不気味なほど綺麗な白に囲まれた自分のものではないワンルーム。
ポツリとベッドだけが置かれたそこは、例えるなら清潔な牢獄のようで。 千歳は外が不明瞭な擦りガラスの窓をじっと見つめる。
牢獄のよう、というのは 正確には閉じ込められてはいないからだ。
この部屋には鍵なんてかけられていない。 ドアにだって、窓にだって、何一つ自分を縛り付けるものはない。 いつだって出ていくことができる状態だ。
それでも千歳は、まるで見えない鎖に繋がれているかのように、この部屋から出られないでいた。
九折 千歳
部屋の主である彼は、今は出かけていて不在。 彼の部屋である事と、監視するかのように置かれた定点カメラが目の前にある事を除けば、空調で適温に保たれたこの部屋は、さぞかし快適に過ごせたことだろう。
九折 千歳
そして今日もまた、携帯の通知が鳴る。
ディスプレイに表示される名前は、逢いたくて仕方がない恋人の名前。 これを無視しなければならない苦痛と罪悪感に、千歳の心は確実に疲弊していった。
九折 千歳
コメント
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帰れっっっ!
あ、ダメだ無理だダメダメダメダメやめて!千歳さんにんな事すんなあぁぁぁぁ!!
千歳さんんんんん今助けに行きます窓突き破って