シンゴ
じいちゃんばあちゃん!
こんにちは!
こんにちは!
コウジ
うん、父さんと母さんが
よろしくだって
よろしくだって
リョウスケ
コウジはわしに似てきたなぁ
コウジ
そう?
ケイコ
さあさあ、疲れたでしょう?
ケイコ
お刺身あるから夜まで
田んぼの方で遊ぶかい?
田んぼの方で遊ぶかい?
シンゴ
うん!遊ぶ遊ぶ!
コウジ
あぁ、都会には
田んぼなんてないからな
田んぼなんてないからな
リョウスケ
まったくコウジはクールだなぁ
リョウスケ
ハッハッハ
コウジ
いや、シンゴの
面倒見なきゃいけないから
面倒見なきゃいけないから
ケイコ
ここくらい息抜きは必要よ
ケイコ
ゆっくりしていきなさいね
コウジ
ありがとう
シンゴ
兄さん!こっちこっち!
コウジ
あ、バッタいるぞ〜
シンゴ
マジで!?でかっ
コウジ
…あれなんだろうな
シンゴ
え?どうしたの?
コウジ
いや、田んぼのほうでさ
コウジ
白いバタバタしてるのがいるんだよ
シンゴ
ほんとだあ
コウジ
新種のカカシかな?
シンゴ
僕、望遠鏡取ってくる
コウジ
あぁ、頼むぞ
シンゴ
はい、取ってきたよ
コウジ
ありがとう
コウジ
俺が先に見るから貸して
シンゴ
うん
コウジ
……あれは
コウジ
ダメだ!シンゴ!
コウジ
見るな!
シンゴ
え?どうしたの?
コウジ
はやく家に帰ルゾ
シンゴ
わ、わかった
シンゴ
兄さん、どうしたの?
コウジ
フフ…フハハ…
コウジ
アッハッハッハ
シンゴ
兄さん!?
シンゴ
ちょっ、
じいちゃん!ばあちゃん!
じいちゃん!ばあちゃん!
リョウスケ
どうした?
バッタでも見つけてきたか?
バッタでも見つけてきたか?
シンゴ
違う違う!兄さんが!
リョウスケ
コウジがどうしたって?
シンゴ
突然笑い出して
どっかいっちゃった!
どっかいっちゃった!
リョウスケ
えぇ!?それって
ケイコ
なに?どうしたの?
リョウスケ
コウジがクネクネに!
ケイコ
えぇ!?
シンゴ
クネクネ?なにそれ
リョウスケ
いいか?シンゴは
何があっても外にでちゃダメだぞ
何があっても外にでちゃダメだぞ
シンゴ
う、うんわかった
リョウスケ
お、おい力が結構強いぞ
ケイコ
押さえつけて!
シンゴ
に、兄さん…
リョウスケ
いいか?
クネクネっていうのはな
クネクネっていうのはな
リョウスケ
ここら辺に住む化け物だ
リョウスケ
もとは人間なんだがな
リョウスケ
姿は白くてバタバタしてるんだ
ケイコ
クネクネを視認すると精神が狂うの
シンゴ
じゃあ、あれは…
ケイコ
クネクネを見たの?
シンゴ
うん…
シンゴ
僕はカカシかと思ったけど
シンゴ
兄さんは望遠鏡を覗いた瞬間
シンゴ
家に帰るぞって
リョウスケ
今コウジを見たけど
リョウスケ
もう時間が経ってる
リョウスケ
田んぼに放すべきだと判断した
シンゴ
そんな…
コウジ
フフフ…アハハ…
コウジ
フフ…アハ…
シンゴ
兄さん…
リョウスケ
コウジの新幹線の
チケットは大人だよな?
チケットは大人だよな?
シンゴ
うん、兄さんは中学生だから
リョウスケ
そうか、じゃあ俺はコウジの
チケットを使うから
帰る日まで外に出るなよ
チケットを使うから
帰る日まで外に出るなよ
シンゴ
わかった
シンゴ
じゃあね、ばあちゃん
リョウスケ
こんなことになって申し訳ない
リョウスケ
前から話しておくべきだった
シンゴ
ううん、
じいちゃんのせいじゃないよ
じいちゃんのせいじゃないよ
そんな時にふと兄さんに目をやった
見るも無惨に笑いこけていた
シンゴ
!?兄さん!?
リョウスケ
どうした!?シンゴ
シンゴ
何か言ってる気が!
リョウスケ
え!?
リョウスケ
なにも…言っとらんじゃないか
シンゴ
いや、気をつけてって
シンゴ
言ってたよ
リョウスケ
兄さんの最後の
メッセージだったのかもな
メッセージだったのかもな
僕は憎むように田んぼを見た
田んぼを睨み唾を吐きかけた
すると
見てはいけないモノを見た