テラーノベル
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俺は、図書室に来ていた
俊樹
俊樹
こんな場所、俺には場違いだ
しかし、宿題が出てしまった
本を読むという宿題が
だから、嫌々来たのである
俊樹
俊樹
「物語コーナー」を見ているとある本が手に触れた
俊樹
俊樹
真っ黒な表紙に掠れた文字で「闇本」とだけ書かれていた
俊樹
ケース1
俊樹
男が突然連れ去られた
予期せぬ出来事に焦る男の目の前に男が現れた
その男は恰幅が良く手には…
鞭を持っていた
男
男
恰幅の良い男
恰幅の良い男
そう言って鞭を振り上げた
鉤爪になっているそれは当たると痺れるような痛みに陥る
男
肌が、赤くなる
ああ、今度は内出血だ
それでも恰幅の良い男は手を止めようとはしなかった
男
恰幅の良い男
男は、死んだ
これはそういう物語だ
俊樹
俊樹
ページ数が多く、本をあまり読まない俺には中々読み切れそうにない
だから、持ち帰り少しづつ読むことにした
俊樹
ケース2
女が突然連れ去られた
ケース1と同じように
女
女
そんな時、恰幅の良い男が現れた
女
女
恰幅の良い男
恰幅の良い男
部屋中にガスが立ちめる
女は直ぐに口を手で覆ったが隙間から入ってくる
女
目の前がチカチカする
もう直ぐ意識を失うだろう
女は抵抗することを、諦めた
女
消えそうな意識の中、目を疑った
口すら覆わず棒立ちの男が笑っている
この、状況で笑っているのだ
一切苦しむ様子も無くただただ女を見つめ笑みを浮かべている
女
女
恰幅の良い男
俺はひたすら本を読みすすめた
ケース3、ケース4…
とうとう最後のページになった
俊樹
ケース100
男は突然連れ去られた
これまでと同じように
男
男
懸命に声を張り上げたその時、目の前に恰幅の良い男が現れた
恰幅の良い男
恰幅の良い男
明らかに怪しい注射を打ち込まれる
すると直ぐに筋肉が落ちて…
男
恰幅の良い男
恰幅の良い男
俊樹
俊樹
俺は本を床に投げ出した
その瞬間、ドアがバンと開けられた
恰幅の良い男
俊樹
俊樹
実
興味のある本はほとんど読み終わった
そんな俺が「物語コーナー」を見て回ると
ある本が目に止まった
実
開いて読むと人の死を描写した
グロテスクな本だった
実
本好きの俺はあっという間に読み進め、とうとう最後のページだ
ケース101
男は突然連れ去られた
気が付けば、あっという間に板に縛られていた
十字の板に縛られた…ということは
恰幅の良い男
恰幅の良い男が目の前で話し始めた
恰幅の良い男
俊樹
恰幅の良い男は松明を板に向かって投げつけた
ガソリンの臭いのするそれはあっという間に燃え上がる
俊樹
俊樹
俊樹
俊樹
熱い熱いと叫ぶ男
いっそ気絶でもしたいがそうもいかない
じわじわと迫る死と熱さ
自分の皮膚の焼けた臭い
俊樹
俊樹
恰幅の良い男
恰幅の良い男
こんな本にはお気を付け下さい
真っ黒の表紙に「闇本」と書かれていたらきっとそれは…
ああ、もし読んじゃっても最後まで読まなければいいのです
まあ、無理でしょうけど
貴方はこの本の虜になるはずだから
ほら、また一人 男が連れ去られました