テラーノベル
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三人で話し込んでいるうちに、いつしか外はすっかり暗くなっていた。
「あのぉ、そろそろ帰るね」
美花が帰り支度をして、ソファーから立ち上がる。
「なら美花ちゃん、家まで送るよ」
「え? いいんですか?」
「もちろん。三人でゆるゆるに立川までドライブするか。奏、行くぞ?」
怜が車のキーを掴み、玄関に向かうと、奏と美花も後に続く。
「お二方、ありがとうございます。お邪魔しました」
美花が軽くお辞儀をして玄関を出る。
エレベーターに乗り、怜の愛車、白いセダンが駐車してある地下駐車場まで向かった。
怜が、裏道や空いている道路を走行したお陰で、白いセダンは、約三十分ほどで美花の自宅に到着。
「かなチー、れいチェル、今日はありがとうございました」
「いいえ、どういたしまして」
「美花、こちらこそ、素敵な結婚祝いをありがとう!」
二人に柔和な笑みを向けられた美花だけど、不意に怜が、何かに勘付いたように、眼差しを遠くに向けた。
「ってか今思い出したけどさ、アイツの自宅マンションって、美花ちゃん家の近所なんだよな」
「え? って事はお兄さん、駅周辺に住んでいるって事?」
「ああ」
「マジですかっ……」
怜と奏の会話を聞きながら、美花は言葉を呑み込む。
(課長クラスの人が、立川駅周辺のマンションで一人暮らし? って事は、おにーさんは、実は相当すごい人って事なの……?)
思い返すと、美花は、圭がハヤマのDTM事業部の課長であり、怜と双子の兄弟以外の事は、ほぼ知らない。
この日、奏と怜に会って、圭の為人を少しだけ知れたようなもの。
「じゃあ、俺たちはそろそろ行くよ。美花ちゃん、改めてお祝いありがとう」
「じゃあね美花! また会おうね」
「お二人とも、ありがとうございましたっ。帰り、気をつけて」
美花は後部座席から降り立ち、白いセダンに乗っている二人に、小さく手を振る。
緩やかに走り出した車が見えなくなるまで、彼女は微笑みながら見送った。
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