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12月

師走は、毎年バタバタする。

年末の大掃除に、新年を迎える準備。

今年は、喪中だから特に新年を迎える準備は、必要ないが、変わらず、年越し蕎麦を食べるし、 お正月の食事も必要。

そして、喪中ハガキなど、急いで11月に準備をして出した。


そして、コロナ禍で、洋平の忘年会や新年会は、 しばらく中止になっていたが、縮小されたものの又、復活した。

会社全体が集まるようなクリスマス会は、なくなり、 部内だけの忘年会が行われたようだ。

去年は、課だけ。少しずつ戻って来たようだ。


部内だったり、課内だったり、取引先の人だったり、 以前のように飲み会が増えてきた。


週末は、毎週のように、酔っ払って帰って来る。

「美優ちゃ〜ん、ただいま〜」

「はいはい」


酔うと声が大きくなる。

「ここちゃん、寝てるから静かにして!」

「は〜い、分かりました〜」


その返事も大きく、ムカつく!美優。


これが、家に居る主婦と、会社員のギャップか…

と、まだ、産休中だが、会社員じゃなくなったようで、洋平とのギャップが生じた。


以前ならそのまま、頑張ってお風呂でシャワーを浴びさせたが…

危険だし、重いし、とても無理だ。

服を着替えさせ、布団まで連れて行くのが、やっとだ…

本当は、放っておいても良かったのだが、

風邪でもひいて、ここちゃんに遷されたら、

厄介だから、とりあえず、和室に敷いた布団に寝かせた。


呑んで帰って来ると、お酒臭いし、イビキが煩くて眠れない。

とりあえず、帰って来てくれたから良かった。

あとは、知らない!

布団に寝かせたら、美優も隣りの寝室で、ここちゃんとゆっくり眠れる。


やっぱり、洋平もただの《《オジサン》》!

と、ガッカリする日だ。



翌朝、決まって言う。

「美優、ごめ〜ん、昨日どうやって帰って来たか、あんまり覚えてない。」


「あら、そう〜!」


『怖いなぁ、美優…』


「タクシーで帰って来たみたいよ。

酔っ払って帰って来たら、いつも声が大きいのよね〜ここちゃん寝てるんだから…」

「あ、ごめん」


「それに、お酒臭いし、イビキも煩い!」

「あ、だから和室?」


「そうよ!着替えさせるの大変なんだから…」

「すいません…」


「シャワー、浴びてね!お風呂なんて、危なくて入れられないから!」

「はい、入って来ま〜す」


コロナ禍の時の方が、洋平はウチに居て、労ってくれた。妊娠中だったこともあり、杉野家にとっては、良かったのに、今は、毎週、美優は、イライラするだけだ!


美優は、洋平を『ただのオジサン!』と思ってしまい、洋平は、美優を『やっぱり怖い美優になっちゃった』と、思っている。


朝ご飯の用意をしている。

洋平は、やや二日酔いのようで、食欲がないようだ。

「ここちゃん、ご飯食べようね〜」と、心美のご飯を用意しようとして…

「ううっ…」気持ち悪くなる美優…



「え?ウソ!」

しばらく、ボーっと考える美優。


『あ!』


「美優、大丈夫?」

「大丈夫じゃない!」


「ごめん、俺が酒臭いせいかなぁ〜」

トンチンカンなことを言う洋平に、またイラッ!


