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ゴールデンウィーク明けに 学校に登校して来た杏樹は

愛莉と絵里香からの 質問責めにあっていた

虹山愛莉

嘘ばっかり!

虹山愛莉

研修中はずっと
鮎原さんと一緒
だったんでしょ?

葛城絵里香

そう!そう!

葛城絵里香

3日も一緒に居て
何もない方が
おかしいって!

眞琴杏樹

3日一緒だった
って言ったって
バイト先の研修だよ?

眞琴杏樹

それに別にずっと行動を
共にしてた訳じゃないし!

眞琴杏樹

泊まる部屋だって
別々だったし

眞琴杏樹

特に何も無かったよ!

虹山愛莉

ちぇ!なんだ〜

虹山愛莉

胸キュンな展開
期待してたのに

眞琴杏樹

そんな展開に
ならないよ!

葛城絵里香

てか、杏樹さ!

葛城絵里香

なんでそんな
頭ごなしに
否定する訳?

眞琴杏樹

否定?

葛城絵里香

鮎原さんとの事!

眞琴杏樹

別に否定してる訳じゃ──

葛城絵里香

だって好きなんでしょ?

眞琴杏樹

いや──

葛城絵里香

なんか理由あるの?

眞琴杏樹

それは・・・

虹山愛莉

ちょ!絵里香!

葛城絵里香

何よ愛莉!

虹山愛莉

いいから来い!

杏樹の過去を詮索しようとする 絵里香の腕を愛莉が引っ張り 教室の外へと連れ出す

眞琴杏樹

・・・・・

葛城絵里香

ちょっと!なに?

虹山愛莉

なに?じゃないっしょ?

虹山愛莉

この前言った
ばっかじゃん!

虹山愛莉

あまり根掘り葉掘り
聞くなって!!

葛城絵里香

ま、まぁ・・・

虹山愛莉

絵里香だって
知られたくない事
あるでしょ?

葛城絵里香

まぁ、あるけど・・

虹山愛莉

だったらあまり
深く詮索すんなって!

虹山愛莉

純粋に杏樹の恋を
応援するだけで
良いじゃん!

虹山愛莉

でしょ?

葛城絵里香

確かに愛梨の
言う通りね・・

虹山愛莉

さぁ!戻るよ!

葛城絵里香

わかった・・・

虹山愛莉

ごめん!ごめん!
話の途中だったね!

眞琴杏樹

いや、それは
いいんだけど

眞琴杏樹

どうかしたの?

虹山愛莉

ううん。何でもない

虹山愛莉

こっちの話!

虹山愛莉

ね?絵里香!

葛城絵里香

ま、まぁ、うん

眞琴杏樹

そっか・・・

虹山愛莉

てか鮎原さんは?

虹山愛莉

まだ来てないの?

眞琴杏樹

あ、なんか今日は
職場でトラブルが
あったらしくて

眞琴杏樹

ちょっと
遅れるって!

眞琴杏樹

なんか面倒臭い
クレーマーが
来たかなんかで

虹山愛莉

うわぁ、災難・・

虹山愛莉

サービス業って
そういのあるから
大変だよね

眞琴杏樹

そうなんだよね・・

眞琴杏樹

だから2限目くらいから
来るって言ってた

虹山愛莉

なら杏樹は今日
どうやって来たの?

眞琴杏樹

今日は自転車!

葛城絵里香

杏樹さぁ──

葛城絵里香

原付の免許
取ればいいのに

眞琴杏樹

原付?

葛城絵里香

だっていつも
言ってるじゃん!

葛城絵里香

鮎原さんに車で
送ってもらってばっかで
申し訳ないって

眞琴杏樹

まぁ、そうだけど

虹山愛莉

原付!いいかもね

虹山愛莉

車の免許ってなると
お金も時間も使うけど

虹山愛莉

原付だったら
その日に取れるし!

葛城絵里香

そう!そう!

葛城絵里香

それなら鮎原さんに
負目感じる事も
なくない?

眞琴杏樹

確かにそうだね・・・

眞琴杏樹

(原付か・・・)

眞琴杏樹

(お母さんに相談
してみよっかな)

一方その頃透は 更衣室で仕事着から 普段着に着替えていた

鮎原透

ったく・・・

鮎原透

めんどくせー
ヤツだったなぁ

鮎原透

試しに注文したヤツが
好みの味じゃねーから
返金しろとかナメんなよ

鮎原透

てめーの好みとか知るか!

