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その日は、ソビエトとの会議があった。それらしい進みは何も無く、全く無意味な時間であった。でも、正攻法外での収穫があった。
「これは、手紙?」
ソビエトが手紙をポケットから落とした。宛名にはフランスと書いていて、しっかり封蝋がされている。彼に返す義理は無いので、持ち帰って解析することにした。
「残念ながら、戦略に関することは載っていませんでした。ですが不審な検出物はありませんでしたし、罠ではないと思われます。ただ……中身が」
その捜査員は手紙をおずおずと差し出すと、仕事場に戻って行った。
「私的な手紙のようだな。それはそれで役に立つけども」
取引材料にする為という建前に好奇心を滲ませながら、既に開封された封筒から便箋を取り出した。その中はというと……。
『フランスへ
敵陣営のやつを好きになってしまったんだ。恋愛好きのお前なら、相談に乗ってくれるよな?』
推定枢軸側の誰かへの恋情が綴られた便箋を意欲のままにくしゃくしゃに握りしめ、これを利用した対ソ作戦を練り始めた。