fw「姫、今日もありがとう。」
mob「こちらこそありがとう!」
mob「すごく楽しかった!!!」
fw「さぁ、入り口まで送るよ。」
fw「ほら、手を取って?姫。」
mob「うん////」
俺は日々こうして姫と話して最高の時間を提供する仕事をしている。
今日も姫を相手に「かっこいい不破湊」をして満足してもらう。
姫を入口まで送ると
mob「あ、あのね。不破くん///」
mob「LINE、、繋がない?」
mob「私もっと、不破くんとお話ししたいのっ!」
fw「ごめんね姫、それはできない。」
mob「なんで?」
fw「姫とはもっとお話ししたいよ。」
mob「じゃぁ!」
fw「でも、俺は姫に姫の時間をもっと大切にしてほしいな。」
mob「不破くん、、、」
mob「わかった! ありがとう!!」
mob「また来るね!」
fw「うん、いつでもまってるよ。」
そうして姫は帰っていった。
そんな日々を過ごしていると、ある日の「言葉」が脳裏をよぎる。
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少し前、お家まで送迎コースを選んでくれた姫に休憩中に喫煙していた俺を見られてしまったときに、
mob「不破くんはたばこなんてしないわよ!!!」
mob「キラキラしてて、かっこいいのが「不破くん」だもの!!」
と言われた。
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あの言葉を言われた日から今日この時までその言葉を忘れたことがなかった。
かっこいいから不破湊なのか?
かっこよくないと不破湊じゃないのか?
そんな理屈ぶった疑問がもやもやと脳裏をめぐる。
そんな日々に何時しか俺は「自分を見失っていた」。
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いつも通り、キラキラしたスーツを着て、ピアスをつかっこいいけて、髪をセットした「かっこいい不破湊」で姫を接客していると、
mob「不破くん、最近「らしくないよ」?」
fw「ん〜?」
mob「どこか抜けちゃったみたい。」
fw「そうかな。」
mob「うん、いつもの「かっこいい」不破くんでいてほしいな!!」
fw「姫に応えられるよう頑張るね。」
mob「うん!!」
あれから数時間たち、家に帰り配信をする。
配信の時は「面白い不破湊」で場を盛り上げる。
fw「だからこれはこうで〜www」
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配信も終わり寝ようと思ったとき、
「先輩って配信の時とオフの時と、雰囲気違いますね。」
という言葉が脳裏をよぎる。
もうわからない。
「かっこいい=不破湊」なのか。「面白い=不破湊」なのか。
もう本当の自分なんかなくて、あるのは「偽りの不破湊」。
そんな自分に嫌気がさす。
fw「、、、、いっそのこと死んでしまおうかなぁ」
そんな弱音が出た。
そうだ、死んでしまえば全て終わる。
からっぽの自分を消してしまえばいつまでも俺はみんなの「理想の不破湊」でいられる。
そうと決まれば行動は早かった。
長めの包丁と睡眠薬、そして「ばいばい」の4文字だけ記された白い紙。
最後の挨拶に、とにじさんじのディスコードサーバーのチャットに
「今までありがとうございました。さようなら。」
と書いて準備完了。
チャットは
「意味わかんない」
「ふわっち!?」
「え?なに? 企画???」
「今どこにいるの」
「大丈夫?」
「へんじして」
など俺にはもったいないほどのコメントが溢れていた。
睡眠薬をありったけ飲み込んで包丁を持つ。
薬が効いてきたな、と思ったところで、
「ざくり」。
首に深く深く包丁を押し当てて勢いよく引く。
モニターやスマホ、服やデスク、、、いろんなところに 「赤」がつく。
痛くはない。睡眠薬が効いているからだろう。
瞼が重くなってきた。
「ぴんぽーん」、インターホンが鳴る。
あらかたライバーが心配してきてくれたのだろう。
「ふわっち~!!!」
外から俺を呼ぶ声が聞こえる。
瞼を閉じながら俺は
fw「ばいばい、みんな。」
と囁き瞼を閉じた。
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No side
「がちゃ」。不破湊の家のドアが開くと数人の男性が家に上がり不破湊を探す。
数秒後、茶髪でキリっとした顔立ちのスーツの男性が不破湊を見つけた。
kgm「不破、、さ、ん、、、??」
茶髪の男性の次にブルーのインナーカラーの男性が不破湊を見て後ろにいた赤メッシュの男性の目をふさいだ。
myzm「明那は見ちゃダメ。」
segs「何!?何があんの!??」
myzm「加賀美さん、、、」
kgm「救急車お願いします、、、。」
myzm「、、。」
茶髪の男性は不破湊を自身のスーツで覆い、ブルーのインナーカラーの男性はスマホで救急車を呼んだ。
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コメント
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初コメ失礼致します。 めっちゃ好きなお話の系統です!