鮎原透

嫁に言え!嫁に!

鮎原透

あ〜あ!おかげで
完璧に遅刻だわ!

鮎原透

まぁ、仕方ねーか

透が疲れ果てた様子で 更衣室から出ようとした時

プルルルル

透のスマホから 着信音が鳴り響くと

鮎原透

(ん?誰からだ?)

透がスマホを確認すると 登録していない番号からの着信だった

鮎原透

(誰だろ?まぁ
とりあえず出るか)

鮎原透

もしもし?

男性

あっ!出た!出た!

鮎原透

(ん?誰だ?)

男性

久しぶりだな!透!

男性

元気にしてっか?

鮎原透

(ん?知り合いか?)

鮎原透

あの──

鮎原透

どちら様ですか?

鮎原透

登録してない
番号なんスけど・・

男性

分からねーか?
俺だよ!俺!

鮎原透

はぁ?俺?

男性

涼太だよ!

碧江涼太

碧江涼太!

鮎原透

碧江?

電話をかけて来たのは 透がかつて通っていた霞学園で 同級生だった碧江涼太だった

鮎原透

碧江って、お前
あの碧江涼太か?

碧江涼太

そう!そう!

鮎原透

久しぶりだなぁ

鮎原透

退学になって以来だから
もう3年ぶりになるか?

碧江涼太

ああ、多分
そんくらいだろうな!

鮎原透

てか、よく俺の番号
覚えてたな?

碧江涼太

いや、たまたま
スマホの連絡先を
確認してたらさ

碧江涼太

お前の連絡先が
残っててな

碧江涼太

どうしてんのかな?
って思って試しに
電話かけてみた!

鮎原透

ああ、なるほどな

碧江涼太

つーか、お前
退学させられてから
今なにしてんの?

碧江涼太

女の家を
渡り歩いてるとか?

鮎原透

んな事してねーよ

鮎原透

まぁ、今俺
定時制の高校に
通っててさ

碧江涼太

はぁ?定時制?

碧江涼太

お前、まだ
高校生やってる訳?

鮎原透

まぁ、色々あってさ

鮎原透

今は、鮎屋のレストランで
働かせてもらってるよ

碧江涼太

え?鮎屋?

碧江涼太

鮎屋って親父さんの?

鮎原透

ま、まぁな・・

碧江涼太

いや!だってお前
親父さんに勘当
されてなかったっけ?

碧江涼太

もう許してくれたの?

鮎原透

いや、まだ勘当中の身だよ

鮎原透

でも、定時制を何の問題
もなく卒業できたら

鮎原透

勘当と取り消すって
言ってもらえてな!

碧江涼太

へー!

碧江涼太

やっぱ親父は
どこまで行こうと
親父って訳か!

鮎原透

まぁ、そんな感じだな

鮎原透

高校も来年で卒業だからな

碧江涼太

お前も頑張ってんだな

鮎原透

それよりお前は
どうしてんだ?

鮎原透

噂ではひとみと
同棲してるって
聞いたけど?

碧江涼太

今でも同棲してるよ

碧江涼太

てか今も横に居るぜ?

鮎原透

今も!?

碧江涼太

代わるか?

鮎原透

あ、いや──

碧江涼太

ホラ!ひとみ!

碧江涼太

透だぜ!

鮎原透

いや、涼太──

涼太は透の言葉を無視し かつて共通のセ○レだった ひとみにスマホを手渡す

柳ひとみ

久しぶり!透くん!

鮎原透

あ、ひとみか・・

鮎原透

久しぶりだな・・・

柳ひとみ

私の事、覚えてる?

鮎原透

おぅ、覚えてるよ・・

柳ひとみ

ん?なんか
雰囲気違くない?

鮎原透

いや、その、あれだよ

鮎原透

お前とは、ああいう
別れ方だったからさ

鮎原透

俺の事、恨んで
ねーかな?って・・

柳ひとみ

何それwww

柳ひとみ

透くんってそんな事
気にする人だったっけ?

