君とあの夏をもう一度(番外編)

ｻﾞｰ

あれから10年

今日は桜の命日だった

花束を添えながら

私は話す

それは

10年前〜

私はまだ桜のことが

忘れられなかった頃

あの夏を

やり直したって

思いは変わらなかった

ｺﾂﾝ

瓶の中に紙切れがひとつ

ふいに気になり

紙を取り出す

それは

桜からの

手紙だった

私は読みながら

取り乱す

そこには…………………

"大家へ"

"気づくの遅すぎ"

"待ってたんだよ？"

"俺もう、いないじゃん"

"お前なら分かるって"

"思ってたのに見損なった"

"ってただの言い訳だよな"

"ごめん"

実はさ俺も色々あったんだ"

"偽ってたりしてな"

"不思議と大家の前だと"

"素だったりな"

"なんてな"

"俺の分も生きるんだぞ？"

"死のうとするなよ？"

"憧れって言ってたけど"

"真似しなくていいからな"

"まぁよろしくな"

"桜 拓輝"

私は桜が抱えていた事を

初めて知った

詳しくは書いてなかったけど

手紙から「助けて」

という声が聞こえてきた

考えれなかった

いつも笑顔で人気者だった彼だから

気がついてしまった私だけ

自殺だったって事に

そして私は

人をたくさんの人を

「本当の笑顔にしたい」

「救いたい」

そう思うようになった

それから私は

たくさん勉強して━━━

まだ好きだった

まだ諦めれなかった

出会いもあったけど

やっぱり拓輝が良かった

何年かたった今でも

私は

君とあの夏を

やり直した事を忘れない

拓輝がいなくても

私の想いは変わらないから