父
おい!亮!亮はいねぇか!
父
おい!聞こえねぇのか!呼んだらさっさとこい!
亮
ごっ…ごめん、すぐ行くよ。
父
お前!いるならすぐ来る!いつも言ってんだろ!
亮
なに…お父さん、僕になにか用?
父
お前の名前を呼ぶときは決まってんだろ!
父
酒だ!酒がなくなったんだ!
父
俺のビールちゃんこれで最後なんだよ!
父
おめぇ暇だろ?なぁ!酒買ってこい!
亮
いやけど、もう夜中の3時だよ、子供の僕がこんな時間に行くのはちょっと。
父
なんだとてめぇ!養われてる身のくせにぶつくさ言うんじゃねぇ!
バキィ!
亮
痛っ!
父
てめぇは俺に従ってりゃあいいんだよ!
父
わかったら酒買ってこい!わかったら早く行け!
亮
ごめんなさい、今買ってきます。
亮
(クソ!もう限界だ!何が親だ、何が養われてる身だ、ふざけんなよ!)
亮
(てめぇだって嘘の診断書で生活保護を不正にもらってるだけじゃねぇか!てめぇだって養われてる身じゃねぇか!)
亮
(それなのに毎日酒をガブガブ飲みやがって!)
亮
(あのクソ親父!復讐してやる!)
亮
(あの酔っ払いのことだ、アルコールってつくものはなんでも飲むに違いない。)
亮
(この日のために無水エタノールを用意したんだ。)
亮
亮
(みてろよ、てめぇの好きなアルコールガブガブ飲んで、急性アルコール中毒にでもなって死んじまえ!)
亮
(アルコール依存が間違えて無水エタノールを飲んだことになるだろう!どうせ俺は捕まらない!逆にアルコール依存の父親に虐待を受けてたかわいそうな子供として保護されるはずだ。)
亮
(完璧だ。)
亮
おと~さ~んお酒買ってきたよ。
父
なんだてめぇ早くねぇか?
亮
いやいや30分前に家を出たよ。
父
そうか、ま、いい、酒をよこせ!
父
これまたずいぶん珍しい酒だな。この匂い、ウィぃぃぃぃ、酒だ!
亮
どう?お父さん僕の買ってきたお酒は?
父
酒なら何でもうめぇんだ!
父
ゴホゴホ!
父
あれ?急に息苦しく?
亮
最後まで飲んでね。
父
ハァハァ目が回る。
父
それに吐き気も、ウッ!
亮
フン!いいざまだなクソ親父!
亮
いままでつらい思いをしてきた、これは今までの復讐だ!
亮
大好きなアルコールで死ぬのはどんな気分だ?
父
ウッ…オェェェェ!…そうか…この症状…お前の仕業か。
亮
急性アルコール中毒!アルコール好きのお前にはぴったりだ!
父
そうか…いつか…こうなるんじゃないかと思ってた。
父
でも…妻が死に…会社をクビになり…酒を飲まなきゃ…やってけなかった。
亮
どんなことを言おうが!お前が子供に与えた苦しみは変わらない!永遠に地獄で苦しみな!
父
そうか…いままですまなかった。俺みたいな父親の子供にさせてしまって。
父
いいか…亮…警察には俺が買って俺が勝手に飲んだと言えよ…お前はわるく無い。
父
全ては俺のせいだ…俺せいでこんなめに。
父
ウッ!…ほん…とに…すまな…ッ!
亮
なぁ?なんであやまんだよ!?どうして今なんだ!そんな気持ちがあるのなら。
亮
最初からこんなふうになんなよな!ふざけんな!最後の最後でふざけた言葉残しやがって!
20年後
亮
なぁクソ親父、あれから20年だぞ。なぁ…全てお前が悪い…お前がそう言ったよな。
亮
じゃあ…どうして、
亮
どうして俺の前から消えねぇ!!どうして俺の前に現れる!!
亮
20年…毎日…俺を恨んでんのか?なぁ頼むから、消えてくれよ。
亮
お前を殺したあの日…最後に言われたあの謝罪…俺の頭から離れねぇんだよ。
亮
なぁ…たのむからよ…消えてくれよ、つれぇんだよ。
亮
もう…酒でも飲んでねぇと…だめなんだ。
亮
これだけが唯一…お前を忘れさせてくれるんだ。
亮
まさかな…ハハッ…あれだけ憎んでた親父と…たいして変わらなくなっちまった.
亮
これがねぇと、お前の姿や言葉が消えねぇんだよ。
亮
あれ…もう酒が残り1本じゃねぇか…
亮
おい!優香!優香はいねぇか!!
亮
てめぇ!今すぐ酒買ってこい!!
優香
ねぇ、お父さん、話があるんだけど。