鮎原透

いや、その・・・

柳ひとみ

まぁ、確かに
ああいう別れ方だったけど

柳ひとみ

透くんには色々
買ってもらったし

柳ひとみ

美味しいものも
食べさせてもらったし

柳ひとみ

別に私、透くんの事
恨んでなんかないよ?

鮎原透

そっか・・・

柳ひとみ

なんか感じ変わったね

鮎原透

そうかな?

碧江涼太

ちょ!いつまで
話してんだよ!

碧江涼太

代われよ!

柳ひとみ

良いじゃん!
もうちょっとだけ!

碧江涼太

俺のスマホだぞ!

柳ひとみ

ケチくさい事
言わなくても
いいじゃん!

涼太とひとみは電話口で 軽い言い争いをしている

鮎原透

ちょ!お前ら!

碧江涼太

ごめん!後から
かけ直す!

鮎原透

お前──

涼太は一方的に通話を切った

鮎原透

・・・・・

鮎原透

騒がしい奴らだな

鮎原透

つーか俺、今から
学校だっつーんだよ

鮎原透

ったく勝手なやつだな

すると再び透のスマホに 涼太からの着信が入る

鮎原透

はぁ〜・・・

鮎原透

ったく・・・

鮎原透

はい?

碧江涼太

あ、悪い!悪い!

碧江涼太

もう大丈夫だ!

鮎原透

つーかよ・・・

鮎原透

俺今から
学校なんだけど

碧江涼太

少しくらい
良いじゃんかよ!

鮎原透

まぁ、いいけどさ

碧江涼太

てかお前は今
どこ住んでんの?

鮎原透

どこって長野だけど?

碧江涼太

え?うそ!まじ?
ずけー!!!

鮎原透

何をそんなに
驚いてんだよ

碧江涼太

俺も今、ひとみと
長野住みなんだよ!

鮎原透

まじ?

碧江涼太

偶然って
あるもんだな!おい!

鮎原透

まぁ、だな・・・

碧江涼太

ならさ!今度
呑み行こうぜ!

鮎原透

呑みに?

碧江涼太

いいだろ?
それくらい!

鮎原透

まぁ、別にいいけど

碧江涼太

彼女連れてこいよ

鮎原透

居ねーよ!

碧江涼太

はぁ?まじ?お前が?

碧江涼太

じゃあセ○レは?

鮎原透

だから居ねーよ!

碧江涼太

嘘ついてんなよ!

鮎原透

嘘なんか
ついてねーよ

鮎原透

そもそも俺は
今まで好き勝手に
やってたせいで

鮎原透

親父からの信用が
0になっちまったんだぞ

鮎原透

今までと同じような
生活してる訳ねーだろ!

碧江涼太

あ、確かにな!
それもそっか!

鮎原透

だから女なんて
居ねーから!

碧江涼太

なら仲良い女は?

碧江涼太

さすがに
それくらい居るだろ?

鮎原透

仲良い・・・

透の頭には杏樹の顔が思い浮かぶ

鮎原透

居ねーよ!

碧江涼太

いや今の間は何だよ

碧江涼太

絶対に居るだろ!

鮎原透

いや・・・

碧江涼太

居ねーんなら
即答すんだろ?普通

碧江涼太

一瞬考えたって事は
少なくとも仲良い女くらい
居るって事だろ?

鮎原透

ま、まぁ
居ねー事も・・・

碧江涼太

ならその子連れて
みんなで呑もうぜ!

鮎原透

まぁ、一回くらいなら

碧江涼太

なら今週末とかは?

鮎原透

まぁ、その日なら
大丈夫だけど・・

碧江涼太

なら決まりな!
いいだろ?

鮎原透

わかったよ・・

鮎原透

今週末な?

碧江涼太

おう!

碧江涼太

また詳しい事は
LIMEするわ!

碧江涼太

番号でLIME
登録しとくからさ

碧江涼太

知り合いかも?に
俺の名前出て来たら
登録よろしくな!

鮎原透

ああ、わかった!

碧江涼太

なら、またな!

鮎原透

おぅ!

鮎原透

・・・・・

鮎原透

なんか面倒な事に
なってきやがったな

鮎原透

まぁ、一回呑みに行く
くらいならいいか・・

透はうんざりした様子で 腕時計で時間を確認する

鮎原透

やば!早く行かねーと!

