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痛い、痛い

頭が、痛い

景色が、歪んで

捻くれて

また、「違う景色」が見えてくる

暗い、通路だった

灯りは、誰かの持つカンテラだけだった

その炎に、2つの影が揺れている

顔までは見えなかったが

身長は違っていた

やがて、奥に木製の扉が現れた

もう随分と前からあると言っているかのような雰囲気だったが

時が止まったように、新しい

1つの影が、金属製のとってに手をかけ

不愉快な音を鳴らしながら、それは開いていく

隙間からは、眩しいくらいの光が漏れ出ていた

少し、また少しと光量は上がり

やがて──────

城内に、

革命を企てる者が居る。

おい……どうするんだよ…

悪戯でありますように…

どっちにしろ、死罪じゃないのか?!

王様は大丈夫か!

待って!イヴィ様の話を聞こう!?

厳かな雰囲気であるはずの謁見の間は

反転されたかの様に、慌ただしかった

当たり前だ

「あの様な手紙」が届いて、落ち着いていられる方が難しいだろう

愛白

───はぁ……はぁっ…

愛白

────!!

愛白

(何…この人集り…?!)

イヴィ

───皆様!

イヴィ

1度、話を聞いてください!

愛白

愛白

い、イヴィさん……

イヴィ

……愛白さん、良いところに!

愛白

な、何があったんですか?

イヴィ

…差出人不明の手紙が届いたのです

イヴィ

我が国に「革命」を企てる者が居ると…

愛白

か、革命?!

イヴィ

取り敢えず、国民に指示を仰ぎます

イヴィ

愛白さんは少し待っていただけますか?

愛白

…わっ、分かりました……

愛白

(大丈夫…かなぁ……)

イヴィ

───お集まりいただき、ありがとうございます

イヴィ

王様の側近を務めさせていただいている、イヴィ・ウォッチです

イヴィ

この度は、混乱を招いてしまい

イヴィ

誠に申し訳ございません

イヴィ

手紙の内容は…

イヴィ

「城内に、革命を企てる者がいる。」

イヴィ

というものでした

イヴィ

これから、国民の皆様にお願いがあります

イヴィ

できる限り、頑丈な建物に隠れ

イヴィ

外出は控えるようお願い申し上げます

あ、あの!

イヴィ

…はい

王様は…

王様は、今どちらに!?

イヴィ

騎士団が護衛する部屋に避難されています

イヴィ

ご安心ください

よ、よかった…

えっと…

革命を企てる者については…?

イヴィ

見つけ次第拘束いたします

デマの可能性は!

イヴィ

否めませんが、「無い方向」で進めてまいります

イヴィ

…何かあってからでは遅いので

イヴィ

皆様、どうかご理解とご協力をよろしくお願い致します

イヴィ様!

何か私たちにできることは無いですか?!

イヴィ

…お気遣い感謝いたします

イヴィ

何かあればこちらからお伝えします

イヴィ

それまでどうか、自分のことを最優先にお願いいたします

その後も質疑応答は続き…

1時間以上経って帰ってきた彼は

少し疲れているように見えた

愛白

──イヴィさん……!

イヴィ

大丈夫ですよ、私は側近として

イヴィ

皆様を護る義務がありますので

イヴィ

それより、愛白さん

愛白

は、はい…

イヴィ

貴女がここに来てだいぶ経ちましたね

愛白

(な、何を言われるんだろう…)

愛白

(まさか……クビ…?!)

イヴィ

そろそろ、単独で仕事をこなしてもらいましょう

愛白

……

愛白

───えっ

愛白

ええぇっ?!

イヴィ

…落ち着きましたか?

愛白

えっいや……っ

愛白

ひ、1人……ですか…?

イヴィ

えぇ

イヴィ

というのも

イヴィ

今回は、二手に別れようと思いまして

愛白

二手に…ですか…?

イヴィ

…送り主と、革命を企てる者の捜索です

イヴィ

愛白さんには、前者をお願いしたいのです

愛白

!?

愛白

で、でも…どこか分かりません……

イヴィ

それなのですが

イヴィ

住所が書いてありまして…

愛白

住所?

愛白

(ここにもあるんだ……)

愛白

…えっと、場所は…?

イヴィ

……

イヴィ

───隣国です

愛白

……え?

イヴィ

隣国の住所でした

愛白

りっ

愛白

隣国ですかっ?!

イヴィ

……えぇ

イヴィ

愛白さんには初めてお話しますね

イヴィ

その国の名前は「スカイゲイル」

イヴィ

万年、風の流れる列島です

愛白

スカイ、ゲイル……

イヴィ

汽車は手配します

イヴィ

どうか、協力してくれませんか?

愛白

……

愛白

(り、隣国……)

愛白

(しかも1人……)

愛白

(そんな…私には……)

愛白

(……違う!)

愛白

(私が……今まで役に立ってきたことなんてあったの?!)

愛白

(やらないと…役に立たないと……────)

棄てられてしまうから

私の居場所が無くなってしまうから

愛白

────……

愛白

や、やります

愛白

私、やります!

イヴィ

…ありがとうございます

イヴィ

いきなりで申し訳ありませんが、明日出発でお願いします

イヴィ

頼りにしてますよ

愛白

…はい…!

愛白

(……そうだ)

愛白

(…役に、立たないと……)

翌日

愛白

すぅ……はぁ…

愛白

(大丈夫…大丈夫……)

イヴィ

───おはようございます

愛白

ひゃっ?!

イヴィ

…すみません、驚かせてしまいましたね

愛白

だ、大丈夫です…

イヴィ

城のことはお任せ下さい

イヴィ

大丈夫、上手くいきますよ

愛白

はい……

イヴィ

イヴィ

──これ、よければ

愛白

……?

