テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
少し距離を取るだけで、世界の見え方は変わる。
劇的じゃない。
でも、確実に変わる。
琉叶は、前よりも考える時間が増えた。
洸のこと。
自分のこと。
この気持ちの正体。
「好き」って何なんだろう。
一緒に話したい気持ち。
近くにいたい気持ち。
触れたいわけでもない。
付き合いたいって言葉も、正直よくわからない。
ただ、特別だった。
それだけ。
琉叶は気づいた。
感情を持つこと。
期待すること。
傷つくこと。
それが、怖かった。
でも、好きになってしまった。
それだけの話。
洸は、何もしていない。
期待したのは、自分。
意味を作ったのも、自分。
苦しくなったのも、自分。
その事実を、少しずつ受け入れ始めていた。
――誰も悪くない。
――私の気持ちの問題。
そう思えるようになっただけで、心が少し軽くなった。
完全に消えたわけじゃない。
好きは、まだある。
でも、それに振り回される感覚が減っていた。
琉叶は、窓の外を見ながら思った。
――好きでもいい。
――でも、縛られなくていい。
――私は、私の人生を生きていい。
それが、心の整理の始まりだった。