました

小清水文夫

中は絶対に見ないと約束します。

謎の女性

この議事録ひとつで

謎の女性

数多もの命が失われるかもしれないことを…

謎の女性

忘れないで

小清水文夫

…わかりました

議事録を手に入れた私は、総理のもとに赴きました。

小清水文夫

…総理

鳩羽時貞

…議事録を手に入れたようですね

小清水文夫

議事録の内容についてですが…

鳩羽時貞

詮索するなといったでしょう

鳩羽時貞

何度も同じことを言わせるな

小清水文夫

…失礼いたしました

鳩羽時貞

もしや君は中身を見たのですか？

小清水文夫

…

鳩羽時貞

見たのかと聞いているんだ

小清水文夫

いいえ

小清水文夫

一切見ておりません

鳩羽時貞

ならよろしい

小清水文夫

総理

鳩羽時貞

何ですか?

小清水文夫

それをどうするつもりですか？

鳩羽時貞

…

小清水文夫

私も代議士である以上、有権者の方々に恥じるようなことをしたくないので…

鳩羽時貞

何が言いたいのです？

小清水文夫

総理はそれを悪用するつもりですか？

鳩羽時貞

…

鳩羽時貞

悪用などしないよ

鳩羽時貞

ただ、

鳩羽時貞

秘密を消し去るだけ

鳩羽時貞

小清水君

鳩羽時貞

この一件のことは全て忘れなさい

鳩羽時貞

この議事録を渡してくれた彼女のことも…

小清水文夫

…！？

鳩羽時貞

もし口外しようものなら…

鳩羽時貞

君の命はないよ

鳩羽時貞

小清水文夫

…

小清水文夫

その言葉、胸に刻みます

鳩羽時貞

よろしい

鳩羽時貞

もう帰って休みなさい

小清水文夫

それでは失礼します。

鳩羽時貞

小清水君

小清水文夫

はい？

鳩羽時貞

本当に議事録の中身を見ていないのか？

小清水文夫

はい

鳩羽時貞

……

鳩羽時貞

わかりました

鳩羽時貞

もう行きなさい

ノワールくん

昭和43年度

ノワールくん

消えた議事録

ノワールくん

何が何だかさっぱりですね

小清水文夫

…

ノワールくん

どうされました？

小清水文夫

実は

小清水文夫

あの議事録の中身を見てしまったんです

ノワールくん

えっ！？

小清水文夫

昭和43年度4月4日特別会議議事録

小清水文夫

普通の国会の議事録の内容でした。

小清水文夫

最後の1ページを除いて…

ノワールくん

そこには何と？

小清水文夫

…

小清水文夫

吸血鬼

ノワールくん

？

小清水文夫

最後の1ページにはこんなことが記されていました

小清水文夫

題名は日本国統治権に関する特別契約

小清水文夫

日本の統治権は吸血鬼に一任する

小清水文夫

こう書かれていました

ノワールくん

到底信じがたい話ですね

小清水文夫

私も…

小清水文夫

最初はそう思いました

小清水文夫

…ですが…

小清水文夫

その議事録の写真…

小清水文夫

昭和43年に撮られた写真に…

議事録を渡してくれた女性と鳩羽総理が並んでいました

ノワールくん

…！？

小清水文夫

これが…その写真です

ノワールくん

はえ〜

ノワールくん

これは驚きですね

小清水文夫

総理が私にこの議事録を探させたのは…

小清水文夫

恐らく自分の出自…吸血鬼であること、日本の統治権に関する証明を手元に置きたかったのでしょう

ノワールくん

…

小清水文夫

この国が吸血鬼に支配されていることを知った人物は皆殺されています。

小清水文夫

…きっと私も…

ノワールくん

でも議事録は見ていない総理に言ったのでしょ？

小清水文夫

はい

小清水文夫

しかし最後に尋ねた時の総理の目は…

小清水文夫

疑いの目で満ち溢れていました。

鳩羽時貞

不在着信

小清水文夫

…

小清水文夫

聞いていただきありがとうございました

小清水文夫

最期に貴方と出会えて嬉しいです…

ノワールくん

身の安全をお祈りいたします…

ちょっと不思議で怖い話

作品ページ

次の話を読む

この作品はいかがでしたか？

0件

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう！

蜘蛛雲

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

ちょっと不思議で怖い話

第4話 - 第4話 消えた昭和43年度の議事録

第4話 - 第4話消えた昭和43年度の議事録