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「にしても、13植民地はいつも通り元気そうだな」
「は?」
少し目を細めて大英帝国はのルビーのような瞳が鋭い針のようにアメリカのスカイブルーの瞳を見つめてそう言い放った。
植民地時代の、昔の弱かった頃の名前を言われて、アメリカは酷く困惑しているみたい。
本当に、言葉選びが下手くそだな。あれを翻訳してあげると、「アメリカが元気そうで俺は安心したぞ」的な事なのに。
そんな事を考えていると、コツコツと刻みの良い革靴の音が聞こえる。
炎吉が、昔の姿に、英厳の姿に戻ってる。
あれは、結構怒ってるみたいだな。炎吉が姿を変えたのを見てたのは、イングランド王国とスコットランド王国、そして奥様とヴィシー様だけ。いや、イギリスも見てたみたいだね。どうやって証拠隠滅しようなぁ。
そんな事を考えてると、英厳が大英帝国の頬に思いっ切りビンタをかましてた。痛そー。
大英帝国は呆然としてる。
「お前は馬鹿か!」
そんな事はお構い無しというように英厳は大英帝国を叱責してた。
「いつまでそんな子供のような馬鹿な頭してるつもりだ!最悪の状況を考えて行動しろとあれだけ言いつけたはずだ!まだ分からんのか!?あれだけ最悪の事態を想定して動いていたお前が、何故こんな阿呆な事をやっている!?アメリカは今ではもう覇権国だ。昔のお前と同じだな。で?さっきの言葉をなんて説明するつもりだ」
久し振りにこんなに怒ってる炎吉を、英厳を見た気がする。
「理由は?言え」
大英帝国は、自分の愛してやまない弟のイギリスの事を考えなかったのかな。いや、考えてるけど、大英帝国が生きてた時代は言ってもそれほど影響があるような言葉じゃなかった。ただ、現代はあの小さかったアメリカはもう覇権国だ。かつてのスペインやポルトガル、オランダ、大英帝国と同じ覇権国。
「あ、えっと、」
必死に言葉を選んで、言葉を紡ごうとする大英帝国には幼さが伺えた気がした。間違いを正すのもドールの、育てた者の義務だ。だから、英厳はあそこまで怒る。
「言い訳は思いついたか?」
いつもよりも低い声。ドスの効いた声。どれも自身の主の事を深く思ってる英厳の口から出た声だ。
「まぁ、まぁ、お説教はそのぐらいにしましょう。ね?英厳」
いつも通りを装ったイングランド王国が英厳に説教を辞めるように促す。
いつも通りの紳士的(笑)な笑顔を貼り付けてるけど、内心ではちょっと怖がってるみたい。まぁ、イングランド王国も英厳に怒られてたことあっただろうし、当たり前か。