愛白

(鍵型の飾り……)

愛白

ネックレス……ですか?

イヴィ

お守りです

イヴィ

どのような時でも、道を切り開いてくれますよ

愛白

───!

愛白

い、良いんですか…?

イヴィ

えぇ、是非つけて見てください

愛白

は、はい……

愛白

ど、どうですか?

イヴィ

…良くお似合いで

愛白

……

愛白

…私、頑張ります

イヴィ

えぇ

イヴィ

健闘を祈っています

愛白

はい…!

愛白

(どうか、無事でいてください…)

それから、煙を吐き出す黒塗りの汽車に乗って

何時間も、何時間も揺られ続け

ふと、窓の外を眺めて

暗い、暗いトンネルを抜けた先の景色に

私は思わず、息を飲んだ

島々が浮いているのだ

遥か下に、薄らいだ雲があり

さも当然のように、重力を無視し

その連なる島には建物が並んでいる

私は、隣国へとやってきたのだ

愛白

凄い……!

愛白

(ここが…スカイゲイル……)

愛白

(でも、どうやってこの汽車は空に…?)

愛白

────!

窓から下を見てみると

線路が走っていた

だが、地面は無く

微かな浮遊感と共に、汽車は動き続けていた

愛白

(空を走ってるの?!)

愛白

(は、初めて見た…)

───この汽車は初めてですか?

愛白

私が座っていのは向かい合っている席だった

余程はしゃいでいたのだろう

向かい側に座る存在には、今初めて気づいた

愛白

は、はい…

あ、まだ名乗ってませんでしたね

ニコラス

僕はニコラス・ヴァーテックスと言います

ニコラス

スカイゲイルにある学校の教師ですね

愛白

(教師……)

ニコラス

隣国から来た、琴宮 愛白さんですね

愛白

えっ!

愛白

(何で…!?)

ニコラス

イヴィ様から伺ってます

ニコラス

何でも、会いたい人がいるんですってね

愛白

…知ってるんですか?

ニコラス

はい

ニコラス

…革命……大変なことになりましたね

愛白

……

愛白

(隣国と言えど……)

愛白

(ここまで冷静なことってあるのかな)

愛白

(それか、まだ知れ渡っていない?)

愛白

(うーん…)

ニコラス

…と、もうすぐ着きますね

ニコラス

学校まで案内しますので、ついてきてくれますか?

愛白

は、はい…

愛白

(学校……)

学校前

愛白

(───学校にしては…)

愛白

(小さいような…?)

ニコラス

僕、ここの館長なんです

愛白

館長、ですか?

ニコラス

はい

ニコラス

ここはやむを得ず、親元を離れなければならなかった子供たち等の心の拠り所となっています

愛白

……そうなんですね

ニコラス

中に入りましょう

愛白

愛白

えっあ……

愛白

良いんですか…余所者を……

ニコラス

……

ニコラス

あぁ!

ニコラス

ふふ、きっと喜んでくれますよ

愛白

(心配過ぎる……)

ニコラス

───さ、ここで少し待っててくれるかな?

愛白

は、はい……

愛白

(少人数でやってるのかな)

愛白

(うぅ…あまり子供と関わる機会がないから、話しかれられたらどうしよう……)

───おねぇちゃん、だれー?

愛白

愛白

え、えっと…

子供

ニコラスおじさん、知り合いだって言ってたよ!

じゃあ私たちも知り合いだぁ

愛白

そ、そう、だね?

子供

おねぇちゃんどこから来たの?

愛白

…隣の国から来たよ!

子供

おとなり?!

子供

遠いなぁ

子供

じゃあ空とぶ汽車にも乗ってきたの?

愛白

うん、アレ凄いね!

子供

ぼくね、2回も乗った!

子供

ずっるーい

子供

私なんて1回も乗ったことないのにぃ

愛白

(よかった…案外馴染めてるかな……)

子供

───あ!!

子供

「ルイ」せんせーっ!

愛白

「ルイ先生」……?

愛白

(この学校の人?)

───はいはい、ルイ先生ですよーっと……

愛白

……?

愛白

───えっ?!

愛白

え……

初めて見た顔だった

でも

「何故か、初対面とは思えなかった」

ん?

愛白

っあの……

愛白

ど、どこかでお会いしましたか……っ?!

子供

え?おねぇちゃんたち知り合い?

…あぁ

そうだな

愛白

(やっぱり……)

愛白

(でも、どこで……?)

少し、外で話そうか

愛白

は、はい……

子供

いってらっしゃあい!

愛白

(誰だろう…?)

───あー…

こうした方が分かりやすいか?

愛白

えっ?

ビュゥッ

愛白

!!

愛白

(風……?!)

愛白

(どこから?!)

────おい

愛白

「振り返るな」

愛白

───…?!

思い出したか?

そうだ、あれは───

───……

振り返っちゃいけない

そのまま、話を聞け

愛白

もしかして、ハイディさんの時の…?!

───当たり

音を立てて鳴り続けた風が、ふと消える

愛白

そう言って目の前に現れた彼の顔は

影になっていた

愛白

る、ルイって言うんですね…

ルイ

あぁ、俺はルイ

ルイ

前に、あんたに世話になったヤツだ

愛白

えっと、顔は……

ルイ

さっきのは「変装」だ

ルイ

アンタも知ってるだろ

ルイ

俺が普通じゃないってこと

愛白

……

愛白

(風をふかしたり…、超能力が使えたり)

愛白

(さらには空も飛べる)

愛白

(何者なの……?!)

ルイ

革命の件で来たんだろ

愛白

え!

ルイ

住所はここだ

ルイ

──俺が、手紙を送ったんだ

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