Stくんについて歩いて行くと、
たどり着いたのは先ほどの場所から少し東に進んだとこにある一軒家だった
St
散らかってるけどごめん、一応寝室は人数分あるから
そこを1人1部屋ずつ使っていいよ

Ak
ありがとうございますっ!!

St
夕飯はその辺で適当に狩ってきた魔物の肉だけど、
大丈夫?

Tg
大丈夫ですっ!!

St
なら良かった

St
夕飯の支度をするから、好きなように過ごしてて

Stくんがそう言ってキッチンに入って行ったので、
オレたちは今のうちにそれぞれの部屋を決めておこうと寝室があるという
2階に登って行った
Ak
えーっと、使って良さそうな部屋の数がいち、に、さん、、、あれ、四部屋?

Tg
Stくん、もしかしたら数え間違えてたのかもね

Pr
てことは2人は同じ部屋で寝なあかんのか

Mz
組み合わせどうする?

Kty
とりあえずTgは王子様だから流石に1人部屋じゃん?

Mz
だな、流石にそこは分けないと

Ak
Mzちは1人部屋じゃないと落ち着かないって言ってたよね!!

Mz
うーん、オレ寝相酷くて一緒に寝てるやつぶっ飛ばしそうだからな

Kty
確かにMzちは寝相すごいよね

Pr
そーなんや、初めて知ったわ

Ak
そう考えると、KtyちかPrーのすけかオレの中から2人?

Tg
Ktyがおれ以外の誰かと一緒に寝るのやだ

Kty
Tg、わがままはダメだよ、、、

Mz
そこまで言われてTgの気持ちに気づかないお前はなんなの

Kty
へ?

可愛らしい乙女心を発揮したTgちゃんをみて、
友人の恋心からくるささやかなわがままを聞いてあげたくなる
Ak
じゃあ、オレとPrーのすけにする?

Ak
一緒に寝るとか、小さい頃もやってたし、、、

Pr
ん、それもそうやな

Pr
多分この中でお互いに微塵も抵抗ないの俺らだけやし

Ak
確かにw

Tg
ええっ、おれも抵抗ないよ!?

Mz
TgになくてもKtyが遠慮するだろw

Kty
流石に自分が仕えている国の王子様と一緒に寝るのはね、、、

Tg
ちょっと前までは王様には内緒だよ、って一緒に寝てくれたのに、、、

Kty
それ7歳くらいの時の話でしょ!?

Pr
10年以上前やんw

Mz
んなこと言ったらAkとPrも再会するまで
最後に会ったの10年以上前だったじゃん

Ak
確かに!!

Ak
10年以上経ってもPrーのすけの声と顔鮮明に思い出せてたなぁ

Pr
俺も全然覚えとったなぁ

Pr
ちょっと前に港町でAkとぶつかった時、
一瞬顔見ただけでAkに似とると思ったもん

Ak
オレもPrーのすけがフード取った瞬間にあれ、って思った!!

Ak
Prーのすけが大好きすぎてずっと心の中に大事にしまってたからね

Pr
はあああああ!?///

Ak
え、どしたの、オレなんか変なこと言った?

Pr
あ、いや、俺ももちろんAkと同じなんやけど

Pr
なんか、改めて大好きって言われると
ちょっとくすぐったいというか、、、///

そう言って顔を真っ赤にして下を向いてしまったPrーのすけの姿を
見ていると、なんだか心がむずむずするしそわそわしてしまって落ち着かない
Ak
そ、そっか、?///

Mz
なんでお前ら自分で爆弾発言投下しまくって最後に照れんのw

Kty
しかも2人とも自分の気持ちわかってないんだ、、、

Tg
まだまだくっつくのには時間がかかりそうだね

3人が何かを話しているのが聞こえた時、
階下から夕飯の支度をしてくれていたStくんから声がかかる
St
おーい、夕飯の支度終わったからテーブルに並べるの
手伝ってもらってもいいか?

Ak
あ、はーい!!

Stくんのお手伝いをするために一階に戻って行き、
彼が用意してくれた料理たちを机に並べていく
St
そういえば俺、部屋の数間違って数えちゃってたけど
大丈夫そうだった?

Ak
あ、それは大丈夫でした!!

Ak
オレとPrーのすけが一緒に寝るので、、、

St
え?お前すごいな

Ak
何がですか、?

St
好きな子と同じ布団で寝ても平気なんだ

Ak
へ?好きな子?

Ak
オレは別にPrーのすけのことそういう意味では好きじゃないですよ?

自分でそうは言ったものの、
なんだか妙な違和感が心の中をぐるぐると回っていて、
先ほど顔が真っ赤なPrーのすけを見た時とは別の意味で落ち着かない
Ak
(あれ、?)

St
……あー、なるほど

Stくんはオレの反応を見て何かに納得したような表情を浮かべると、
ふっと微笑んでオレにこういった
St
無自覚なんだね、頑張れ少年

Ak
え、え、ええ?

オレが戸惑いの声を上げるとStくんは、本当にClに似てるな、と
呟いて笑いながら食事が並び始めた食卓を指差す
St
ほら、早く準備終わらせないとご飯冷めちゃうよw

Ak
あ、それもそうですね!!

