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阿左美慎哉(あさみしんや)は予約していたバースデーケーキを買い、家路へ向かって歩いていた
家では下の娘の誕生日のために、妻が料理の下ごしらえをしているはずだ
慎哉
たったった
?
慎哉
すれ違う直前、男とも女とも見える中性的な顔に見覚えがあった
相手は慎哉に気付かないまま、風のように走り去る
慎哉
思わず自分の目を疑った
慎哉
慎哉
慎哉
いつの間にか、手のひらからケーキボックスが落ちていた
どんなに地位や名声を得ても──
“あの人“の笑顔に勝るものなんてない
結婚し幸せな家庭を築き上げたって、心の奥底を占めているのは“あの人“だ
忘れられると思っていた──
けれど、結局“あの人“を忘れることなんてできなかった…………
──数十分前
ふたりはラウナを追跡していた
ジェラト
紅紫
ジェラト
ジェラト
ジェラト
ジェラト
紅紫
慎哉
思わず、あとを追いかけていた
“あの人“との距離がどんどん離されていく…………
慎哉
背中が小さくなり、その姿が見えなくなってしまった
慎哉
それでも足をとめるつもりはない
先まわりをするため、全力で駆け抜ける
紅紫
紅紫
紅紫
ジェラト
ラウナ
ラウナ
ラウナ
そのとき、カップルが通りかかる
幸せそうに笑うその姿にラウナは苛立ちを隠しきれなかった
ラウナ
ラウナ
刃をカップルの頭上に振り落とす
キーン
ジェラト
大鎌の柄の部分で受けとめた
カップルは気づかずに通りすぎていく
紅紫
紅紫
まばらといえ、そばには通行人がいる
紅紫
紅紫
紅紫
慎哉
慎哉
根拠なんてない、本能的にそう感じてるだけだ
慎哉
それだけが頭を占めていた
一触即発の状態が続いた
ラウナ
ジェラト
ラウナ
ラウナ
ジェラト
ジェラト
ピクッ
ラウナ
ラウナ
声には怒気が含んでいた
ピシッ
そのとき、窓ガラスにひびが入った
ピシッ
ピシッ
次々とひびが入る
女
男
ひびが入っている窓ガラスは一枚だけではなかった
すべての窓ガラスに亀裂が生じていた
紅紫
もし、すべての窓ガラスが割れ、破片となって落下してきたら……?
紅紫
紅紫
紅紫
??
紅紫
振り向くと、そこにいたのは────