湊
(んー、この電車おっそいな)
湊
(うぜえー、運転手心臓麻痺でも起こしたか!?)
鈴也
あれ?お前湊?
湊
お前鈴也か?
鈴也
そうだよ!
湊
なんでお前こんなとこにいんだよ!
鈴也
それはなあ……
鈴也
冬夜市(とうやし)行きの電車乗ったのよ!
湊
おう。
鈴也
そしたら眠くなって、いつしかこの電車に乗ってた
湊
瞬間移動でもしたのか?
鈴也
あぁ。たぶん
湊
マジかよ……
湊
俺もそうなったわ
鈴也
でも別の乗客は一向に目覚める気配はねえな
湊
俺も冬夜市行きの切符買って、眠くなってこれだわ
その時、突然低い男の声のアナウンスがした。
アナウンス
えー、ご乗車頂きありがとうございます。
アナウンス
この列車は……行きの八両編成……
ところどころ、ノイズがしてよく聞こえなかった。
そして、プツンと音がなり、急に電車が動いた。
湊
あー!やっと動いた……?
鈴也
おい。なんか先がめっちゃ明るいぞ
鈴也
ま、眩しい……
湊
おい!このひざ掛けで隠れるぞ!
俺はリュックからひざ掛けを取り出した。
そしてうずくまり、ひざ掛けを頭にかけた。
湊
これである程度は凌げるだろ……
鈴也
あ……あ。
湊
へ?
俺は気づいたら公園のベンチに座っていた。
近くには小川が流れていて、花は咲き誇り、小鳥が鳴いていて
とても気分が良くなった。
湊
さっきのは……夢か?
しかし俺は気付いた。
さっき持ってたひざ掛けを頭にかけていた。
湊
ふぁっ!?
湊
なんでこれ乗っかってんだ!?
湊
電車が脱線したか!?いや、だったらなんでこんなとこでサンドイッチ食ってんだよ……
ツチヤ
ああ。お前もあれの餌食になったか。
湊
はい?
ツチヤ
俺はツチヤという者だ。
ツチヤ
本来ならいま28歳のはずだが、何故か18歳のままだ。
湊
俺も18歳だが、、
湊
え!?ということは俺タイムスリップしたん?!
ツチヤ
まあ、そうだな。
ツチヤ
俺もここに来たんだよ……
ツチヤ
それで帰れねえんだ。
ツチヤ
死んでも俺はここで目覚めてる。
湊
俺……?死んでないよ……な?
ツチヤ
あぁ。何故か今は不死身になってる。
湊
なんかロマンがあるな……
ツチヤ
今はロマンどころじゃねえ……
そして俺は、このツチヤという男が本気であることが分かった。
声のトーンの変わりようが凄かった。
ツチヤ
ここはさっきの時間から10年後だ。
ツチヤ
俺ほお前らよりも早くここに来た。
ツチヤ
多分1月からだ。
ツチヤ
うろ覚えだがな。
湊
へ、そうなんか……
湊
で、俺はどうすればいいんだ?
ツチヤ
俺はお前ら以外の人に28歳だと認知されてるらしい。
湊
俺もか?
ツチヤ
あぁ。お前もだ。
ツチヤ
だから俺はマンションの13階に住んで、仕事もしてる。
ツチヤ
もし脱出する時になれば、退職届も出してるだろうね。
ツチヤ
マンションも捨てて。
湊
そこまでするのか……
ツチヤ
あぁそうだ。今は脱出しないといけないからな。
ツチヤ
詳しい説明とかは割愛するわ。
湊
酷いのう……
ツチヤ
詳しい説明とかしてる暇なんてないからな。
ツチヤ
俺は特に生活困ってないから、金でもやろうか?
湊
後で返してとか言わないだろうな?
ツチヤ
あぁ。約束しよう。
ツチヤ
おら。ざっと10万だ。
湊
マジかお前!
湊
そんなにかよ!