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侑の愛と想いの言葉は、今まで瑠衣にあまり伝えていなかったせいなのか、まだ胸の奥から泉のように湧き上がり、止めどなく溢れていた。
「瑠衣を愛しているからこそ…………今……伝えたかった」
彼女は涙を零しながらも、じっと侑に視線を貫いたまま。
「俺も瑠衣も互いに両親を亡くし、天涯孤独の身だ。そういう事もあり、さっきは家族にならないかって言ってしまったが…………それも、瑠衣を愛しているからこそだ」
侑は手を伸ばし、瑠衣の髪に触れる。
「瑠衣がこんな状態で聞くのも酷だという事も分かっている。返事を……聞かせてくれないか?」
彼は色白の手を取り、指を絡ませながらキュッと握った。
初めて彼の唇から零れた想いと愛を聞き、瑠衣はおずおずと正直な気持ちを打ち明けた。
「私……結婚しても侑さんの子ども……産めないよ?」
「ああ、その事も承知の上だ。お前がいてくれたら……それでいい」
「私……侑さんと違って……すぐに感情を出すし、ドン引きしちゃうかもよ?」
「逆に俺はあまり感情を上手く出せない。正反対で丁度いいんじゃないか?」
侑と問答しているうちに瑠衣の視界が嬉しさのあまり滲んでいき、声も掠れて途切れとぎれになっていく。
「私……侑さんの事……好きすぎるし…………私の気持ちが……重たいって……思うかも……よ……?」
「瑠衣は今、俺の事好きすぎるって言ったが……俺を愛してないのか?」
彼が意地悪な質問返しをするが、これは態とだ。その証拠に、片側の口角を吊り上げた下衆な笑みを見せている。
「愛…………して……る……」
「俺も一人の女に、こんなに愛されるのは人生で初めてだからな。気持ちが重いっていうよりも、寧ろ嬉しいんだが」
「…………浮気したら……許さない……からっ……!」
「するワケないだろ。お前も、俺だけを見ていればいい。俺のために……生きてくれればいい」
不意に侑の唇が瑠衣の額に落とされると、彼女は涙で顔を濡らしながらも、ほんのりと頬を桜色に染めた。
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