テラーノベル
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朝の空気は、まだ少し冷たかった。 レンは玄関を出る前に、無意識に隣の家を見た。 昨日と同じ時間。 昨日と同じ静けさ。 少し遅れて、ドアが開く。
アオイだった。
アオイ
昨日より、声が少しだけ低い。 眠そうだった。
レン
レンの声は、いつも通りうるさい。 二人は並んで歩き出す。 相変わらず、距離は近くも遠くもない。
レン
アオイ
レン
アオイは一瞬だけレンを見る。
アオイ
レン
(今、会話してる) それだけで、レンの気分は少し上がった。
途中、風が強く吹いた。 アオイの前髪が乱れて、視界をふさいだ。
アオイ
無言で直すアオイの横で、 レンはそわそわしていた。
レン
アオイ
短い返事。 でも、歩く速さを少しだけ緩めた。 それに気づいたのは、レンだけだった。
学校に着く直前、アオイが言った。
アオイ
アオイ
レン
それだけ言って、アオイは校門の方を見る。
アオイ
小さな声だった。 レンは一瞬、言葉を失った。 (優しい) そう思った自分に、少し驚いた。
放課後。 予報通り、雨が降っていた。 レンは昇降口で立ち尽くしていた。
レン
振り返ると、アオイが傘を持って立っていた。
アオイ
アオイ
レン
アオイ
即答だった。
アオイ
少しだけ、傘を傾ける。 二人の距離が、一気に近くなる。 雨音が、やけに大きく聞こえた。
レン
アオイ
家の前に着く。
アオイ
アオイはそれだけ言って、ドアを開ける。
レン
アオイ
レン
アオイは一瞬だけ振り返って、
アオイ
その日、レンはずっと考えていた。 冷たい言葉の奥に、 ちゃんとある優しさのことを。 相手のことを、少ししか知らなかった。 でも、確実に。 会話は、増え始めていた。
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