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お昼休み

昼休みの教室は、ザワザワとした雑音で溢れていた。

俺は、いつも通り窓際の自分の席で弁当を広げ、周りに気を配ることなく食べていた。

それなのに....。

天野悠真

颯太ー!!

教室のドアを勢いよく開ける音が響く。

聞き覚えのある声に顔をしかめ、目を向けると案の定、悠真がそこに立っていた。

木村颯汰

....お前何してんだよ。

周りの生徒たちが一斉にこっちを見る。

悠真はそんな視線をものともせず、俺に向かって手を振る。

天野悠真

颯太と飯食おって思って。

平然とそう言って、悠真は俺の席に向かって歩いてくる。

木村颯汰

は?俺のクラスなんだけど。

天野悠真

いいじゃーん、細かいことは気にすんなって(笑

悠真は当たり前のように俺の隣の席に座る。

そして持参した弁当箱を広げると、手際よく箸を取り出した。

木村颯汰

....お前、ほんとにここで食う気かよ。

天野悠真

もちろん。

堂々とした悠真の態度に、周りの視線がさらに強くなる。

クラスの女子達がヒソヒソと話し始めてるのがわかる。

クラスメイト

ねえ、あの人誰?(モブ1

クラスメイト

木村の知り合いっぽくない?(モブ2

クラスメイト

めっちゃイケメン!(モブ3

....やめてくれ。

本当に居心地が悪い。

木村颯汰

お前余計な事してんじゃねぇよ。

小声でそう言っても、悠真は全く気にしていない様子。

むしろ、ニヤニヤしている。

天野悠真

颯太の顔みたくて来ただけだもーん。

木村颯汰

は?

さらっと言われたその言葉に、思わず箸が止まる。

なんなんだ、こいつ。

周りの人間がいるのに平気でそんなことを言う神経が分からない。

天野悠真

それよりさ、颯太。

天野悠真

今日の弁当何入ってる?

木村颯汰

....普通だよ。

天野悠真

えー、見せてよ。

悠真は俺の弁当を覗き込む。

距離が近い。

その顔がすぐ横にあることに気付き、無意識に体が硬直する。

木村颯汰

ち、近えよ..離れろっ。

天野悠真

えー、(笑

天野悠真

恥ずかしがるなって。

木村颯汰

恥ずかしがってねぇし....。

顔が熱くなるのを感じ、悠真からそっと目を逸らした。

そして、弁当箱を閉じる。

悠真はそれを見て笑いながら、今度は自分の弁当を開けた。

天野悠真

じゃあさ、俺の弁当食う?

木村颯汰

いらねぇ。

天野悠真

でもっ、これめっちゃ美味いんだよ?

天野悠真

ほら、食べてみ?

悠真は箸で卵焼きを持ち上げ、俺の口元に近づけてくる。

木村颯汰

おいっ!やめろ!

慌てて手で払い除けると、悠真は大袈裟に笑った。

天野悠真

そんなに恥ずかしがんなって!(笑

天野悠真

俺の愛情たっぷり卵焼きだぞ?

木村颯汰

....黙れ。

木村颯汰

気持ちわりぃ..

悠真の言葉に、教室がまたざわつき始めるのが分かる。

俺は机に突っ伏して、視線を逸らすしか無かった。

天野悠真

なあ、颯太。

天野悠真

今日の放課後また図書室行く?

俺の耳元で囁くようにそう言った。

木村颯汰

....お前が来るなら行かねぇ。

そう返すと、悠真は少し考え込むように黙った。

天野悠真

じゃあさ、図書室じゃなくてもいいから、一緒に帰ろ。

木村颯汰

....

木村颯汰

勝手にしとけ。

顔を上げると、悠真が嬉しそうに笑っていた。

顔はいいのに、性格がなぁ。

なんて、思ってしまう。

 

 

 

放課後、校門の前で悠真を待っていた。

天野悠真

 10分だけ待ってて 

そう言い残して教室に戻った悠真の言葉を信じて、俺は仕方なく待つことにした。

夕方の空はオレンジ色に染まり、少し肌寒い風が吹く。

俺は腕を組んで、悠真が来るのをじっと待っていた。

だが、10分経っても、20分経っても、悠真は現れない。

木村颯汰

....アイツ、誘っておいて何してんだよ。

軽く舌打ちをして、携帯を取り出す。

連絡しようか迷ったその時だった。

ふと、近くの廊下から話し声が聞こえた。

思わず振り向くとーー

そこには悠真と、見覚えのある女子がいた。

女子

天野くん、ずっと前から好きでした!

女子

付き合ってください!

その声がはっきりと耳に届く。

....告白。

悠真を見つめるその女子の顔は真剣そのものだった。

一方の悠真は、どこか困ったような笑み浮かべている。

その顔は俺でも見た事のない顔だった。

天野悠真

....ごめん。

悠真の返事は意外にもあっさりしていた。

天野悠真

俺、好きな人いるから。

そう悠真が言った瞬間、胸がドクンと大きく跳ねた。

なんでだろう。

悠真が誰かを好きだと言ったのが、こんなにも気に障るなんて。

....いや、違う。

俺はただ、待たされてイラついているだけだ。

そう言い聞かせながら、俺は目を逸らした。

 

廊下の方から足音が近付いてくる。

そして、俺の前に現れたのは、予想通り悠真だった。

天野悠真

颯太っ!

天野悠真

待たせてごめんっ..

悠真が息を切らしながら駆け寄ってくる。

その顔には少しだけ汗が浮かんでいた。

木村颯汰

....何してたんだよ。

天野悠真

ちょっと用事があってさ。

悠真はあっさり言うけれど、その背後で女子と話していたのを見ていた俺には、その『用事』が何なのか分かっている。

木村颯汰

....ふーん。

木村颯汰

まあいいけど。

俺は

俺は努めて冷たく返した。

悠真は気にする素振りもなく、いつものようにニコニコしている。

天野悠真

さっ、帰ろうぜ!

木村颯汰

....勝手にすれば。

俺たちは並んで歩きだした。

悠真の足取りは軽く、隣にいるだけでその明るさに気圧されそうになる。

天野悠真

なあ颯太。

木村颯汰

なんだよ。

天野悠真

待っててくれてありがとう。

悠真のその一言に、不意をつかれた。

木村颯汰

....別に。

木村颯汰

お前が来なかったら帰るつもりだったし。

素直になれず、つい素っ気ない言葉を返してしまう。

悠真はそんな俺の態度に慣れているのか、特に気にすること無く笑っていた。

天野悠真

でも、颯太が待ってくれるだけで嬉しいよ。

その笑顔に、また胸がざわつく。

やっぱりこいつは俺には理解できない。

でもーー。

木村颯汰

....バカがよ。

そんな言葉しか出てこない自分が、少し情けなかった。

ごめん!ちょっと続き書くのむずいかも🙏

3話は『雪麗』(様)の方で上がります!

フォローして待っててあげてください!

では、ばばい!

お前なんか興味無い。

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コメント

6

ユーザー

ほー…これは始まってますな🤭

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