テラーノベル
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「それでは、お席にご案内します。どうぞ」
女性店員の後についていき、案内されたのは、カフェの一番奥にある窓際のテーブル席。
三人は腰を下ろし、メニューを広げた。
「俺はロコモコのランチセットで。本橋さんと浦野さんは?」
「私は、和風パスタのランチセットでお願いします」
奈美がパタンとメニューを閉じて、女性店員にニッコリと笑みを映し出す。
「じゃあ私も、なみプ…………あ、本橋さんと同じでお願いしますっ」
美花がメニューをスタンドに立て掛けながら答える。
「かしこまりました。少々お待ち下さいませ」
女性店員がその場を離れようとした時、谷岡が引き留めた。
「仕事中に悪い。今、この二人に報告しても……いいかな?」
「もっ……もちろん」
谷岡が女性店員に向けている表情が穏やかで、美花は初めて見る上司の一面に、瞳を僅かに見開かせた。
「俺…………彼女、相沢 恵菜さんと……結婚するんだ」
顔を紅潮させながらも、谷岡は、恵菜と呼ばれた女性に柔和な眼差しを向け、奈美と美花に報告する。
「うわぁ…………所長、恵菜、おめでとうございますっ!」
「おおぉ……おめでとうございますっ……」
奈美は、恵菜という女性と友人なのか、呼び捨てで気さくに声を掛けると、美花も、慌ててお祝いの言葉を贈る。
「あっ……ありがとうございます。今後とも、よろしくお願いします」
「恵菜、仕事中にゴメンな」
谷岡が両手を合わせて、おどけたように目尻を下げる。
「いえ、大丈夫です。では、少々お待ち下さい」
恵菜が三人に軽く会釈をして、厨房へ向かっていくと、その姿を見つめ続けている上司。
奈美は、唇を引き結びながら、アーモンドアイを細めていた。
コメント
1件
いい話は嬉しいですね😊