鮎原透

1限目どころか

鮎原透

2限目まで遅刻
じゃねーか!

透は手早く着替えを済ませ 学校へ向かう

眞琴杏樹

あっ!鮎原さん!

鮎原透

よぅ!杏樹ちゃん!
おつかれ!

眞琴杏樹

お疲れ様です

眞琴杏樹

災難でしたね
こんな時間まで・・

鮎原透

まったくだぜ・・

鮎原透

後で愚痴らせてよ

眞琴杏樹

いくらでも
聞きますよ(笑)

鮎原透

てかまだ2限目
始まってねーよな?

眞琴杏樹

まだ大丈夫ですけど

眞琴杏樹

早くしなきゃ
遅れちゃいますよ

鮎原透

急がねーとな

放課後

透は杏樹に クレーマーについての 愚痴をこぼしていた

眞琴杏樹

え!?

眞琴杏樹

そんな事
言われたんですか?

鮎原透

そうなんだよ

鮎原透

おかしいよな?

眞琴杏樹

まったくですよ

眞琴杏樹

普通払いますよ

眞琴杏樹

アンタの好みとか
知らないし!

眞琴杏樹

って感じですよね

鮎原透

まったくだぜ・・

眞琴杏樹

世の中には
おかしな人って居ますね

鮎原透

まぁ、杏樹ちゃんに
話聞いてもらって

鮎原透

なんかスッキリしたわ

鮎原透

なんか悪いな
愚痴聞いてもらって

眞琴杏樹

いえ、そんな・・

鮎原透

あっ!それはそうと

鮎原透

杏樹ちゃん!

眞琴杏樹

どうかしました?

鮎原透

今週末なんだけど──

透は杏樹に 涼太からの電話の内容を話す

眞琴杏樹

呑みに?

鮎原透

ああ・・・

鮎原透

で、仲良い女の子を
連れて来てくれって
言われたんだけど

鮎原透

杏樹ちゃんくらいしか
思い浮かばなくてさ

眞琴杏樹

(鮎原さん・・)

鮎原透

ま、まぁ無理にとは
言わねーんだけどさ

鮎原透

もし良かったら今週末
ご飯食べに行かねーかな

鮎原透

って思って

鮎原透

どうかな?

鮎原透

今週末って、もう
予定入れてたりする?

眞琴杏樹

予定ないんで
大丈夫ですよ!

鮎原透

まじ?

鮎原透

なら、大丈夫?

眞琴杏樹

はい!喜んで
行かせてもらいます

鮎原透

よかった!

鮎原透

なら今週末
車で迎えに行くよ

眞琴杏樹

いつもすいません

鮎原透

いいって!気にすんな

鮎原透

じゃあ今週末な?

眞琴杏樹

はいっ!

週末

杏樹は透に連れられ 夕方の繁華街を歩いていた

鮎原透

今日は悪いな

鮎原透

付き合ってもらって

眞琴杏樹

いえ、そんな事無いですよ

眞琴杏樹

鮎原さんから
お誘いしてもらって
嬉しいですから

鮎原透

そう言ってもらえて
良かったよ

眞琴杏樹

確かもうすぐですよね?

眞琴杏樹

鮎原さんのお友達が
待ってるお店って

鮎原透

ああ、もう着くはず!

眞琴杏樹

どんなお友達
なんですか?

鮎原透

昔杏樹ちゃんには
話した事あったろ?

鮎原透

俺の過去の話

眞琴杏樹

高校に通ってた
頃の話ですか?

鮎原透

そう!

鮎原透

その頃によく
連んでたヤツでな

鮎原透

まぁ、一言で言うなら
チャラい奴だな

眞琴杏樹

チャラ?

鮎原透

まぁ、会えばわかるよ

眞琴杏樹

はぁ・・・

碧江涼太

つーか遅くね?

碧江涼太

透のヤツ・・・

柳ひとみ

まだ1分しか
過ぎて無いじゃん

柳ひとみ

せっかちすぎ!

碧江涼太

いやだって──

柳ひとみ

あっ!来たよ!

碧江涼太

やっと来やがったか!

