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保谷東
美花が二十歳の頃、初めて彼ができた。
相手は、高校時代の同級生で、三年間同じクラスだった男。
クラス会で再会した二人は意気投合し、交際がスタートした。
彼と彼女の関係になって三ヶ月後。
男は、深い関係になりたい、と持ち掛けてきたけど、美花は、自分の病気を伏せたまま、やんわりと断り続けた。
『ゴメンね。私、セックスするのが…………怖くて……』
申し訳ない気持ちで答える美花。
『大丈夫だよ。美花の気持ちを尊重するよ』
男は優しく微笑み、美花の頭をそっと撫でると、二人はその後もプラトニックな関係を継続させた。
交際から半年経った頃、男は、再び美花と男女の関係になりたい、と告げてきた。
『ゴメン…………やっぱり……怖くて…………』
『なぁ美花。何が怖いの? 俺って、そんなに信用できない?』
『…………』
あっさり引き下がるかと思っていた美花だったけど、二度も断られた男は、さすがに食い下がってきた。
彼に問い詰められ、返す言葉もなく、閉口したまま自分の病気の事を彼に伝えようか、と悩む彼女。
男とは高校三年間、同じクラスメイトだったし、気心も多少は知れている。
(彼なら、自分の病気の事を、受け入れてくれるかもしれない……)
美花はまつ毛を伏せ、大きく息を吐き出した後、腹を括るように顔を上げると、男に真っ直ぐな眼差しを向けた。
『実は、私…………』
彼女は、彼に、自分の病気の事を打ち明けた。
話しながら、男の顔色を伺う美花は、視界が歪むのを感じていたけど、それでも何とか全てを伝え切る。
(彼…………私の事を聞いて…………どう思うのかな……)
美花の不安な思いを聞いた男は、やがて静かに笑みを映し出す。
けれど、目を細めた彼の唇から零れた言葉は、彼女にとって、残酷極まりないものだった。
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