お昼休み
昼休みの教室は、ザワザワとした雑音で溢れていた。
俺は、いつも通り窓際の自分の席で弁当を広げ、周りに気を配ることなく食べていた。
それなのに....。
天野悠真
教室のドアを勢いよく開ける音が響く。
聞き覚えのある声に顔をしかめ、目を向けると案の定、悠真がそこに立っていた。
木村颯汰
周りの生徒たちが一斉にこっちを見る。
悠真はそんな視線をものともせず、俺に向かって手を振る。
天野悠真
平然とそう言って、悠真は俺の席に向かって歩いてくる。
木村颯汰
天野悠真
悠真は当たり前のように俺の隣の席に座る。
そして持参した弁当箱を広げると、手際よく箸を取り出した。
木村颯汰
天野悠真
堂々とした悠真の態度に、周りの視線がさらに強くなる。
クラスの女子達がヒソヒソと話し始めてるのがわかる。
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
....やめてくれ。
本当に居心地が悪い。
木村颯汰
小声でそう言っても、悠真は全く気にしていない様子。
むしろ、ニヤニヤしている。
天野悠真
木村颯汰
さらっと言われたその言葉に、思わず箸が止まる。
なんなんだ、こいつ。
周りの人間がいるのに平気でそんなことを言う神経が分からない。
天野悠真
天野悠真
木村颯汰
天野悠真
悠真は俺の弁当を覗き込む。
距離が近い。
その顔がすぐ横にあることに気付き、無意識に体が硬直する。
木村颯汰
天野悠真
天野悠真
木村颯汰
顔が熱くなるのを感じ、悠真からそっと目を逸らした。
そして、弁当箱を閉じる。
悠真はそれを見て笑いながら、今度は自分の弁当を開けた。
天野悠真
木村颯汰
天野悠真
天野悠真
悠真は箸で卵焼きを持ち上げ、俺の口元に近づけてくる。
木村颯汰
慌てて手で払い除けると、悠真は大袈裟に笑った。
天野悠真
天野悠真
木村颯汰
木村颯汰
悠真の言葉に、教室がまたざわつき始めるのが分かる。
俺は机に突っ伏して、視線を逸らすしか無かった。
天野悠真
天野悠真
俺の耳元で囁くようにそう言った。
木村颯汰
そう返すと、悠真は少し考え込むように黙った。
天野悠真
木村颯汰
木村颯汰
顔を上げると、悠真が嬉しそうに笑っていた。
顔はいいのに、性格がなぁ。
なんて、思ってしまう。
放課後、校門の前で悠真を待っていた。
天野悠真
そう言い残して教室に戻った悠真の言葉を信じて、俺は仕方なく待つことにした。
夕方の空はオレンジ色に染まり、少し肌寒い風が吹く。
俺は腕を組んで、悠真が来るのをじっと待っていた。
だが、10分経っても、20分経っても、悠真は現れない。
木村颯汰
軽く舌打ちをして、携帯を取り出す。
連絡しようか迷ったその時だった。
ふと、近くの廊下から話し声が聞こえた。
思わず振り向くとーー
そこには悠真と、見覚えのある女子がいた。
女子
女子
その声がはっきりと耳に届く。
....告白。
悠真を見つめるその女子の顔は真剣そのものだった。
一方の悠真は、どこか困ったような笑み浮かべている。
その顔は俺でも見た事のない顔だった。
天野悠真
悠真の返事は意外にもあっさりしていた。
天野悠真
そう悠真が言った瞬間、胸がドクンと大きく跳ねた。
なんでだろう。
悠真が誰かを好きだと言ったのが、こんなにも気に障るなんて。
....いや、違う。
俺はただ、待たされてイラついているだけだ。
そう言い聞かせながら、俺は目を逸らした。
廊下の方から足音が近付いてくる。
そして、俺の前に現れたのは、予想通り悠真だった。
天野悠真
天野悠真
悠真が息を切らしながら駆け寄ってくる。
その顔には少しだけ汗が浮かんでいた。
木村颯汰
天野悠真
悠真はあっさり言うけれど、その背後で女子と話していたのを見ていた俺には、その『用事』が何なのか分かっている。
木村颯汰
木村颯汰
俺は
俺は努めて冷たく返した。
悠真は気にする素振りもなく、いつものようにニコニコしている。
天野悠真
木村颯汰
俺たちは並んで歩きだした。
悠真の足取りは軽く、隣にいるだけでその明るさに気圧されそうになる。
天野悠真
木村颯汰
天野悠真
悠真のその一言に、不意をつかれた。
木村颯汰
木村颯汰
素直になれず、つい素っ気ない言葉を返してしまう。
悠真はそんな俺の態度に慣れているのか、特に気にすること無く笑っていた。
天野悠真
その笑顔に、また胸がざわつく。
やっぱりこいつは俺には理解できない。
でもーー。
木村颯汰
そんな言葉しか出てこない自分が、少し情けなかった。
ごめん!ちょっと続き書くのむずいかも🙏
3話は『雪麗』(様)の方で上がります!
フォローして待っててあげてください!
では、ばばい!
コメント
6件
ほー…これは始まってますな🤭