ちょっと不思議で怖い話

ある日の夜

ある一人の女性がタクシーに乗り込みました

S区の14番地……

聞き馴染みのない場所で少し戸惑いました。

カーナビで調べてみると確かにS区の14番地がありました。

カーナビでは表示されていますが長年タクシードライバーをしていた私ですらその場所は知らなかったのです

とはいえカーナビは表示されているので行けなくはありません

お客様を待たせるわけにも行かないので早速その場所に向かうことにしました。

それからしばらくして…

とあるトンネルを通過していた時のことです

バックミラーを見ると何と後部座席に乗っていた女性の方が消えていたのです

しかしトンネルを通過したあとその女性は後部座席に座っていました

きっと私は疲れていたのだろう…

その時はそう思っていました

S区13番地に入った時のことです

そこまでは、普通の住宅街だったのですが

13番地を過ぎてから雰囲気が変わったように思いました。

その時になってようやく思い出したのですが………

S区には……

13番地しか無い筈なのです

しかしカーナビでは14番地が表示されています

お客さんがそう言っている以上 私は14番地を目指すことにしました

S区14番地に到着しました

そこは廃墟のような家…

というより廃墟そのものでした

その女性は何と涙を流しはじめました

車に轢かれて 死んだの

気がつくと朝になっていました……

一連の出来事は夢だと思いましたが……

場所は昨夜と同じで夢ではないと確信しました

背後に何か冷たい気配がしたので振り返ると…………

タクシーだったんですよ

表示されなくなったんです