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俊さんの プロ視点でのアドバイスや 優子さんの友を想う思いやりに支えられ、長年の夢を叶えるべく動き始めた雪子さん....🍀✨ 鉱物を展示した 自宅カフェ....☕️✨ 素敵なお店になりそうでワクワクしますね~🎶
雪子さん動き出しましたね〜❗️ 俊さんとの出会いも今だからよかったのかもしれないですね✨ 俊さんの温かい懐の深さと、さりげないプッシュが雪子さんにフィットしてるんだろうな😊 どんなカフェになるのかな〜🎀🎶ルンルン
もう雪子さんはやる気満々ですね✨ 優子さんも俊さんを信頼してるし追風に乗って雪子さんの脳内プランを上手くまとめて俊さんとプランニングして欲しい〜😊👍💓
翌々日、雪子が休憩時間にスマホを見ると、一件のメッセージが入っていた。
優子からだった。
優子は今横浜にいるようだ。
帰りに鎌倉へ寄るから、一緒に食事をしようという誘いだった。
優子の目的は、一昨日俊と食事に行った時の事を雪子から聞き出す事だった。
雪子はすぐにOKの返事を出し5時に待ち合わせる事にする。
優子は今日1~2時間で帰らなければいけないので、駅近くのファミレスへ行く事にした。
雪子はその日定時で仕事を上がれたので、家には帰らずそのまま駅へ行く事にする。
スーパーから駅までは、歩くと少し距離があるのでバスで向かった。
少し早めに着いたので、雪子はパン屋へ寄って明日の朝のパンを買ったり、
書店で久しぶりにゆっくり本を見たりして時間を潰した。
気に入った文庫本を一冊買うとちょうど約束の時間の5分前になったので、優子と待ち合わせをしているファミレスへと向かった。
店に入ると、優子はまだ来ていなかったので、
雪子は席に座って待つ事にした。
木曜日のこの時間帯、店内は比較的空いていた。
雪子は窓際の席へ座ると周りを見回す。
壁際の席には、学校帰りの高校生の集団がいた。
男女8人のグループは皆仲が良さそうだ。雪子は懐かしい思いで学生達を見つめる。
その3つ隣の席には、小さな赤ちゃん連れの2組の親子が向かい合って座っていた。
きっとママ友同士だろう。
雪子は結婚していた当時、和真を連れてママ友達とよくファミレスでお喋りをしていた時の事を思い出す。
自分にもあんな時があったんだなぁと懐かしくなる。そしてあれからあれからだいぶ時が経った事を実感していた。
可愛らしい赤ちゃんを見ていると、小さかった頃の和真の姿が目に浮かんできた。
雪子がメニューを見ていると漸く優子がやって来た。
「ごめんごめん、一番近いパーキングが空いていなくてさぁ」
優子はそう言って雪子の前へと座った。
「私も今来たばかりだから大丈夫よ」
雪子はそう言って優子にメニューを渡した。
二人は悩んだ末、雪子はビーフシチュードリアのセットとドリンクバーを、
優子はエビとブロッコリーのペペロンチーノのセットとドリンクバーを頼んだ。
ドリンクバーで飲み物を取って来ると、早速優子が待ちきれないといった様子で聞いた。
「で? どうだった? 一ノ瀬さんとのディナーは? どこに行ったの?」
「うん、大磯の先のね、海が見渡せるレストラン。知ってる?」
「ああ、あそこか! 行った事はないけれど評判はいいって聞いた事があるよ。確かフレンチだよね?」
「そう。すっごく美味しかったよ。なんか食材は全て地元の素材を使っているみたい」
「そっかー、あそこ結構お値段高かったような気がするけれど、さすが一ノ瀬さん、やるじゃん!」
「うん。フレンチのフルコースなんて凄く久しぶりだったよ」
雪子は笑顔で答える。
「で? で? 何を話したの?」
「うん、色々話したよ。あっ、そういえばね、この間のコーヒースクールの後にね、大人4人で海に行ったんだよ!」
そこで雪子は、俊や萌香達と海に行った時の事を優子に話し始めた。
それを聞いた優子は、
「あの山根さんっていう女性も、話してみたら実はいい人だったって事か!」
「そうなの。彼女は多分誤解されやすい人なんだと思う。最後の方は滝田さんとすごく仲良くなっていて、なんか家も近いみたいでちょっといい雰囲気だったよ」
「タカビー女も雪子の前に来ると見事に飼いならされちゃったか! 雪子は昔っからそうだよねー。クラスの馴染めない子を放っておけないみたいな?」
