この作品はいかがでしたか?
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──その日は泣いていた。
原因も、目的も解らず
どうしようもなくて、途方に暮れていた。
カップルや、友達同士で遊びに来ている人。
その活気が、商店街を照らす。
ショーウィンドウに映った私は
醜い、充血した目を腫らして
口元は歪んでいる。
見たくもなくて、目を逸らした。
商店街を抜けた先の、ひっそりとした住宅街で
川辺に映る太陽を見て
なんとも言えない気持ちになった。
その時、風が吹き抜けた。
ジメジメとした空気を、吹き飛ばすような風が。
ハッとして、空を見上げた。
鮮明な橙色が、私を包み込んだ。
遠くで、鴉が鳴いた。
憎いほど明るい太陽は
空いた心に語りかける。
優しく、それでも、強く。
「進みなさい。」と───
夕方。
足取りの重い夕方。
でも、何だか今日は
少し、軽くなったような
…そんな気がした。
コメント
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たまにありませんか? こんな時