TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

タイトル、作家名、タグで検索

テラーノベル(Teller Novel)
生贄島

生贄島

「生贄島」のメインビジュアル

1

生贄島 第1話

♥

1,420

2020年06月24日

シェアするシェアする
報告する

船の中

タツキ

空が妙に曇ってきたなぁ

カズキ

せっかく卒業旅行で

カズキ

○○島に行くんだから晴れて欲しいよなぁ

カイリ

スキューバダイビング楽しみにしてたのに

カイリ

これじゃ無理かな

その時突然、嵐が訪れ

3人が乗った船が大きく傾いた

タツキ

うおっ!?

タツキ

これ本当にヤバそうだな!

カズキ

ちゃんと島までたどり着くのかよ…

カイリ

小さい船だから

カイリ

転覆するんじゃないか!?

船頭

君たち!

船頭

悪いが一旦近くの島に停泊するぞ!

タツキ

うぅ…ついてねぇなぁ…

カズキ

天気が良くなるまで船は出せないってよ

カズキ

乗ってた客は俺たちだけだし

カズキ

我慢するしかねぇよな…

カイリ

あ、あの人たちってこの島の人たちかな?

みなさまこんにちは!

ようこそわが島へ

ようこそ!

タツキ

(なんか、感じのいい人たちだな)

突然の嵐で大変だったでしょう?

当分収まりそうにないですね…

カイリ

そんなぁ…

これも良い機会だと思って

ぜひ、うちの島に泊まって行ってくださいよ

カズキ

…まぁ、仕方ないよな

カイリ

こうなったらこの島を観光しようぜ

タツキ

そうだな…

旅館へ案内しますので、どうぞこちらへ

ついて来てください

カズキ

ありがとうございます!

旅館の広間

タツキ

雨は止みそうにないな

カズキ

そうだなぁ…

カズキ

でもこの島の人たちみんないい人そうで良かったよな

カイリ

本当それだよ

カイリ

泊まれるように部屋を用意してくれるらしい

カイリ

ひとまず安心だな

タツキ

しかも一人一部屋用意してくれたんだろ?

タツキ

なんか申し訳ないよな

カズキ

だよなぁ

カズキ

部屋は沢山あるから大丈夫ですって、旅館の人言ってた

カイリ

そこまで言ってくれたんだから

カイリ

甘えてもいいんじゃねぇの?

カイリ

その代り、こんないい島があったってことを

カイリ

みんなに伝えればいいんだからさ!

タツキ

カイリ、お前って時々いいこと言うよな

カイリ

時々じゃなくていつも言ってるつーの!

カズキ

あ!旅館に案内してくれた人たちだ!

どうですかこの旅館は?

お気に召されましたか?

カイリ

はい!とってもいい旅館ですね

気に入っていただけたようで

私たちも安心しました

タツキ

ここまでしてくださって、ありがとうございます

タツキ

本当に助かりました

タツキがお辞儀をしたとき

つけていたクロスのネックレスが光った

おや、それは…

タツキ

これですか?

タツキ

クロスのネックレスですけど、なにか…?

ブチッ!

タツキ

え…?

男は笑顔でネックレスを掴み

引きちぎっていたのだ

カズキ

な、なにするんですか!?

男は窓から外のドブへ

ネックレスを投げ捨てたのだ

カイリ

おい!一体どういうつもりだよ!?

この島ではひとつの宗教しか信じていません

外から他の宗教を入れるわけにはいかないんです

タツキ

宗教って…

タツキ

クロスのネックレスはどんな人でも付けてるのに…

ダメなものはダメです

この島の神は海の中にいるんです

ニコニコと笑顔を絶やさない島民に

3人は目を見かわせた

タツキ

(この人たちの笑顔を見ていたら)

タツキ

(なんだか寒気がしてきた…)

旅館の女将

お待たせいたしました

旅館の女将

お部屋の準備ができましたのでご案内いたします

カイリ

おい…

カイリ

俺たちこのまま甘えていいと思うか?

カイリがそっと囁く

タツキ

わからない…

タツキ

でも、根はいい人たちばかりだから…

カズキ

外は嵐で船も出ない

カズキ

泊まる場所はここしかないんだろ?

カズキ

俺たちに選択肢なんてないんだよ

カイリ

…そうだよな…

タツキ

もし、なにか妙なことがあれば

タツキ

すぐに連絡し合おう

カズキ

わかった

タツキ

(島の人たちはなんだか妙な雰囲気だったけど)

タツキ

(旅館の部屋は最高だな)

タツキ

(新しい畳の匂いに、窓からは海も見える)

タツキ

(普通に島に来ていれば)

タツキ

(きっと最高の観光地だろうな)

ザッ…ザッ…ザッ…

タツキ

んん…?

ザッ…ザッ…ザッ…

タツキ

こんな真夜中になんの音だよ…

窓の外を見てみると

沢山の人影が海へ向かって歩いている

タツキ

島の人たちか…?

タツキ

雨の中、なにする気なんだろう?

カズキ

2人とも起きてるか?外見てみろよ!

カイリ

起きてるぞ!足音で目が覚めた

カイリ

あいつら、なにしてんだろうな?

タツキ

わからない

タツキ

ちょっと気になるよな

カズキ

こっそり後をつけてみないか?

カイリ

いいね!

カイリ

昼間だって妙な感じがしたし、興味ある!

タツキ

俺も行く

カズキ

よし!

カズキ

着替えたらロビー集合な!

20分後

カイリ

海に向かって歩いてたよな

タツキ

あぁ。夜中に嵐の海なんて

タツキ

普通は危なくて近づかないよな

カズキ

昼間聞いた

カズキ

海の神様とかが関係してるんじゃないか?

カズキ

もしかしたら、神様の祭りでもやってんのかも

海辺へ近づいてみると

海に面した崖の上で

島民たちはひとりの男を取り囲むようにして座っていた

カイリ

なんだありゃ…?

タツキ

祭りみたいな華やかさはないな

タツキ

すごい物々しい雰囲気だけど…

真ん中に立つ男が紐を使い

自分の体に大きな石をくくりつけはじめた

カズキ

石を体にくくりつけて、なにするつもりだ?

カイリ

見ろよ、男のあの笑顔…

カイリ

昼間会話した島民も全員似たような笑顔だった

カイリ

笑顔の仮面を貼り付けたみたいで気味悪りぃ

次の瞬間、島民たちが雄たけびを上げ始めたのだ

オオオオオオオー!!

オオオオオオオー!!

タツキ

うわっ!なんだこの声!

カズキ

鼓膜が破れそうだ!

カイリ

おい、2人ともちゃんと見ろ!

石をつけた男が海の方へと歩いて行く

オオオオオオオー!!

オオオオオオオー!!

次の瞬間

男は自ら海の中へ身を投げたのだった

loading

この作品はいかがでしたか?

1,420

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store