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201号室
第1ラウンドとは打って変わって爽やかな雰囲気の部屋
そこへ半ば強制的に閉じ込められた二人
南側を向いた窓から差し込む光が二人の顔をはっきりと照らした
フェリシアーノ
フェリシアーノが扉を開けると、整えられた黒髪がなびいた
白い軍服を着た“友人”は振り返ってフェリシアーノの姿を捉えると、少し驚いたような顔をしてから寂しそうに笑った
本田菊
フェリシアーノ
本田菊
本田菊
机には第1ラウンドよりも大きく威力の強い銃が置かれている
また、ハンマーや金槌も第1ラウンドと異なり、より目立つ所に置かれている
ありふれたビルの一室のような空間で一際異質さを放っていた
本田菊
何回も開けようとしたがやはり扉は開かない
ノックしたり強めに叩いてみたり、隠し扉が無いか探してみたりもしたが全て無意味に終わった
フェリシアーノ
フェリシアーノは置かれていたハンマーを手にとり、壁を力いっぱい叩いた
本田菊
フェリシアーノ
フェリシアーノ
フェリシアーノは金槌を菊に渡した
金槌の金属部分は日に照らされ、目を刺すような光を放った
フェリシアーノ
本田菊
そう言いかけたところで菊は何かを思いついたのか、金槌を握りしめたまま窓へと向かった
本田菊
フェリシアーノ
本田菊
フェリシアーノ
フェリシアーノ
フェリシアーノ
本田菊
そう言うと菊は思い切り窓に金槌を打ち付けた
ゴンと鈍い音のした後、稲妻が走るが如く窓ガラスにヒビが入った
フェリシアーノ
今度はフェリシアーノも一緒になってハンマーを振り下ろした
するとますますヒビが入り、今にも割れそうになった
本田菊
フェリシアーノ
最後は力を込めてハンマーと金槌を窓に、力の限り叩きつけた
フェリシアーノ
ガラスは砕け散り、目の前には窓の外の世界が広がっていた
新鮮な空気が部屋の中へ一気に入ってくると、自然と頬が緩んだ
本田菊
フェリシアーノ
怖気づくこともなく飛び降りた後、二人は野原を駆けた
しかし、走っても走っても見慣れた景色とは程遠い
フェリシアーノ
本田菊
本田菊
澄んだ青空、夏らしい強い日差し、力強く生い茂る木々
その全てが二人に生と自由を強く実感させた
フェリシアーノ
本田菊
真夏に長袖の軍服を着ている二人は着実に体力が削られていった
それでもその先にある希望を想えば想うほど、そんなことはどうでも良くなってしまった
しかし、そんな簡単に街へ行くことなどできるはずがなかった
本田菊
フェリシアーノ
フェリシアーノ
走りながら恐る恐る振り向いた
するとそこには至って冷静な顔で淡々と追いかけてくる、大人数の黒ずくめの男達がいた
そのうちの一人が銃を放つと、銃弾は菊の軍服を紅く染めた
丁度死角になっていたのだろう、予想外だと言わんばかりの顔でその場に倒れ込んでしまった
フェリシアーノ
本田菊
フェリシアーノ
本田菊
フェリシアーノ
本田菊
痛む胸を押さえ、刀片手に立ち上がった
フェリシアーノ
本田菊
本田菊
本田菊
菊にはっきりとそう言われ、フェリシアーノは涙をぐっと堪えながら走った
本田菊
フェリシアーノは走り続けた
フェリシアーノ
己の体に鞭をうち、震える足で地面を力強く蹴った
後ろには数人の運営と思わしき黒ずくめの男達
それでも希望を胸に走り続けていると、ビル群のすぐそこまで来た
フェリシアーノ
フェリシアーノ
しかし、確かな違和感があった
これ以上先へ走れない
そう、目の前には透明な壁があった
フェリシアーノ
案の定すぐに追いつかれてしまい、
目が覚めたときには既に先程の部屋だった
フェリシアーノ
菊の姿はどこにもない
夢などではない、なんらかの力で戻されたようだった
フェリシアーノ
念の為扉が開くか試したが、鍵は掛かっている
フェリシアーノ
疑問に思い、もう一度ドアノブに手をかけると、今度は開いた
フェリシアーノ
フェリシアーノ
フェリシアーノは扉の前に立つスタッフの前で膝から崩れ落ちた
「どちらかが戦闘不能になるまで開かない」
そう書かれた壁紙が皮肉にも風に吹かれ、はらりと宙を舞った