Pr
Akー、そのお皿持って行ってくれん?

Ak
わかったー!!

みんなで食事を食卓に並べて行き、声をそろえていただきます、と
食前の挨拶をする
カチャカチャと食器の音がし始めた頃、Stくんがオレたちに尋ねた
St
で、みんなは俺になんの用事でこんな辺境まで来たの?

St
まさか偶然ってことはないでしょ?

Ak
あ、それはですね、、、

オレが事情を説明すると、Stくんはなるほど、と相槌を打つ
St
俺が持ってるパープルオーブが欲しいのと、
普通に訓練をつけて欲しいんだね

Ak
はい、そうなんです

Kty
オーブをもう一つ手に入れたらもう魔王城まで行くので、
その前に稽古をつけていただきたくて、、、

St
まあ、パープルオーブに関しては
その辺に落ちているのを綺麗だな、って思って
拾っただけだから全然いいんだけど、、、

St
確かに今の状態で魔王に挑戦するのはかなり危ないかもしれない

Mz
ですよね、、、

St
相手は魔法と剣術を自分の限界まで叩き上げた猛者だからね

Tg
魔王が魔法を得意とするのは知っていましたけど、
剣術もできるんですか!?

St
基本的に魔王を名乗る者は魔法を専門としているんだけど、
今回の魔王はなかなか特殊らしくて

St
本当に二十代の青年なのか怪しいレベルで魔法も剣術も練度が高いんだ

Mz
(まあ、オレが倒れたあの日から何百年も経ってるしな、、、)

Mz
(オレは戦闘用の人形のつもりでAtを作ったわけじゃないから、
本当に気合と根性だけであそこまで戦闘力を鍛えたんだろうな)

Mz
(オレの記憶では特にAtには野心みたいなものはあまりなかったけど)

Mz
(一体何がここまであいつを突き動かしているんだろ、、、)

Pr
血反吐を吐くような努力をしたんかな、、、

Ak
まあ、Atが20代でここまで強いんだったらそうなんだろうね

Kty
そんな強い相手に、僕たち対応できるの!?

Kty
Akの目的は魔王を助けてあげることだから、
彼を倒す必要はないんだろうけど、、、

Kty
それにしても相当な戦闘力は必要だよね?

Tg
でも、それくらいの強さを手に入れたかったら
それこそ何年も修行をしなくちゃいけないんじゃ、、、

Tg
流石に、そんな何年もは時間ないよ!?

Mz
だよなぁ、、、

St
俺がパッと見た感じだけど、剣を扱う3人は
それなりに素養と基盤がしっかりしている

St
でも、それぞれに弱いところがあって、
そこを補う力が必要な気がするんだよね

St
Prちゃんは、術を使う分周囲の状況把握と警戒心が他の2人に
比べると劣っている

Pr
!!

St
Ktyは、Tgを守るのに集中しすぎてたまに自分が攻撃を避けることを
忘れそう、それは戦場において何よりもの命取りだ

St
騎士が倒れてしまえば結局主を守ることはできないからね

Kty
……。

St
Akは、全部自己完結させようとして周りを頼るのがヘタクソだね

Ak
え、

分析の結果導き出したのであろうオレたち3人の弱点を
淡々と並べたStくんは、にこりと笑って続ける
St
俺が本気で稽古をつければ、弱点を短時間で克服させてかつ
戦闘力を底上げすることは可能だけど、、、

St
俺は人の限界を把握するのがあまり得意じゃないから、
伝えてくれないとわからないし訓練はかなり厳しいと思う

St
それでも君たちは俺に稽古をつけてもらいたい?

こちらをじっと見ながらそう尋ねるStくんに、オレたちは息を呑む
St
もちろん流石にキツい、ってなったら中断もするし休憩も取るよ

St
ただ、言ってくれないとわからないというだけで

オレたち3人はうつむいてしばらく個人個人でそれぞれの思うところについて
思案していたが、数分後には顔を見合わせて頷いた
Ak
オレは、Stくんに訓練をつけてもらいたいです。

Kty
僕もお願いします!!

Pr
俺にも、剣術を教えていただいてもよろしいでしょうか

St
……わかった、じゃあ早速明日から稽古をつけるね

St
しんどくなったり、ペースが早すぎると感じたら教えて

Ak
わかりました!!

オレたち3人が稽古を受けることに決めてそう頷くと、
ずっと何かを考えていたMzちが声をあげる
Mz
あの、Stくん

St
どうかした?

Mz
その、この近くで魔法が自由に打てるとこってありますかね、?

Mz
オレも、もっと強くなろうと思って

St
なるほど

St
この周りには特に街とかはないから、あまり気にしないでいいと思うな

St
なんなら家の目の前で練習しててもいいよ

Mz
流石にそれは申し訳ないのでちょっと離れますけど、、、

St
ふふっ、わかった

St
Tgに関しては鍛錬の合間に他の3人の治療をするだけでも
回復魔法の練度が上がると思うから、治療役よろしくね

Tg
はいっ!!

St
それじゃあ今日は5人とももう休みなよ、明日は8時までに起きてね

Stくんの言葉にはーい、と返事をして、
オレたちはそれぞれの部屋に戻って明日から始まる稽古に備えて休養をとった