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ダストシュートをのぼること数分。

ようやく体育館へと辿り着いたツヨシとカシン。

カシン

思ったより楽勝でしたね。

カシン

他愛もない。

ツヨシ

下から俺が支えてやってたんだから、お前は楽だったろうな。

ツヨシ

おかげさんで、こっちはくたくただよ。

ツヨシはそう言うと腕時計に視線を落とす。

タイムリミットまで残り10分。

ツヨシ

カシン、とりあえず正面玄関を開けてやってくれ。

ツヨシ

ヒメとマドカが待ってる。

カシン

言われずとも、ヒメが待っておられるのであれば。

カシンの原動力は言うまでもなくヒメ。

ツヨシ

あぁ、頼んだぞ。

ツヨシ

あ、ただお前が真っ先に教室に向かうような真似はするなよ?

ツヨシ

どう考えても、ここにお前が来るってことは、なかなかセイヤには予測しがたい。

カシン

――そんなことは百も承知ですよ。

カシン

ただ、今回のゲーム……どうやら、こちらが不利のようですよ。

ツヨシ

何言ってんだ?

カシン

このゲーム、どう足掻いてもセイヤが勝てない状況があるんです。

カシン

それは――クラスメイトの誰もが教室に姿を現さずにタイムリミットを迎えること。

カシン

もしナポレオンの立場から考えた時、確実にセイヤに勝つためには――。

カシンはそう言って振り返る。

その瞬間、ツヨシにもはっきりと見えた。

カシンの向こう側――渡り廊下のさらに向こう側にある人影が。

カシン

私達が教室に向かう前に阻止をすればいい。

ツヨシ

カシン伏せろ!

向こうに見えた人影が銃らしきものを構えたような気がして、とっさにカシンのほうへと床を蹴る。

カシンにタックルをお見舞いするような形になって申し訳なかったが、発砲音と同時に、熱いものがツヨシ達の頭上をかすめた。

カシン

――本物?

カシン

その割には発砲音がちんけだったし、あの形の銃器にしてはブローバックも弱かったように見えた。

ツヨシ

大丈夫か?

カシン

えぇ、多分ですけど、あいつが持ってるのは本物じゃありませんね。

ツヨシ

その割には――なんか壁がえぐれてるけど。

弾道の先へと振り返ってみると、割りかし大きめの穴が壁に開いていた。

カシン

改造したエアガンでしょうけど、殺傷能力がないとは言い切れませんね。

カシンはそう呟くと、ゆっくりと起き上がる。

ツヨシもそれに続いて立ち上がった。

今もなお、渡り廊下の向こう側には人影が見える。

ツヨシ

卑怯だぞ!

ツヨシ

いざ俺達が来たら来たで、それを妨害しようだなんてよ!

ツヨシが叫ぶが、しかし人影は動かない。

ツヨシ

くそ、渡り廊下を塞がれちゃ、こっちとしては身動きが取れねぇじゃねぇか。

刻一刻とタイムリミットは迫る。

カシン

なにか良い方法ありませんかね?

ツヨシ

――俺に考えがある。

ツヨシ

って言っても、泥臭い正攻法しかないけどよ。

ツヨシ

カシン、ちょっと来い。

ツヨシはそう言うと、渡り廊下の向こう側にいる人影を睨みつけつつ、体育用具室へと向かった。

一方、正面玄関前。

マドカ

――あいつら遅いわね。

マドカ

なにかあったのかしら?

待てど暮らせどツヨシ達はこない。

ただ時が流れるだけであり、それが焦りと苛立ちへと変わる。

ヒメ

もう、いっそのこと窓割っちゃう?

ヒメ

その辺の石でも拾って――。

マドカ

いやいや、そんなことをしたら後が面倒でしょ?

マドカ

どうする?

マドカ

私達もダストシュートのぼってみる?

ヒメ

えー、汚れそうだし嫌だなぁ。

ヒメの即答に、マドカが呆れて溜め息をついた時のことだった。

????

先客がいたみたいね。

????

それに、随分と珍しい組み合わせで。

その声に振り返ると――。

マドカ

私としては、あんたがここに来ることのほうが、すごく意外なんだけど。

ヒメ

うん、意外すぎる。

そこにいたのは――。

イチカ

私だって来たくて来たわけじゃないけどね。

かつて【ナンバーズ】と呼ばれた女子グループのメンバー。

イチカだった。

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