テラーノベル
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距離を取って、
期待を手放して、
考えすぎないようにしても、
消えないものは、消えない。
感情って、「やめよう」って決めてやめられるものじゃなかった。
琉叶は、前より楽になっていた。
でも、前より無関心になれたわけじゃない。
廊下ですれ違うとき、心臓が少しだけ速くなる。
名前を呼ばれると、一瞬だけ、息が詰まる。
その「一瞬」が、まだ好きだって証拠だった。
でも、もう前みたいに、期待しなかった。
「今日返事来るかも」とか、
「何か変わるかも」とか、
そういう希望は、静かに消えていた。
――来ないものは、来ない。
――起きないことは、起きない。
それを、ちゃんと理解していた。
それでも、好きは、そこに残っていた。
琉叶は思った。
――消えなくてもいい。
――無くならなくてもいい。
――ただ、人生の中心に置かなければいい。
好きって感情を、人生の中心から、少しだけ横にずらす。
それだけで、息がしやすくなった。
学校帰り、夕方の空を見ながら、琉叶は小さく笑った。
――私、ちゃんと成長してるかも。
悲しみ方も、
受け止め方も、
前より、少し大人になっていた。
答えはもらえなかった。
関係も変わらなかった。
現実は、何も変わっていない。
でも、自分だけは、変わっていた。
それだけで、この恋は、意味があった気がした。
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