〜♪
~♪♪♪
こんな世界…
なくなってしまえばいいのに─
〜♪
私はただ買い物をしにきたの。
邪魔しないで!
いや、あの…
こっち来ないで!!
違う…、俺は、
来るな来るな来るな!!
違う!ほら!ハンカチ!
私のハンカチをとったの!?
有り得ない!
ばっ、俺は…!!
もう離れて!!
チッ、んだよ、
(ごめんなさい。)
(こうするしかないの。)
おばあちゃん、久しぶり。
ごめんね、お線香分のお金が無いの。
でも、私の歌なら無料だし聞いてよ
あ、嫌だ?
いや、新作なの。
おばあちゃんにだけの限定曲。
ごめんね、歌わせてね。
〜♪
〜♪♪♪
〜#゛#゛#゛
あ、ごめん。
喉の調子が良くないみたい…。
ごめんね、おばあちゃん
じゃあ、私、もう行くね。
(お金が欲しい。)
(もう生活がギリギリ…)
(これじゃ、盗むしかない、よね…)
(そんなことはいけない。)
(自分でももうよくわかってる!!)
(おばあちゃんに言われたんだもん)
(あれは5年くらい前で)
おばあちゃん
零。
零
なぁに?おばあちゃん!
おばあちゃん
見てごらん。
零
おさいふ?
おばあちゃん
そう。これは、おばあちゃんのお財布
零
わぁ、おかねないよぉ?
おばあちゃん
そう、零。
零
なぁに?
おばあちゃん
零はお財布の中が空になろうが
おばあちゃん
もう入らないくらいお金があろうが
おばあちゃん
絶対に人のものを盗んではいけないよ
零
うん、わかった!
おばあちゃん
おばあちゃんとの約束だよ
零
だいじょうぶ、
零
おばあちゃんとのおやくそくは、
零
ぜったいにまもるんだ!!
零
盗みたくないよ…、
零
おばあちゃん、
零
ごめん──
零
(ああ、美味しそう…)
いらっしゃーい
零
(お腹がなっちゃう…)
これなんか、おすすめ!
さぁ、どうだい!?
零
(美味しそう…。)
零
(ごめん、おば─)
おばあちゃん
盗んじゃダメだよ!!
零
(そうね、そうよ。)
零
(盗んじゃダメよ!)
零
(私ったら本当にダメね)
零
お腹が減った。
零
…
零
誰も私を助けてくれなんかしないわ
零
私は罪人ですもの──
〜♪♪♪
いい歌だね。
零
あなたは関係ないでしょ。
そんな、酷いなぁ…
零
あなた、私のこと知ってるでしょう?
ああ、零だろ?
零
やっぱり、
人殺しの罪人だよな。
親愛なる祖母を殺した─。
零
ああ、もうやめて。
零
あなたには関係ないでしょ。
あなたには関係ないでしょってうるさいなぁ。
零
だって、関係ないもん。
ねぇ、もう1回歌ってよ。
零
何で?
君の歌声が綺麗だからさ。
俺の名前は零。
零
あんたと同じ名前さ。
零
そう。
零
いいわ、歌ってあげる。
零
ありがとう。
零
ここは私とあなたの隠れ家よ。
零
絶対にバラさない事。
零
それが守れるなら歌う
零
ああ、約束する。
零
いくわよ?
〜♪
〜♪♪
〜♪♪♪
零
綺麗な声だ。
零
どうもありがとう。
零
俺、毎日ここ通うよ。
零
来なくていい。
零
何でさ?
零
私独りの時間も欲しいの。
零
了解。
零
ねぇ、
零
何だい?
零
私、昔あなたと会ったことあると感じるの
零
気のせいかしら?
零
いや?気のせいではないよ。
零
昔、俺とあんたでは
零
何?
零
ボーカルグループだったんだよ。
零
あら、そうなのね。
零
だから、こんなに
零
ドキドキするのね。
零
もしや、俺に惚れたかい?
零
会った時からね。
零
決めた。私、これからあなたのために
歌うわ
零
そうかい、そうかい。
零
ええ。
零
ありがとう。
零
毎日、午前零時。待ってるわ。
零
ああ、行くよ。
零
(それから毎日歌い続けた。)
零
(そうね、声が枯れようと歌ったわ)
零
(私はあの人を愛していたから。)
零
(ある日、あの人は来なくなったの。)
零
(毎日来るって言ったくせに。)
や、やぁ。
零
あなた、今までどうしたのよ。
零
俺は、今まで逃げてたんだ。
零
誰からよ。
零
あんたの親だよ。
零
親?
零
あんたの居場所を教えろって。
零
でも、ここは秘密。
零
教えなかったんだよ。
零
そしたら、あんたの親に言われた。
零を殺せ
零
ってね。
零
零…、、それ、、、。
零
でも、俺は断った。
零
そしたら、このザマよ。
零
お腹…、はやく手当しなきゃ…。
零
いや。いいよ、
零
俺は、もうじき、死ぬ。
零
だから、この海に飛び降りる気だよ…。
零
嫌だ、やめて…。
零
ありがとう…。
零
だめ、死なないで。
零
そうだ。俺の、ために 歌い続けてよ。
零
海の中で、ゆっくりと…聞いてる…。
零
最後に零、
・ ・ 愛してたよ
零
じゃあ、ね…。
零
待っ──
ざばん
零
零…、零!!
零
ごめん、私のろくでなしの親が。
零
私も、
・ ・ 愛してた
零
いいえ、愛してるわ。
零
私はあなたのために歌い続ける。
零
ここの海辺の岩の上の秘密のステージで
零
午前零時あなたのために歌います