鮎原透

悪いな!ちょっと
遅れちまったわ

碧江涼太

まぁ、いいけどな

柳ひとみ

久しぶりだね!
透くん!

鮎原透

お、おぅ・・

鮎原透

久しぶり・・・

柳ひとみ

もぅ!まだ昔の事
気にしてんの?

柳ひとみ

恨んでなんか無いって
電話で話したじゃん

柳ひとみ

気にしすぎだよ

鮎原透

そ、そうだったな

碧江涼太

で?知り合いの
女の子は?

鮎原透

あ、ああ・・

鮎原透

この子だよ

透の背中に隠れている 杏樹が姿を見せる

眞琴杏樹

は、はじめまして

眞琴杏樹

眞琴杏樹って言います

碧江涼太

なっ!!

杏樹を見た涼太が目を見開く

碧江涼太

なんだよ!
その小柄で可愛い子!!

鮎原透

いや、だから
LIMEでも話したろ?

鮎原透

クラスメイトだよ

碧江涼太

いや、それは
聞いたけどさ

碧江涼太

こんな可愛いとは
聞いてねーぞ!おい!

柳ひとみ

確かに可愛い

眞琴杏樹

いや、そんな・・・

碧江涼太

謙遜するトコが
また可愛い!

碧江涼太

ね?ね?杏樹ちゃん?

眞琴杏樹

は、はい?

眞琴杏樹

な、なんですか?

碧江涼太

透はもう何処まで
行ってんの?

碧江涼太

もうヤったの?

眞琴杏樹

あ、いや、それは

柳ひとみ

ちょっと涼太?

柳ひとみ

杏樹ちゃんが
困ってんじゃん!

碧江涼太

あ、悪い・・・

柳ひとみ

ごめんね杏樹ちゃん

柳ひとみ

コイツったら
デリカシー無いから

眞琴杏樹

いや、そんな・・

眞琴杏樹

あはは・・・

杏樹は困り果てた様子で 苦笑いをするしか出来なかった

鮎原透

(大丈夫かな・・・)

それから杏樹、透 涼太、ひとみの4人は 談笑しながら食事を楽しんだ

碧江涼太

てか、透って表情が
柔らかくなったよな

鮎原透

はぁ?そうか?

柳ひとみ

あ!それは確かに
言えるかも!

眞琴杏樹

昔の鮎原さんって
どんな感じだったんですか?

碧江涼太

うー・・・ん

碧江涼太

どう言ったら良いかな

碧江涼太

なんつーか淀んでて
光がなかったな!目に!

鮎原透

好き放題言ってんなよ!

碧江涼太

いや、実際に
そうだったぜ?

鮎原透

そうか?

柳ひとみ

確かにウチらが
セ○レだった頃って──

鮎原透

ばっ!お前ら──

眞琴杏樹

・・・////

眞琴杏樹

(セ、セ○レ・・・)

杏樹は恥ずかしそうに 頬を赤く染める

柳ひとみ

あ、ごめん・・

柳ひとみ

私余計な事
言っちゃったかな?

鮎原透

いや、まぁ
杏樹ちゃんには

鮎原透

俺が過去にセ○レが
いた事は話してるから

眞琴杏樹

(その人がこの
ひとみさんだったとは
知らなかった・・)

それから皆は昔話をしながら 食事を楽しんでいたが

杏樹はどこなく 寂しげな表情をしていた

眞琴杏樹

・・・・・

鮎原透

杏樹ちゃん?
どうかしたか?

鮎原透

元気ねーみたいだけど

眞琴杏樹

いや、そんな事・・

眞琴杏樹

(やっぱ無理・・)

眞琴杏樹

すいません

眞琴杏樹

お手洗いに行って来ます

杏樹は席を立ち トイレへ向かう

鮎原透

ん?どうかしたのかな?

柳ひとみ

・・・・・

ひとみは トイレに向かう杏樹を 不安な眼差しで見つめる

柳ひとみ

ちょっと私も
お手洗い行ってくる

碧江涼太

うんこか?

柳ひとみ

うっさい!

ひとみは涼太の頭を 力強く叩く

碧江涼太

いって!

柳ひとみ

デリカシー!!

碧江涼太

そんな強く叩く
必要ねーだろ!

