テラーノベル
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教室には昼下がりの陽光が差し込み、まどろみと静けさが混ざっていた。
5時間目の授業――眠気と闘う生徒たちの中で、愁斗はじっとノートに視線を落 としていた。
だけど、文字はもうまるで読めなかった
愁斗
愁斗
額の奥に広がるような鈍痛。
鼓動と一緒に、ズンズンと脳に響く。
愁斗
愁斗
助けを呼ぼうとしても、声が出なかった。
次の瞬間――
愁斗
苦しげなうめき声と共に、愁斗の体が机から崩れ落ちた。
愁斗
教室が静まり返ったその瞬間、最初に立ち上がったのは、やっぱり幸輝だった。
幸輝
幸輝
机に倒れ込む愁斗に駆け寄り、幸輝は揺さぶった。
だけど――
反応が、ない。
愁斗の唇は紫がかっていて、目は虚ろに開いたまま、何も見ていない。
幸輝
幸輝
幸輝
震える手で愁斗の頬に触れる。何度呼びかけても返事はなかった。
教室中に緊張が走り、生徒たちの誰もが固まっていた。
でも、幸輝の中では、あの時の記憶がフラッシュバックしていた――
両親を亡くしたあの日のように、
大切な人が目の前から消えるんじゃないかと。
幸輝
幸輝
遠くからサイレンの音が聞こえてきた。
教室の空気は、もう日常じゃなかった。 一瞬で、日々が崩れ落ちた。
サイレンの音が遠ざかり、代わりに静かな空気が病院の廊下を包んでいた。
白く塗られた壁。消毒液の匂い。規則的な足音と、機械の電子音。
救急車に同乗した幸輝は、ずっと愁斗の手を握りしめていた。
冷たくなっていくその手が、怖かった。
何度も「大丈夫、大丈夫」と自分に言い聞かせながら、それでも胸の奥に広がる不安は消えなかった。
処置室のドアが閉まり、愁斗は医師たちの手によって中へ運ばれていった。
幸輝
幸輝
時間がどれくらい過ぎたかもわからない。
ただただ、目の前の白いドアだけを見つめていた。
やがて、扉が開き、医師が現れた
医師
幸輝
幸輝
医師
幸輝
幸輝はその場に崩れ落ちそうになりながらも、必死に立っていた。
まだ“終わったわけじゃない”――そう、自分に言い聞かせるように。
医師
幸輝
数十分後、愁斗は静かに目を覚ました。
病室のベッドでカーテン越しの光に目を細めながら、ゆっくりとまぶたが開いていく
愁斗
愁斗
幸輝
愁斗
愁斗
幸輝は一瞬、言葉を詰まらせたが、優しく語りかけるように答えた。
幸輝
愁斗
愁斗
幸輝
愁斗はうっすらと笑い、小さく「ありがとう」とつぶやいた。
その時、病室のドアがノックされ、医師が姿を見せた。
医師
医師
検査はすぐに始まり、愁斗は車椅子に乗せられて廊下の奥へと運ばれていった。
幸輝は病室の椅子でずっと待ち続けた。
長く、長く感じられる時間だった。
──そして、検査を終えて戻ってきた医師が、静かに口を開いた。
医師
幸輝
医師は一瞬言葉を選ぶようにしてから、静かに告げた。
医師
医師
時間が、止まった。
幸輝
足元が崩れていくような感覚に襲われる。
理解が追いつかない。
現実だと認めたくない。
でも、医師の言葉は、容赦なく続いた。
医師
医師
医師
幸輝は俯いたまま、拳を握りしめた。
幸輝
心の中で強く誓った。
これ以上、誰も失いたくない。
絶対に、しゅーとを一人にしない。
コメント
2件
最高です!!こういう物語ちょー好きです!! 続きはいつ出しますか?