「そうだったっけ? でもさ、どうせならみんなで楽しい方がいいじゃん! それより『タカビー』っていう言葉久しぶりに聞いたよ。今の若い子に言ったら絶対通じないよ」
そこで二人は声を出して笑った。
そこへちょうど料理が来たので2人は食べ始めた。
「それよりもぉ、どうだったのかなぁ? 雪子ちゃんは?」
優子がニヤニヤして聞く。
「まあまあ楽しかったよ」
「どう楽しかったのか説明せよ!」
「うーん、なんかいっぱい話せた。最初は緊張するかと思ったけれど、結構大丈夫だった」
「そっかそっか! で、何について話したの?」
「それがさぁ、懐かしの昭和時代の事とかバブルとか不況とか? なんかああいう話をするのって久しぶりで楽しかったよ」
「おいおいーっ! 昭和の話しばっかりかーい! で、あとは?」
「うーん、そう言えばね…….」
「うんうん」
「自宅カフェをやってみればって言われた。うちの家の立地がいいからって!」
「えっ?」
「なんか工夫をすればお金をかけずにカフェを開けるらしくて色々アドバイスをくれたの。で、もしやりたくなったら手伝うからって…….」
「ええーっ、凄いじゃん! だって一ノ瀬さんってその道のプロでしょう? プロが言うなら間違いないじゃん! やってみなよ雪子!」
「うん、まあとりあえずは、修さんの講習をきちっと受けてから考えるよ」
雪子はそう言うと、ジンジャーエールを一口飲んだ。
「一ノ瀬さん、そういう面ではあちこちに顔が利きそうだから頼りになるよね」
「うん…….なんかね、もう無理だって諦めていた夢が、急にコロコロって足元に転がってきた感じで自分でもかなりびっくりしてる」
「ちょっと前までは更年期だなんだっていって鬱々していた雪子がさぁ、ここ最近すっごく前向きになっちゃってなんか凄く嬉しいよ。もしさ、店とか始めるなら私も手伝いに行くからね。雪子の家がカフェとか最高じゃん! みんなのたまり場とか隠れ家みたいな感じでなんか考えただけでワクワクする! 私も応援するっ!」
「ありがとう。でもまだやるとは決めていないからね。まずは自分に自信をつけないとだもん」
雪子はそう言って笑った。
優子は雪子の様子を見てホッとしていた。
俊は雪子の事を上手にリードしてくれている。雪子が諦めていた夢への手がかりをさりげなく示してくれている。
雪子の夢を実現するには、今からでも遅くはないと優子は思っていた。
むしろ今だからこそチャレンジすべきだ。
そして俊が上手に雪子を導いてくれている。
それを知った優子は思わず胸がいっぱいになった。
雪子が日に日に元気に、そしてどんどん活動的になっている事が、優子は何よりも嬉しかった。
二人はその後しばらく食事とお喋りを楽しんだ後ファミレスを出た。
帰りは優子が雪子を家まで送ってくれた。
家に戻った雪子は、リビングのソファーへ座るとホッと息をつく。
しかしすぐに立ち上がると父の書斎へ向かった。
書斎は8畳ほどだ。その横には8畳の使っていない和室がある。
この二間を合わせると16畳だ。
この2部屋をカフェにしようと思えば出来なくもない。
こじんまりとしたカフェなら充分な広さだろう。
雪子は室内を見渡しながら、ここがカフェになった時の事を想像してみた。
カフェ入り口は、門を入って庭側に作ってはどうだろうか?
庭に面した部分にウッドデッキがあれば、そこにもテーブルを置ける。
庭は芝生で覆われているので、庭に直接テーブルを置いてもいいかもしれない。
その芝生と塀の間にはハーブを沢山植える。そうすればフレッシュハーブティーもメニューに加えられる。
低い塀の向こうには切り通しの雑木林が見える。
まさに借景だ。
パイン材のアンティークテーブルを置いて、洒落た雑貨屋のようなインテリアにも憧れる。
ついでに店の片隅で雑貨を販売するのはどうだろうか?
雪子の頭には次から次へとアイディアが浮かんできた。
そこでまた雪子は思いついた。
店に鉱物を展示した棚を設置するのはどうだろうか?
そうすれば、切り通しを訪れる地層や鉱物好きの人達も入りやすいカフェになるだろう。
その人たちに見て貰えれば、父の鉱物類も日の目を見る。
雪子の胸は期待で高鳴っていた。
それから雪子は書斎を出ると、ダイニングチェアに座りパソコンを引き寄せる。
そして自宅ショップ開業についての詳細を調べ始めた。
雪子は次々と湧き上がってくる好奇心を抑え切れずに、夜遅くまでパソコンへ向かった。