「そんなはずないじゃない!」

ジーっと洋平を見つめる

「ん?」


「鈍感!」

美優は、涙目になりながら、

ジーっと洋平を見つめている


「え?美優、大丈夫?」

「バカ…」


「え?」二日酔いで、頭が回らない洋平

「そんなんじゃ、子ども2人も見れないじゃない!」


「え!美優?」

「|悪阻《つわり》だよ、きっと…」


「え、え、えー!美優〜」と、

慌てて美優を抱きしめる洋平

「ごめん、ホントに?」


「たぶんね…」

「やったー!美優〜!」


「酔っ払ってる場合じゃないよ!」

「ごめん、ホントにごめん。あー嬉しい♡」


「キスしたい!」

「イヤ!無理!お酒臭い!吐く…」


「だよね…ごめん、我慢する。うわー!嬉しい〜」

と、またぎゅーと抱きしめる。


「そりゃあ、あれだけ《《専念》》してたら、出来るわよね〜」

「そう?♡」


「もう、何ニヤけてるのよ!週末のお酒、控えてくれないかなあ?付き合いなのは、分かるけど…」

「うん、そうだね。ちょっとセーブするよ。美優大変だし…」


「うん、助かる。」

『これ以上、酔っ払ってる洋平を見たら、イライラしすぎて、嫌いになるところだった。』


「大丈夫?」

「ここちゃんに、ご飯を…」


「うん、分かった!俺が食べさせる。」

少し、ソファーに座って休む美優。


「今日は、俺、休みだし、家事するから…」

「ありがとう。」


『良かった、もうこれ以上ストレスが溜まるようなら実家へ帰ろうかと思っていた。』



どんどん、イライラが溜まっていたのは、

このせいだったんだと、美優は思った。


毎週末に飲み会だったから、

洋平も申し訳なく思いながらも、

行けば、また酔っ払って帰って来るし、

美優は、家に居て、妊婦だとは気づかずにイライラ。


最近、きちんと、夫婦の会話が出来ていなかった!


