そして金曜日の今日。どきどきしながら終業まであと10分。残業はきょうはせずにすみそうだ。
昨日の地獄の会議のことをなんとか振り払いたくて仕事をガツガツとこなした。時間が溶けるように過ぎて行くがこの方が余計なことを考えずに済む。
週末サブスクが始まる……。荷物は会社の最寄り駅のロッカーに置いてきた。荷物を持って、それから永井くんのマンションへ行こう。そう考えただけで顔が熱くなる。
「藤原さん! ごめん、カタログチェックお願いできる?」
総務の人に声をかけられて、ビクッと肩を震わせる。
「はい、大丈夫、で、すけど」
「よかったー!! 明日までによろしく!」
「えええっ!? あ、明日!?」
それは自分が担当した商品のカタログチェックの依頼だった。ミスがあって第一稿の仕上がりが遅くなったらしい。大きな展示会用の商品なので、とにかく早く印刷をかけたいとのこと。
締切は明日の12時。これは残業確定だ。しかも明日は土曜日。休日出勤になるなんて久しぶり。どすんと肩が重くなる。
定時になり、周りがどんどん帰っていくのを横目に、カタログをチェックしていく。細かいところが気になり始めて、なかなか進まない。
確認したいことがあり、資料室に向かった。
一つ上の階の、一番奥にある資料室。もうこのフロアの人はほとんどが帰宅したのだろうか。人気もなく静かだ。
資料室のドアを開けると、前にここで伊吹にキスをされたことを嫌でも思い出す。
ぶんぶんと頭を振り、電気をつけて以前の資料を探し始めた。
たしかこの辺に……。ファイルを手に取ってめくっていると、ガチャッとドアが開く音がして、顔を上げた。
「花音?」
その少し低い声に、胸がどきんとひとつ鳴る。名前で呼ばれると、土曜日に熱く抱かれたことを、身体がじわっと思い出す。
「な、永井くん? どうかした?」
私は棚の横から顔だけ出して、声をかけた。
そして金曜日の今日。どきどきしながら終業まであと10分。残業はきょうはせずにすみそうだ。
昨日の地獄の会議のことをなんとか振り払いたくて仕事をガツガツとこなした。時間が溶けるように過ぎて行くがこの方が余計なことを考えずに済む。
週末サブスクが始まる……。荷物は会社の最寄り駅のロッカーに置いてきた。荷物を持って、それから永井くんのマンションへ行こう。そう考えただけで顔が熱くなる。
「藤原さん! ごめん、カタログチェックお願いできる?」
総務の人に声をかけられて、ビクッと肩を震わせる。
「はい、大丈夫、で、すけど」
「よかったー!! 明日までによろしく!」
「えええっ!? あ、明日!?」
それは自分が担当した商品のカタログチェックの依頼だった。ミスがあって第一稿の仕上がりが遅くなったらしい。大きな展示会用の商品なので、とにかく早く印刷をかけたいとのこと。
締切は明日の12時。これは残業確定だ。しかも明日は土曜日。休日出勤になるなんて久しぶり。どすんと肩が重くなる。
定時になり、周りがどんどん帰っていくのを横目に、カタログをチェックしていく。細かいところが気になり始めて、なかなか進まない。
確認したいことがあり、資料室に向かった。
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