東京都内 高速道路
高速道路の路上で人々はパニックになっていた。車は渋滞して動かず、人々は車を降り捨て逆方向に逃げ走っていた。渋滞の先では、1人の男性があの化け物と揉め合いになっていた。
「な、なんなんだよ……!こいつ!!」
男性は化け物の両手を抑えていた。すると、化け物は男性の顔に向かって口を大きく開く。男性がそれに気を取られたのもつかの間、口腔内から触手が飛び出し男性の頭を貫いた。男性は倒れ、化け物は自分から離れ逃げて行く人々を見ていた。化け物が民間人に向かって走ろうとしたその時だった。ドォン!っと低い銃声が響き渡り、化け物の片足が吹き飛んだ。化け物は腕をつき地面に伏せる。高速道路の上空には1機のヘリコプターが飛んでいた。
SAT(特殊即応急襲部隊) 警察ヘリ
1人の隊員がヘリのドアから対物ライフルを発砲していた。
「拳銃弾は効かなかったと聞いたが……さすがにこの対物弾は聴いたか……!」
隊員は対物ライフルのボルトを引く。対物ライフルから黄金色の薬莢が排出されヘリから落ちる。
化け物はすぐさま片足を再生させ再び立ち上がる。無数の眼球で警察ヘリを睨むように見つめていた。化け物は近くにあった軽自動車に近ずき軽自動車を軽々と持ち上げる。
「あいつ……何をする気だ……!」
化け物は軽自動車を思いっきり持ち上げ、信じられないほどの速度で警察ヘリに向かって投げる。
「おい!曲がれ!早くかわせ……ッ!!」
間に合わず、軽自動車は警察ヘリに当たる。ヘリは空中で爆発しヘリと軽自動車の残骸が炎を上げながら市街地に落下して行っていた。化け物は墜落する警察ヘリを見て、悪魔のような笑みを浮かべていた。
その時、化け物に向かって数台の装甲車が近ずいてくる。装甲車は化け物から5mほどの地点で停車し装甲車から何人ものSAT隊員が降りてくる。隊員は防弾シールドとサブマシンガンを構え化け物を警戒する。
「地面に伏せて投降しろ!」
化け物は首を傾げ、ゆっくりSAT隊員らに近ずいていく。
「止まれ!それ以上近ずけば発砲する!」
隊員の警告を無視し、化け物は早歩きで隊員らにさらに接近していく。
「クッ……!全員!撃ち方始め!」
隊員らはサブマシンガンを発砲する。数発の拳銃弾が命中したのにもかからわず化け物は速度を一向に落とさない。化け物は防弾シールド越しに隊員の頭を触手で貫く。
「ガッ……!」
「うわぁ!!!」
「退避!早く引け!」
次の瞬間、現場は地獄絵図と化す、逃げ惑う隊員らに化け物は問答無用で遅いかかり次々に殺害していた。その間にも、化け物は笑みを浮かべ人を殺害している。現場にいた50名ものSAT隊員が、その場で全滅した。
緊急対策本部
「警視総監……現場に急行したSAT部隊……全滅しました……」
柳内は目を見開き机を叩く。
「なんだと!?そんなバカな!!」
「これはもう我々、警察では対応しようがありません……!ここは、指揮権を都庁に移し早急に自衛隊を出すべきかと……!」
「クッ……これまでか……分かった……指揮権を東京都知事に服す。現場に向かっている警察部隊は民間人の避難誘導を最優先せよ。」