柳ひとみ

みんな食事中なんだから!

碧江涼太

軽い冗談だろーが

柳ひとみ

じゃあ、行ってくるね

鮎原透

ああ・・・

ひとみは杏樹の後を追うように トイレへと消えていく

碧江涼太

つーか驚いたよ

鮎原透

なにが?

碧江涼太

お前があんな可愛い子

碧江涼太

まだ手も出して
ねーなんてよ!

碧江涼太

昔のお前だったら
即喰ってたろ?

鮎原透

杏樹ちゃんは、その
そういう子じゃねーんだよ

碧江涼太

は?

鮎原透

過去に男関係で
ドラぶった事が
ある子でな

鮎原透

俺もホラ・・・

鮎原透

女関係でトラぶった
みてーなトコあるからさ

鮎原透

妙に親近感湧いてな

碧江涼太

あーなるほどね

鮎原透

まぁ、杏樹ちゃんは
俺の事を良く想って
くれてるみたいだけど

鮎原透

まぁ、俺って過去に
セ○レを取っ替え引っ替え
してたような奴だしさ

碧江涼太

お前自身は
杏樹ちゃんの事

碧江涼太

どう思ってるわけ?

鮎原透

俺?

碧江涼太

過去の話を抜きにしてさ

鮎原透

・・・・・

透がグラスのお茶を 勢いよく飲み干す

鮎原透

俺は何もかもが
マイナスな男だ・・・

碧江涼太

・・・・・

鮎原透

高校卒業して──

鮎原透

親父から勘当を
取り消してもらって

鮎原透

やっとその
マイナスが0になる

鮎原透

まだマイナスなウチは
俺は杏樹ちゃんを

鮎原透

幸せになんて
してやれねーよ

碧江涼太

透・・・

鮎原透

まぁ、俺のペースで
やっていくさ

碧江涼太

だな!それがいいよ!

碧江涼太

まぁとりあえず呑めよ

碧江涼太

ホラ!注いでやっから!

涼太は透にグラスを差し出し ビールを注ごうとする

鮎原透

だから酒はいいって
言ってんだろ!

鮎原透

帰りは杏樹ちゃんを
送らねーと
いけねーんだから

碧江涼太

あっ、そうだったな

眞琴杏樹

・・・・・

杏樹は鏡に映る 自分の姿を見つめていた

柳ひとみ

やっぱり!

そこにひとみがやって来た

眞琴杏樹

ひとみさん・・・

柳ひとみ

明らかに様子が
おかしかったから

柳ひとみ

何かあるのかな?
とは思ってたけど

眞琴杏樹

すいません・・・

眞琴杏樹

楽しい雰囲気だったのに

柳ひとみ

もしかして
私たちが

柳ひとみ

杏樹ちゃんを
置いてけぼりにして

柳ひとみ

昔話しちゃったのが
マズかったかな?

眞琴杏樹

・・・・・

眞琴杏樹

みなさんが知ってる
鮎原さんは──

眞琴杏樹

私が知ってる
鮎原さんじゃない

眞琴杏樹

そう思っちゃったら

眞琴杏樹

なんか・・・

眞琴杏樹

とてつもなく
寂しい気持ちになって

柳ひとみ

・・・・・

眞琴杏樹

すいません・・・

柳ひとみ

杏樹ちゃんは
ひとつだけ

柳ひとみ

大きな勘違いを
してるみたいだね

眞琴杏樹

え?勘違い?

柳ひとみ

確かに杏樹ちゃんが
今言ったように

柳ひとみ

私たちが知ってる
透くんって人は

柳ひとみ

杏樹ちゃんが知ってる
透くんじゃない・・

眞琴杏樹

・・・・・

柳ひとみ

でもね?

柳ひとみ

杏樹ちゃんが知ってる
透くんは──

柳ひとみ

私たちが知らない
透くんなんだよ?

眞琴杏樹

え!?

柳ひとみ

私たちの記憶の
中にいる透くんって

柳ひとみ

女の子を単なる
性処理の道具としてしか
見てなかった透くんなの

眞琴杏樹

せ、性処理?ですか

柳ひとみ

私ってね、昔──

柳ひとみ

透くんと涼太の
セ○レだったの

眞琴杏樹

さ、さっき
話してましたよね

柳ひとみ

でもね、ある時急に

柳ひとみ

お前には飽きたから
もう来るなって
言われちゃったの

眞琴杏樹

え?鮎原さんが?
ひとみさんに

眞琴杏樹

そんな事言ったんですか?

