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今回の登場人物︰今井小夜(主人公。書店員)、天野沙織(大学生らしき美人)、ちとせ(主人公の後輩)、その他(先輩、警察、不審者)
※第1話~第5話を見てから見ることをおすすめします
9月1日。今日もいつも通り仕事を終わらせ、帰る準備をしていた。
「小夜先輩、お疲れ様です」
「ちとせちゃん、お疲れ様〜」
ちとせは中学からの後輩で、お互いを信頼している。
「あ、そうだ。この辺で不審者が出たらしいですよ、気を付けてくださいね」
「分かった、また明日ね」
不審者と聞いて、少し前に自分と沙織をナンパしたおじさんが浮かんだが、その人ではない事を願いながら駅へ向かった。駅へ歩いていると、小腹が空いたから近くのコンビニへ寄った。入ると、沙織と会った。バイト帰りに寄ったらしい。
「天野さん、奇遇ですね」
「あら今井さん、こんばんは」
少し雑談をしていると、ちとせから言われた不審者を思い出した。
「そういえば、この辺で不審者が出たらしいですよ」
「ホントですか?先日のおじさんだったりしませんかね?」
「そうでは無いことを願いましょう」
そんな事を約5分ほど話して別れた。買い物を済ませ、また駅へ向かって歩いていると、
「ん?何あの人」
全身真っ黒で、フードを被った男を見つけた。電柱の裏に隠れているだけで、何もしてこなさそうだったため、普通に通り過ぎようと思った時、
(もしあれが不審者だったら…?)
そう考えると、横を通りたくないと思ったが、早く帰りたかったため、その横を通り過ぎた。あと少しで駅、という所で、
『待て…』
という声が聞こえた。何かと思い、後ろを振り向くと、先程の男が立っていた。小夜は怖くなって急いで駅に向かった。そして、すぐに改札を通り、ホームに向かった。
(来てないよね…?)
と周囲を見渡してもいないため、小夜は安心して、来た電車に乗った。
(はぁ、なんでこんな思いしないといけないの…)
小夜はこの事をちとせと沙織に報告しようとスマホを取り出した。文章を打っているうちに、恐怖が小夜を襲った。2人に文章を送り終わったところで、降りる駅に着いたため、安心した気持ちで降車し、改札を出て、家まで向かった。約7分後、
『おい…』
という声がしたので振り返ると、あの男がいた。小夜はびっくりして、全速力で走って家へ向かおうとしたが、男は足が早く、すぐに追いつかれてしまい、手首を掴まれた。
「やめてください!」
そう言っても、男は離さず、無言で下を向いていた。小夜は恐怖で泣きそうになった。
「なんなんですか…」
と言っても、男は変わらず下を向いて黙ったまま。小夜はちとせや沙織に助けを求めたかったが、なぜか体が動かなかった。それに、2人は女性のため、2人にも何かしたら大変だと思い、呼べなかった。
(どうしたらいいの…?)
小夜の目には涙が沢山溜まっていった。
(誰か…助けて…)
大きな声を出して助けを求めたかったが、怖くて出せなかった。そして、今まで話さなかった男がこう言った。
「こっちへ来い」
そう言い、小夜を引っ張った。小夜は恐怖と不安に襲われ、視界が涙でぼやけ、瞬きをするとこぼれるというところまで溜まった。
(いやだ…誰か助けて…)
そう思った時、
「小夜!」
「今井さん!」
「小夜先輩!」
という聞き覚えのある声がした。後ろを見ると、先輩、ちとせ、沙織が立っているのを見つけた。すると、先輩がすぐに男の手首を掴み、力ずくで離した。すると、すぐに警察も来た。小夜は安心して今まで溜まっていた涙が溢れ、先輩の腕の中で泣いた。そして、ちとせや沙織も、小夜を抱きしめた。4人は、小夜を家まで送り、先輩は安全のために泊まった。