あの日も定時に仕事を終えて
いつもと変わらない時間。
薄暗くなり始めた頃
駅から帰る途中
尾が短くて白い子猫を見つけた。
体は痩せ細っていて、決して
綺麗とは言えないけれど
釘付けになってしまう位、青い瞳が印象的な猫。
毛繕いをし始めたと思ったら
コロンコロンと左右に転げて遊んでいる。
最近は
仕事で疲れていて、いつもなら
少しの余裕もないのだけれど
背骨やあばら骨が浮き出る位
その猫は痩せていて
助けずにはいられなかった。
近くのスーパーで
ツナ缶を買って
手に乗せてみる。
とても美味しそうに
何のためらいもなく食べている。
人間をあまり知らないようだ。舌のざらつきと
ぬくもりが
猫好きにはたまらなく
のんびりと過ごしてしまった。
ハッと顔を上げると辺りはすっかり暗く、
人気(ひとけ)もなくなっていた。
太ももへ
平然と跳び乗ってきて、思わず
微笑んでしまった。「うちの
マンションに来るかい?」とたずねると、
「みゃ~」と小さく鳴いた。純真
無垢なその猫に
メロメロになった。
もう名前は決まっていた。
やっぱり白いし
[雪(ゆき)]と名付けよう。今日から
よろしく。
楽に、暴れる事もなく
両手で捕まえる事ができた。
ルンルン気分で、ツナ缶が入っていた
レジ袋に[雪]を入れて
路地の奥の
我が家へ。さぁここが
お前の新しい家だよ。
ん?気に入った?
文頭が五十音順になっているお話でした!
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