柳ひとみ

ホラ!驚いた!

柳ひとみ

きっと杏樹ちゃんが
知ってる透くんは

柳ひとみ

そんな事を
言わない人なんだよね?

眞琴杏樹

は、はい・・・

柳ひとみ

たぶん
杏樹ちゃんの前では

柳ひとみ

そういう部分を
見せたく無いんだよ

眞琴杏樹

な、なんでですか?

柳ひとみ

そりゃ簡単だよ

眞琴杏樹

え?

柳ひとみ

嫌われたく
ないんじゃないかな?

柳ひとみ

透くん・・・

眞琴杏樹

嫌われたく無い?

柳ひとみ

杏樹ちゃんは
透くんの事好き?

眞琴杏樹

(私は・・・)

眞琴杏樹

好きです・・・

柳ひとみ

たぶん透くんも
杏樹ちゃんの気持ちに

柳ひとみ

なんとかして
応えたいって

柳ひとみ

思ってるんじゃ
ないかな?

柳ひとみ

まぁ、私の
予想なんだけど

眞琴杏樹

鮎原さんが・・・

眞琴杏樹

でもひとみさんは

眞琴杏樹

鮎原さんの事
恨んで無いんですか?

柳ひとみ

え!?

眞琴杏樹

だってそういう
別れ方なんだったら

眞琴杏樹

鮎原さんに恨み・・
あるんじゃないですか?

柳ひとみ

まぁ、当時はね

柳ひとみ

何なのコイツ!
ふざけんな!って
思ったりもしたけど

柳ひとみ

まぁ、私も透くんの
お父さんのお金で

柳ひとみ

好き勝手
やらせてもらったし

柳ひとみ

あっ!この話って
言っちゃマズかった?

眞琴杏樹

いえ、鮎原さんから
少しくらいは話
聞かせてもらいましたから

柳ひとみ

透くんが?
杏樹ちゃんに?

眞琴杏樹

私・・・

眞琴杏樹

中学生の頃に
好きな人が居たんです

柳ひとみ

・・・・・

眞琴杏樹

私、その人と
ずっと一緒に居たくて

眞琴杏樹

ストーキングまがいな事
しちゃったんです

柳ひとみ

そうだったの・・・

眞琴杏樹

私が今の定時制に
入学した当時

眞琴杏樹

その過去に
苛まれてて

眞琴杏樹

誰とも仲良くしようと
しなかったんです

眞琴杏樹

仲良くなっちゃちったら
また同じ事をしそうで

柳ひとみ

・・・・・

眞琴杏樹

そんな私に優しく
声をかけてくれたのが
鮎原さんなんです

柳ひとみ

へー・・・

柳ひとみ

透くんがね・・・

眞琴杏樹

私、なんていうか
この人になら

眞琴杏樹

打ち明けても
いいかもって思って

眞琴杏樹

過去を全部打ち明けたんです

眞琴杏樹

そしたら

3年前

鮎原透

へー・・・

鮎原透

なんか俺ら似てるね

眞琴杏樹

え?

鮎原透

俺もさ・・・

鮎原透

昔散々遊び
まくっててさ

眞琴杏樹

そうなんですか?

鮎原透

セ○レとかも
居たりしてさ

眞琴杏樹

セ、セ○レ?

眞琴杏樹

意外ですね・・・

鮎原透

そ、そうかな?

眞琴杏樹

そんな感じ全然しないです

鮎原透

あはは、ありがと

鮎原透

まぁ、そのせいで
高校退学になったり

鮎原透

親父からは見放されて
勘当されたりしてさ

眞琴杏樹

お父さんに?

鮎原透

俺の親父って
鮎屋の社長でさ

眞琴杏樹

え?社長さんって
鮎原さんの
お父さんなんですか?

鮎原透

ああ、情けねーだろ?

眞琴杏樹

いや、そんな・・・

鮎原透

でも今はそんな
自分を変えたくて

鮎原透

今になっても高校生
やってるって訳!

