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深夜のリビング。テーブルに参考書とノートを広げ、阿部亮平は明日のクイズ番組の予習に没頭していた。
シャープペンシルの走る音だけが、静かな部屋に響く。
その背中に、とろりとした重みがのしかかった。
「あべちゃぁん……」
佐久間大介だ。
阿部の首に腕を回し、背中にぴったりと張り付いている。
頬を阿部の肩に押し付け、不満げに唇を尖らせた。
「……べんきょーばっかしないでぇ……」
ねっとりとした甘い声。
普段の元気な佐久間とは違う、完全にスイッチがオフになった「甘えん坊モード」だ。
しかし、阿部は視線をノートから外さない。
「んー……ごめんね。明日の収録に向けてしとかなきゃ困るんだよね……」
阿部の声は優しいが、手は止まらない。
佐久間にとって、この「優しくあしらわれる」時間が一番辛いのだ。
阿部の優先順位が自分じゃないことが、どうしようもなく寂しい。
佐久間は阿部の首筋に鼻先を擦り付け、小さく喉を鳴らした。
「……にゃぁ……」
人間語を捨てた。
これは佐久間なりの、最終警告であり、最大級の求愛行動だ。
阿部のペンの動きが、ピタリと止まる。
「ん?」
阿部がちらりと横目で佐久間を見る。
佐久間は上目遣いで、潤んだ瞳を阿部に向け、もう一度、今度は切なげに鳴いた。
「にゃぁっ……!」
(……あ、これは限界だね。構ってあげなきゃ)
阿部の瞳の奥が、すっと暗く、甘く揺らぐ。
彼は静かにシャープペンシルを置き、掛けていた眼鏡を外すと、参考書をパタンと閉じた。
「……はい、おしまい」
「えっ、あべちゃん?」
「勉強、中断。……だって、可愛い猫が邪魔してくるから」
阿部は椅子を回転させると、背中にいた佐久間の腕を引いて、自分の膝の上に抱き上げた。
「……うわっ!?」
「寂しかったんでしょ? 佐久間」
「……だ、だってぇ……」
「素直でよろしい」
阿部は佐久間の顎を撫で、耳の裏をくすぐるように触れる。
まるで本物の猫を愛でるような手つきだ。
「……んぅ……あべちゃん、そこ……」
「ここ、好きだよね。……ごめんね、放置して」
「……うん。……罰として、いっぱいチュッてして」
佐久間が阿部の胸に手を突き、おねだりをする。
阿部は愛おしそうに目を細めると、佐久間の後頭部を押さえて引き寄せた。
「はいはい。……猫さんが満足するまで、たっぷり可愛がってあげる」
重なる唇。
参考書よりも、明日の予習よりも、今は腕の中の甘えたな猫のご機嫌を取る方が、阿部にとっては最重要課題なのだった。
コメント
4件
ついに出してくださった…😭 さっくん総受け大好きです…(TT)
なんか現実でも起きてそうww 続き待ってます!