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#衝撃のラスト
山根利広
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2人は自分達の家に向かった。荷物もほとんど運ばれて荷解きもしなくてはいけない。
「今日もらった仕事が終わったら片付けるか」
「虹雨、いつものお前の親衛隊の幽霊達に手伝ってもらわないのか」
虹雨は惚けた顔をした。
「いや、頼まんかったし東京《あっち》の方が居心地いいってさ」
「うわー、簡単に捨てた。こきつかって捨てた。最悪やー、この男」
「捨てとらんって……って……」
虹雨は何か異変に気づいた。それは由貴もだった。
「まさか……」
2人はネット内見でしか見たことがなかった台所に向かった。
「よっす」
台所には時代はずれのギャルファッションをした女が料理を作っていた。中華料理と卵料理が得意な美佳子という幽霊。
前、虹雨がルームロンダリングしていたときにもいた、と由貴は思い出した。
「お前はついてきたんや……」
「うん、そうだね。だって好きな男のためならどこでも飛んでいくわよ。……あ、今から引っ越し祝いのチャーハンと餃子とワカメスープこしらえるから待っててね」
ほとんど押し切る形で美佳子は料理を作っていく。15年前に死んだ幽霊だが成仏はせず、彼女の除霊依頼を受け持った虹雨に一目惚れしてしまったのだ。
「ここに越したとか言っとらんかったのにようわかったな……」
「幽霊界のネットワークをなめるなよ」
由貴はあの時のビルにいた幽霊の女の子も言っていた「こっちの巷では」のネットワークなのだろうか。
「はい、おまち!!!」
と、あっという間にチャーハン、餃子、卵スープが用意される。
「道具と材料さえ置いてくれたら作っておくから。あなた達は除霊作業に集中集中!」
「それは助かるけど……」
と由貴が、狼狽えている横で虹雨は食べ始めている。
「さっさと食べろ、由貴」
「彼女は知ってるん、僕らが何してるか」
「伝えた。したらばご飯用意してあげるから除霊だけはしないでーって」
由貴は冷めた目で見てる。多分他の幽霊達にもそう懇願されていいように使っているんだな、と。
「にしてもめっちゃうまいし」
「中華料理屋の娘だから。和、洋もできるけどリクエストしてね」
美佳子はニコニコと2人を見ている。由貴の頭の中では中華料理しか思い浮かばなくなってしまった。
「……ありがとう、また考えておきます」
「じゃあまた呼んでね」
と美佳子は消えていった。台所に行くと調理したあと片付けられていない。
「片付けはセルフ、一応冷蔵庫に食べたいものの材料を入れておく。あと彼女の実家の養鶏場の卵も仕入れて置くのも必須」
「あっ」
「なんや、おっきな声出して」
由貴は卵のパッケージを指差した。
「この卵、めっちゃネットで有名で……美味いって。でもかなり高いやつやん。これ必ず仕入れておくの?」
「うん……まぁ経費で落とすけどな」
2人はご飯を食べ終えてある程度部屋を片付けるかと始める。そこまで2人は荷物は多い方でもないが由貴が撮影や動画編集のための機材や机や椅子が欲しいと言い出し虹雨が立て替えて購入しそれも届いていた。
部屋は平屋建てで2LDK。一応曰く付きではない、事故物件ではない。
「ネット内見では大丈夫だとか言ってたけど、もしかしたらルームロンダリングで記載がない場合もあるかもな……」
「物騒なこと言うなよ、由貴」
「ネット越しでは見えないこともあるしな」
由貴の目はまっすぐ何かを見ていた。虹雨は嫌な予感しかなかった。
「美佳子も簡単にここにきちまったし、由貴は引きつけやすいし……まさか」
虹雨がゆっくり後ろを見る。
「なんで」
当たりであった。見知らぬ男女2人が壁にもたれかかっていた。
「おかしい、さっきまでいなかったし……ネットサイトの事故物件にはここは炎上しとらんかったのに。やっぱ由貴、お前連れてきたんか」
「そう言うことになるんでしょう、死んだのがここじゃないところで……日中は多分死んだ所で2人して立ってるんやろな」
「まぁ良くあるパターンだが……そうだったら前の住人が死亡のためとかなるはずだが」
虹雨は男女2人の前に立った。2人は虹雨を見るなり会釈をする。2人の間に少し距離がある。
「なんでここに来た。何か言いたいことでもあるのか、伝えたいことでもあるのか」
「はじまった、虹雨先生の除霊タイム」
由貴はカメラを取り出して撮影を始めた。こういうことになるとテンションが上がる由貴。
「今はスエットやけどな」
「だったら着替えるか」
「まぁええわ。めんどくさい。サクッと除霊して今日はもう寝たいんや」
「僕はこの後編集作業残ってるんですけども」
「……はいはい、じゃあお二人さん。まずは自己紹介してや」
2人の男女は黙っている。なぜ黙っているのだろうか、由貴はごくりと唾を飲み込む。
「そか、話したくないんか……それに2人は恋人って感じやないな」
そう言うと2人はぎくっと反応した。虹雨はニヤッとする。
「ただのカップルやないな。曰く付きの……うーん、体の関係はない」
「なんでわかるんだ」
男の方が声を出した。女よりも若い。まだ20代前半、女性は30代後半。
「……互いの距離、彼女の方は少し怯えている。かといって誘拐犯とかではない」
「彼は、ミツオ君は誘拐犯ではないです」
女も声を出した。彼女の薬指には指輪がある。
「……俺が話すよ。ナナさん」
男、ミツオが語り出した。
コメント
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読了しました!第二話、めちゃくちゃ良かったです。美佳子が押し切って料理を作る流れ、好きだなあ。「中華料理しか思い浮かばなくなった」って由貴の心境、すごく共感しました(笑)。そしてラストの男女の幽霊…距離感の描写で「体の関係はない」と見抜く虹雨の鋭さ、痺れました。由貴がカメラを構えてテンション上がるところも、編集者としては「仕事モードのスイッチ」の切り替え方がリアルで好きです。続きが気になります!