「洋平!」

「ん?」


「ごめんね、最近イライラして…」

「ううん、俺こそ毎週毎週 飲み会で…全然美優の カラダのこと気づいてなかった。ごめん。」


「ううん、しばらく夫婦の会話、出来てなかったから…お互いが少しずつ避けてたみたいで…」

「そんなつもりは、なかったのに、やっぱり、俺も飲み会ばかりで気が引けてたし…ごめんな」


「ううん、もっと、ちゃんと会話しないとね…」

「そうだね。ここちゃんがお昼寝したら、ちゃんと会話しよう!」


「うん。」

「美優、何か食べられる?」


「ううん、食欲ない。今は、いい…」

「分かった。あとで何か食べ易い物、買って来るよ。

「うん、ありがとう。」


そう言って、洋平はここちゃんにご飯を食べさせた。

美優は、眠気からかソファーでウトウト

「美優、風邪ひくから寝室で休んだら?」

「あ、うん。先にシャワー浴びて来て!ここちゃん、起きてるし…」


「分かった。」

洋平は、シャワーを浴びる。

「美優、少し休んで来たら?」


「うん、そうする。ありがとう。」

やはり、少し気分が悪く、眠気が強いので休むことに…


洋平は、ここちゃんを見ながら、洗濯物を干す。

「ここちゃん、ママが食べられる物、買いに行こうか?」と、抱っこ紐をして、お散歩がてら買い物へ

スーパーに行って、ゼリーや果物、きゅうり、ミニトマトを買う。心美の時に美優が食べたがった物。

そして、ピンクグレープフルーツ。


「あ、売ってる!良かった。ここちゃん、ママこれを食べてたんだよ。」

心美は、分からないが、ニコニコしている。

売っていなければ、またコンビニで冷凍の果肉を買おうと思っていた。


「さあ、帰ろうか…」

少し寒くなって来たが、お天気が良く心美は、

眠くなって来たようだ。お昼寝タイム。

帰ってそのまま、布団で寝かせよう。


そーっと帰る。

美優もまだ眠っているようだ。

心美を和室の布団に寝かせて、寝室で眠る美優を見守る。



「あ、ごめん、ずっと寝てた?」と、美優が起きた。

「大丈夫だよ、気分はどう?」


「うん、寝られたからラクになった。」

「ゼリーとか果物買って来たけど、食べられる?」


「うん、ありがとう。お腹は空いてるんだけど…どうかなあ?」

「ピングレ売ってたよ。食べる?」


「ホント?嬉しい〜食べてみる。ここちゃんは?」

「隣りで寝てるよ。」

「そっか、ありがとう。」

美優を起こして、リビングへ一緒に行く


「何が食べたいのか、分からなかったから、きゅうりとミニトマトも買って来たよ」

「ふふ、ありがとう。まだ、赤ちゃんがコレを食べたい!っていうのは、ないみたい。」


「そっかあー」

「ピングレもらうね」


「うん」

洋平が嬉しそうに半分に切ってくれたから、半分ずつ食べた。

「う〜ん、美味しい、やっぱり食べやすい。」

「良かった、美味しいね。」

「うん」


「洋平、ありがとう」

「ううん、ごめんな美優」


「ん?」

「妊娠してるのも気づかずに、ずっと、飲みに行ってて…」


「ううん、私も気づかなかったんだし…飲み会は、 付き合いもあるのは、分かるけど、なんだかイライラしたり、悲しくなったり、感情が不安定だなぁとは思ってて…

最近、洋平とあんまり話してなかったからかなぁって、思って…」

「そうだな、会話する時間も作らなくて、ごめんな」


「ううん、もっと話そう」

「うん、改めて話そう!って言ったら、何を話せば…って感じだけど…」


「ふふ」

「あ、美優!念のため、検査薬買って来たけど…」


「あ、そうなんだ、ありがとう。まだ、早いかもしれないけど、やってみる。」

「うん」


そう言ってトイレへ


美優がトイレから出て来るまで、やっぱりドキドキする。

しばらくして、出て来た。


「どう?」

「まだ、結果出てないよ。もう少し…」


ジーっと見てると…

「ん?これは…」と、洋平

「うん、そうだね、やっぱり…」


「出来た?」

「うん」


「あー良かった〜やっぱり、そうか…美優〜」と、

また抱きしめる洋平


「良かった?もう出来ても…」

「もちろんだよ、俺はずっと欲しかったから…」


「うん。そうだね、でも、大変になるよ。ここちゃん、まだ、2歳前で生まれちゃうから…」

「うん、俺も色々家事する!育児もする!」


「良かった。《《手伝う》》って言われたら、腹が立ってたかも…家事も育児も私だけの役割?って…」


「だよな、家族の生活だし、2人の子どもだし…

でも、美優、あんまり頑張り過ぎないで、シンドイ時はお母さんも、ウチの母も頼ろうよ。」

「うん、そうだね。大変だったらそうする。」


「家政婦さんやベビーシッターさんに頼ってもいいし…」

「ううん、働いてたらお願いしたかもしれないけど、家に居るから逆に他人に来てもらうのは、ちょっと…」


「そっか、分かった。その時その時で、考えよ。何か大変なことがあったらちゃんと、相談してよ!」

「うん、分かった。ね〜洋平!」

「ん?」


「この子、お爺ちゃんの生まれ変わりかなぁ?」

「あーそうかもな〜」

「元気に生まれて来てね」


「美優!キスしてもいい?」

「ふふ、うん」

優しく唇を重ねた


「あんまりしたら、また、オェって言われてショックだし…」

「ふふ、悪阻だから仕方ないじゃない!しかも、まだお酒の匂いが…」

「あ、ごめんね。」


それからというもの、飲み会があっても、洋平は、 ノンアルコールにして、早く帰って来てくれるようになった。


「ノンアルで大丈夫なの?泥酔しなければ、1杯ぐらい呑んでもいいのに…」

「いいの、1杯呑んだらもっと呑みたくなるし…お酒臭い!ってチューしてくれないし…」


「ふふ、だって、ホントだもん。」

「だから、飲まない!生まれるまでは…」

「え?そうなの?無理しないでね。」

「うん」

でも、おウチに居る時は、飲ませてあげようと思った美優。

お互いを思う気持ちが大切。

少しずつ、少しずつ美優の気持ちも落ち着き、

夫婦関係も修復。

また、ニコニコしてる美優を見るとホッとする洋平。

『やっぱり美優が大好きだ♡』




【完結】恋は楽しく、結婚は慎ましく②

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