「遅いっ!!」
これは
彼女が、来る前の話。
彼女の知らない、彼の
───迷い子のはなし。
朝から、息も絶え絶えな悲鳴と
呆れたような怒号と
元気な声が、入り交じる。
共通の動きやすい服を着た集団が、
湖の周りを走っていた。
───ごめーーーん!!
そんな弱音が辺りを包む中、
その気怠さの膜を突き破るような
大きな声がした。
ロック
ロック
ロック
イヴィ
ロック
イヴィ
イヴィ
ロック
この国の名前は、
ジェネ・オブリオ王国
当時、城や国を守るのは「騎士団」と「兵士団」だった。
兵士団よりも騎士団の方が入団難易度は高く、
その過程も長いものとなる。
小等部、中等部、高等部、そして3年間の訓練兵期間を経てようやく騎士団に入団できるのだという。
そして、騎士団は「一般騎士」と「部隊」で構成されていた。
実力派揃いの1番隊。
力自慢の2番隊。
どうやら、走っている彼らは1番隊のようだ。
ウォルフは、各隊の中で上位の成績の者だけに与えられる称号だ。
彼らは飛び級をしている為、
イヴィ、ロックにとっては全ての騎士が年上となる。
ロック
ロック
イヴィ
ロック
ロック
イヴィ
ロック
イヴィ
ロック
イヴィ
イヴィ
ロック
ロック
イヴィ
ロック
威勢のいい、低めの女性の声がした。
気弱な男性の声も、彼女を追うように聞こえる。
ドロシー
ロック
イヴィ
皆、8の字の眉で彼を見た。
ドロシー
ドロシー
ディル
ドロシー
ディル
ドロシー
イヴィ
イヴィ
ロック
ドロシー
ドロシー
ドロシー
そう言い、隣を睨む。
ディル
ディル
ディル
そのまま去ったドロシーに付いて行ってしまった。
イヴィ
ロック
ロック
イヴィ
ロック
イヴィ
親友ながら、ロックは「出来ている」だと思う。
誰とでも分け隔てなく輪に入ることができ、
誰にでもあるはずの、心の内の黒さがない。
純粋に、誠実な人間なんだ。
ロック
イヴィ
ロック
イヴィ
イヴィ
イヴィ
ロック
イヴィ
イヴィ
ロック
リエル
イヴィ
リエル
ロック
ロック
リエル
「ソンブラ」
万年太陽の昇らない不思議な国。
深海にあるとされている。
通称、月の国。
どうやら、魚が進化した種族なのだとか。
そこの人々はほぼ暗闇の中で生活するため、目が見えない。
その代わりに、耳がいいらしい。
イヴィ
リエル
ロック
声の主はそう言うと、目にロックを映す距離に来る。
リエル
リエル
ディアベル
ディアベル
ロック
ロック
ディアベル
ディアベル
イヴィ
イヴィ
イヴィ
ディアベル
イヴィ
ディアベル
イヴィ
ロック
ディアベル
ディアベル
ディアベル
ディアベル
ディアベル
イヴィ
イヴィ
リエル
「───ウォルフの諸君」
リエル
「整列するように」
ロック
ロック
ディアベル
リエル
暫くすると、長身長髪の人物が壇上に上がってきた。
イヴィ
イヴィ
イヴィ
イヴィ
彼は顔に包帯を巻いていた。
イヴィ
彼は目が見えない。
昔、戦いの中で顔に酷い傷を負ってしまったためだ。
イヴィ
微かに、ひそひそと声が聞こえる。
少し大きな声だったが、壇上のファーブラとは遠い距離であった。
イヴィ
イヴィ
ファーブラ
イヴィ
ファーブラ
イヴィ
…この距離で会話を聞き取ったのにも驚愕したが、
彼は、この間喋っていないイヴィの目を捉えていたのだ。
イヴィ
イヴィ
この者、普通では無い。
それだけ分かるには、十分すぎる出来事だった。
入団式が終わり、各自が一度寮へ戻る中、
リエル
リエルがイヴィを呼び止めた。
イヴィ
リエル
ロック
ロック
ディアベル
ディアベル
ディアベル
ロック
リエル
リエル
イヴィ
リエル
ファーブラ
ファーブラ
イヴィ
イヴィ
ディアベル
ファーブラ
ロック
ロック
ロック
リエル
ロック
リエル
イヴィ
リエル
ファーブラ
ファーブラ
リエル
リエル
ロック
ディアベル
イヴィ
ディアベル
リエル
リエル
リエル
ファーブラ
ロック
イヴィ
リエル
特に気にした様子もなく、キッパリと言い切ってしまう。
イヴィ
ファーブラ
ファーブラ
リエル
リエル
ファーブラ
思い出したようにファーブラが声を出した。
ファーブラ
ファーブラ
イヴィ
ファーブラ
ファーブラ
ファーブラ
ファーブラ
ファーブラ
どうして騎士団に入ったの?
イヴィ
イヴィ
イヴィ
イヴィ
イヴィ
イヴィ
イヴィ
イヴィ
イヴィ
イヴィ
イヴィ
イヴィ
イヴィ
イヴィ
イヴィ
イヴィ
コメント
3件
大変お待たせしました! 新章開幕です☔☔ まだまだ書き溜めが一段落ついたので、投稿させていただきました。 まだまだ長くなると思いますが、よろしくお願いします🍬🍭🌧