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コメント
2件
切ない… .ᐟ.ᐟ好きな人には声かけるの緊張しますよね(´vωv`*) たとえがすごく素敵です✨
恋をした。
あの日。
あの春の始まりに。
あの人に出会って、
やっぱり好きになって、
一生懸命で真剣なあの眼差しが
私は好きだった。
高校へ入学した春。
白原未桜が初めて桐生紿駕を見たのは、 体育館だった。
壇上で代表挨拶をしていた先輩。
背筋を伸ばして、
真っ直ぐ前を向いて、
緊張なんて感じさせない声で話していた。
ただ、それだけなのに、
未桜は目が離せなかった。
それから毎日、
気づけば、桐生を探していた。
廊下の向こう。
グランド。
図書館。
昇降口。
見つけるだけで嬉しくて、
見失うだけで少し寂しい。
でも、話しかけたことは一度もない。
名前を呼んだことすらもない。
ただ遠くから見て、
勝手に好きになって、
勝手に胸を苦しくさせてただけ。
友達
友達は笑う。
未桜は慌てて目を逸らした。
白原 未桜 シロハラ ミオ
友達
図星だった。
でも、認めるのが怖かった。
だって、
"好き"って言葉にした瞬間、終わってしまいそうだったから。
桐生は人気者だった。
後輩からも慕われて、
同級生とも楽しそうに話して、
女子から告白されているところも何度か見た。
その度、胸がぎゅっと苦しくなる。
でも、
桐生はきっと未桜のことなんて知らない。
廊下ですれ違ってもただの"後輩の一人"
それでいい。
そう思おうとしていた。
冬。
3年生の卒業式が近づいていた。
校内の空気が少しずつ変わっていく。
卒業式まであと少し。
その現実に、未桜は急に怖くなった。
_____もう会えなくなる。
教室の窓から見える背中。
友達と笑う声。
部活へ向かう姿。
全部、もう見れなくなる。
なのに、未桜は今日も何も言えない。
放課後。
人気のない廊下で、未桜は一人立ち尽くしていた。
少し先に桐生がいる。
夕焼けの光が制服を染める。
今なら呼び止められる。
"好きでした"
たったそれだけ。
それだけなのに。
喉が震えて、足が動かない。
怖かった。
困らせるのが。
迷惑だと思われるのが。
そして何より、
この恋が本当に終わってしまうのが。
桐生はそのまま歩いていく。
振り返らない。
当然だ。
未桜の想いなんて、知らないのだから。
白原 未桜 シロハラ ミオ
小さく呼んだ声は、桐生には届かなかった。
その背中が角を曲がって消えた瞬間、
未桜の目から涙が落ちる。
卒業式の日。
桜はまだ咲いていなかった。
体育館から出てくる卒業生たち。
写真を撮って、
泣いて、
笑って。
その中に桐生もいた。
未桜は遠くから見つめる。
最後くらいちゃんと言いたかった。
でも、結局足は動かなかった。
桐生は友達に囲まれながら、
校門の向こうまで歩いていく。
春風が吹く。
未桜の髪を揺らして、
視界を滲ませた。
恋をした。
あの日。
あの春の始まりに。
あの人に出会って、
やっぱり好きになって、
一生懸命で真剣なあの眼差しが、
私はずっと
好きだった。