眞琴杏樹

そうだったんですね

鮎原透

杏樹ちゃんも
そうなんだろ?

鮎原透

過去にストーキングした
自分を変えたい一心で

鮎原透

諦めずに定時制に
通ってる!違う?

眞琴杏樹

そうですけど・・・

鮎原透

確かに過去は変えられない

鮎原透

けど、その過去を
受け入れて

鮎原透

自分の過ちを認めて

鮎原透

前に進む事は出来る

眞琴杏樹

・・・・・

鮎原透

まぁ、これも昔後輩に
和久井ってヤツが居て

鮎原透

そいつから
教えられた事
なんだけどな

柳ひとみ

そうだったんだね

眞琴杏樹

今の私があるのは私の事を
許してくれた人たちの
おかげなんですけど

眞琴杏樹

私がこうやって
人と打ち解けれる
ようになったのは

眞琴杏樹

鮎原さんの
おかげなんです

柳ひとみ

そっか・・・

柳ひとみ

それで好きに
なったんだね

柳ひとみ

透くんの事・・・

眞琴杏樹

は、はい・・・

眞琴杏樹

でも想いを
伝えようとしても

眞琴杏樹

どうても昔の自分が
チラついちゃって

眞琴杏樹

伝えれずに
いるんです・・

柳ひとみ

今の透くんなら
受け入れてくれる
んじゃないかな?

眞琴杏樹

そ、そうですかね・・

柳ひとみ

まぁ、何か困ったら
お姉さんが助言
くらいはしてあげるから

眞琴杏樹

ありがとうございます・・

柳ひとみ

さ!戻ろう!

柳ひとみ

きっと透くんが
心配してるよ

眞琴杏樹

そ、そうですね

柳ひとみ

ごめん!お待たせ!

鮎原透

杏樹ちゃん!
大丈夫?

鮎原透

具合でも悪いか?

眞琴杏樹

いえ・・・

鮎原透

疲れたんなら
早めに帰るか?

眞琴杏樹

いえ、大丈夫です

鮎原透

ならいいけどさ

鮎原透

キツいなら
無理すんなよ?

眞琴杏樹

はい

眞琴杏樹

ありがとうございます

碧江涼太

(溺愛しすぎだろ)

碧江涼太

いやぁ、今日は
楽しかったわ

碧江涼太

無理に誘っちまって
悪かったな!透!

鮎原透

そんな事ねーよ

柳ひとみ

杏樹ちゃんはどう?
楽しんでくれたかな?

眞琴杏樹

はい

眞琴杏樹

楽しかったです

柳ひとみ

ふふふ、なら良かった

碧江涼太

まぁ、また時間が合えば
また呑みに行こーぜ

鮎原透

ああ!

鮎原透

なら俺は杏樹ちゃんを
送ってくからよ!

柳ひとみ

うん!またね!

眞琴杏樹

今日はありがとう
ございました

眞琴杏樹

失礼します

碧江涼太

おう!またな!

杏樹は透の運転する車に乗り込み 自宅までの道のりを走る

鮎原透

騒がしい奴ら
だったろ?

眞琴杏樹

いえ、そんな事
なかったですよ

眞琴杏樹

楽しかったですし

鮎原透

ならよかったよ・・

眞琴杏樹

あっ!ここで
大丈夫です

鮎原透

あ、そうだったな!

透は車を路肩に停めて 杏樹を下ろす

眞琴杏樹

今日はありがとう
ございました

鮎原透

あのさ・・・

鮎原透

もし杏樹ちゃんが
嫌じゃなかったら

鮎原透

また誘っても
いいかな?

眞琴杏樹

はい!もちろんです!

鮎原透

よかった・・・

鮎原透

なら今日は
ゆっくり休めよ

眞琴杏樹

はい!鮎原さんも
ゆっくり!

鮎原透

ああ!

鮎原透

ならまた明日
学校でな!

眞琴杏樹

はい!

眞琴杏樹

おやすみなさい

鮎原透

おやすみ!

お節介アゲハと弱虫ヒナタ〜アルメリア〜

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コメント

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ユーザー

まさかのキャラが再登場!続きを楽しみにしてます!

ユーザー
ユーザー

続き楽しみ、!

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