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Rは…なしだ。許してくれ。
短編小説(人気だったら長編になります。
カチカチカチ…
人に似た彼を修復する。
時は2XXX年。廃れたアンドロイド技術を治す者たちを細工師と呼ばれる。
細工師は所謂時代遅れとして言われていて数も少ない。
そんな中、好奇心旺盛なぺいんとは数少ない細工師の一人だった。
彼が治しているのはR1111-dと言う廃れた機械だ。
ぺいんと「…もう少しだからねらっだぁ」
ぺいんとは幸運なのか不運なのか機械の扱いは上手かった。R1111-dがここまで長く稼働できているのは彼の献身的な手入れと技術だ。
らっだぁ(R1111-d「…こんなに器用なら普通に働いたほうが良かったんじゃ」
ウェストナレッジに価値はない。新たな時代のために手先が器用で容量がいい人が良い。これが新時代の考え方だ。
【ウェストナレッジ】は廃れた文明を意味する
直訳は無駄な知識。または知恵とも言われその文明はもう誰も受け継いでいない。
ぺいんと「いいんだよ。別に。それに!コレを無駄な知恵って言ってる事自体僕は納得してないしね」
そう言いながら優しく笑う。
らっだぁ「…なら良いんだけどね。」
この社会は変わってきている。器用な人ほど有能で、勉強や運動は義務化じゃなくなった。それは全て無数のアンドロイドのおかげだ。
ぺいんと「…僕は僕以外の人間を見た事がないんだ。」
直す手を止め俯く。
少子化。それにより人は減り続けている。
そこでとった行動こそがアンドロイドで不自由のない暮らしをお届けすると言う物だ。
らっだぁ「…不自由の無い暮らしはいい事なんじゃないの」
その言葉に首を振る。
ぺいんと「コミニケーションが無いんだ。だからネットを見ても、食事をしても物足りないんだよ」
最低限の会話。それはぺいんとの人生をつまらなくさせた。
ぺいんと「…だからこう言うアンドロイドも良いかなぁーって」
人と同じように喋り会話できる。性格も変えれるが自分は優しくて真面目なアンドロイドよりも少し面白くて不真面目な性格にした。
自分もその性格だし、冗談を言い合える仲の方が楽しいからだ。
らっだぁ「…ぺんちゃん。」
ぺいんとの別の呼び方だ。設定した覚えはないがいつの間にかぺんちゃんと呼ぶようになっていた。
らっだぁ「もし。もしだけど、俺がもっと昔の世界の記憶があるって言ったらどうする?」
昔。それは人と人が触れ合い、今のように話し相手が絶えずに居た時代。
歴史を学んで過去を振り返り、人が同じ過ちを起こさないように歴史を勉強する。
ぺいんと「…信じるよ。俺もその世界が好きだから」
ゆっくりと微笑む。この空間が好きだ。
カチカチ…
だからまた壊れたパーツと心臓部分を手入れする。壊れたらまた独りになるから。
孤独の中でぺいんとはらっだぁを修理する。そしたららっだぁと気兼ねなく話せる。
だって散髪屋さんで一時間も無言だったら気まずいから。そんな言い訳をして彼と話す
それが彼の幸せなのだから。
らっだぁ「…あざます。」
らっだぁは彼無しではもう生きられない。分かっていた。心臓部分がもう長くは持たない。
一瞬自分はもう長くは持たないから。と投げやりになった事があった。だけどぺいんとの事を考えると自分をここに居ないと駄目だからと思えてくる。
ここが最後の居場所だから。
俺は生きる為に彼の時間を奪って過ごす。
少しでも楽しかったと言ってもらえるように。