今日は休み明けの月曜日――
家から学校まで、本当は電車通学なんだけど……
ギリギリまで私と居たいから…と、毎日 お義兄ちゃんが車で送り迎えをしてくれている。
周りは凄く羨ましがるんだけど、凄く目立つから私は、ちょっと恥かしかったり……
優菜
ありがとう!お義兄ちゃん!
じゃあ、行ってくるね‼
じゃあ、行ってくるね‼
蓮
ちゃんと、真面目に勉強しろよ?
優菜
わ、分かってるよ……!
お義兄ちゃん、厳しいんだもん!
お義兄ちゃん、厳しいんだもん!
蓮
当たり前だろ!!
親父達が旅行の間は俺がお前の親代わりだからな。
親父達が旅行の間は俺がお前の親代わりだからな。
『親代わり』……
優菜
(親代わりがプロポーズしてどうすんのよ)
私達の両親は今、海外旅行中で、3ヶ月は帰って来ない。
その間、お義兄ちゃんが家のことを任されているんだけど…
そのお陰でお義兄ちゃんはやりたい放題という訳で……
優菜
お母さん達はもっと優しいよ?
お義兄ちゃんみたいに口煩くないもん。
お義兄ちゃんみたいに口煩くないもん。
蓮
ふ―ん。
俺にそんなこと言って良いのか?
俺にそんなこと言って良いのか?
優菜
(し、しまった…怒らせちゃったかな…?)
優菜
あ、私行くね!!
じゃ、じゃあね!お義兄ちゃん!!
じゃ、じゃあね!お義兄ちゃん!!
そう言って私は、助手席から脱出しようとした――
優菜
うわぁっ…‼
ドアを開ける寸前で、腕を“グイッ”と掴まれてしまったのだ。
優菜
っ…///
優菜
(こ、この状況…とってもマズイような…)
掴まれた勢いで、仰向けのまま運転席に座るお義兄ちゃんの、膝の上に倒れてしまったのだった――
蓮
お前、いつからそんな風に俺に歯向かうようになったんだ?
怒った顔で見下ろすお義兄ちゃん。
優菜
(こ、怖い……)
優菜
ご、ごめんなさいっ……
私は少し怖くなって、涙目になりながら謝った。
しかし、そんな恐怖も束の間……
蓮
クスッ…怯えてる顔も可愛いなぁ…
そう言ってすかさず、おデコにキスをする。
優菜
っ…///
優菜
なっ…なっ…何してんの…!?
蓮
何って…キス?
優菜
い、言わなくて良いから…///
優菜
てか、そうじゃなくて!!
こんなとこでしなくても!!
こんなとこでしなくても!!
蓮
愛する婚約者に、いってらっしゃいのキスしただけだけど?
蓮
あ、もしかして足りなかった??
だったら、もう一回……
だったら、もう一回……
優菜
!⁉
優菜
し、しなくて良いから!!
てか、こんなとこで、しないでってば――///
てか、こんなとこで、しないでってば――///
私はお義兄ちゃんの顔を両手で押し退け、慌てて車を出た。
蓮
怒ってる顔も可愛いぞ。優菜。
優菜
う、うるさい!!///
バンッ―――
私は怒った勢いで、思い切りドアを閉めた。
それを見てお義兄ちゃんは、笑っている。
優菜
(ム、ムカつく…!!)
優菜
お義兄ちゃんのバカ!!
私はそのまま教室へと向かった――
―――お義兄ちゃんは謎だ。
甘えてくるお義兄ちゃんは、笑顔も言葉も優しい。
なのに、急にあんな怖い顔で意地悪なことを言う。
かと思ったら、いきなりキス…するし…
それに――
明らかに私の表情をたのしんでいる。
きっとお義兄ちゃんの本性は……
ドSだ!!